http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0921/
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d763b4d8161efae445f37e05ab23f1e6
ブラックホールの奥底と宇宙の始まりだけが、数式で表すことができないそうです。また、この世は10次元(!)から成り立っているという超弦理論が果たしてその謎を解決することができるのか、興味は尽きません。
録画したものをこれまでに何回も繰り返し観ているのですが、全部を理解できるはずもなく、必ず途中で眠ってしまいます(笑)。そこで、今回もう一度観直して、番組のエッセンスを自分なりに以下に整理してみました。
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第1回「この世は何からできているのか~美しさの追求」
神の数式とは、この世のあらゆる物理現象をたったひとつの完璧な美しい数式で表すことができるというもの。
ミクロの素粒子の世界では、
原子核の周囲をまわっている電子
原子核から飛び出してくるニュートリノ
原子核を構成している正負の2種類のクオーク
という合計4つの素粒子から構成されている。
その4つの素粒子の間に働く力には、
電磁気力 電子を原子核につなぎとめる力
弱い核力 ニュートリノを原子から飛び出させる力
強い核力 原子核にクオークを結び付ける力
の3つの種類の力がある。
たったひとつの完璧な数式の”美しさ”とは、物理の世界では、対称性と呼ばれている。電子の基本性質を表す古典的なシュレディンガー方程式は、電子のスピンと磁力を説明できないが、対称性を持っていないからである。
対称性にはいくつか種類があり、これまでに、
回転対称性 : 座標軸を回転させても変わらない
並進対称性 : 座標軸を水平垂直移動させても変わらない
ローレンツ対称性 : 時間と空間は本質的に同じもの
ゲージ対称性 : 位相や座標を変換させても変わらない
非可換ゲージ対称性 :
が次々と導入されてきた。ディラックはシュレディンガー方程式にローレンツ対称性を導入してディラック方程式を完成し、さらにこれにオッペーンハイマーはゲージ対称性を導入したところ、「電子のエネルギーは無限大である」という問題に突き当たったが、朝永がこれを解決。
さらにヤンらが非可換ゲージ対称性の導入で核力の統合にも成功して、晴れて素粒子の間に働く3つの種類の力を完璧に説明することができるようになった。ところが、この数式からは、「この世のすべてのものに重さがあってはならない」という矛盾した結果がもたらされることになってしまった。。。
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第2回「”重さ”はどうして伝わるのか~自発的対称性の破れ」
電子に右巻きと左巻きの回転が観測されることを説明するために、カイラル対称性が導入された。しかし、カイラル対称性のためには基本素粒子は重さを持たないという矛盾した結果がもたらされることになってしまった。
この難題を打破したのが、シカゴ大学の南部陽一郎教授である。南部は、「完璧な美しさは現実の世界では崩れる運命にある」という俗にいう自発的対称性の破れを発見したのである。
自然界の設計図に対称性があっても、観測する物理現象には対称性がなくてもよい。つまり設計図ではクオークの重さはゼロであっても現実の世界ではクオークの重さはゼロではない。現実の世界では、クオークと反粒子のペアが生まれては消えることを繰り返しており、クオークのペアが真空の空間をびっしりと埋め尽くしている。。。
クオークが空間を移動するということは、粒子と反粒子の間に引力が発生し、左巻き/右巻きの粒子と反粒子がくっついては消えを繰り返して空間を進むのである。これがクオークの重さとなる。
そして、弱い核力については、ヒッグス粒子という都合のよい粒子の存在を持ち出すことによって説明がなされた。ヒッグス粒子が空間をびっしりと埋め尽くしているため、これに邪魔されることで、電子が動きを邪魔されて重さとなるというのである。ヒッグス粒子はCERNにおける陽子を光速で1秒間に4000万回も衝突させる実験の結果、1964年に提唱されてからほぼ50年後の2013年にようやく存在が証明された。
宇宙の初期には粒子に重さはなかった。素粒子は自由自在に飛び回っていた。やがて自発的対称性の崩れにより粒子に重さができた。。。そして星が生まれ、現代のような物質の世界ができたというのだ。
しかしまだ神の数式に到達するには、重力も取り入れなければならない。。。
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第3回「宇宙はなぜ始まったのか~残された最後の謎」
重力を表す数式としてアインシュタインの一般相対性理論がある。一般相対性理論を簡単に説明すると、
空間のゆがみ=物の重さ・エネルギー
ということになる。ところが、ブラックホールの奥底を一般相対性理論で計算すると、空間のゆがみが奥底(距離ゼロ)で無限大になるという矛盾が発生してしまう。ブラックホールの奥底では、すべての物質が原子に砕かれてミクロの一点に凝縮している。
宇宙の始まりとブラックホールの奥底は数学的には完全に同じと証明された。またビッグバンから10のマイナス43乗秒以降は数式が解明されている。
一般相対性理論(重力)と標準理論(素粒子の数式)を統合することができれば、宇宙誕生の謎を解明できるという期待がされており、アインシュタインをはじめ多くの科学者たちが取り組んだが、現在まで統合に成功には至っていない。
ロシアの天才物理学者ブロンシュタインもその一人だった。彼の計算によれば、統合しようとすると無限大が表れてしまい、計算をミクロにすればするほど無限大は増え続け、最終的には無限大は無限大個発生してしまった。
ブロンシュタインはその先進的な研究が脅威ととらえられ、スターリンによって31歳(1937年)で粛清され非業の死を遂げてしまった。
その後しばらく二つの理論を統合する試みは停滞していたが、1974年に当時無名だったジョエルシャークとジョンシュワルツが、時代遅れだったひも理論(超弦理論)を使って無限大の問題を解決したと発表、ひも理論は一躍世間の脚光を浴びるようになった。
これまでの理論では、粒子同士がぶつかるときに距離ゼロになって無限大が現れるところを、粒子がもし点でなく、ひものような形状をしていると仮定すると。。。粒子同士がぶつかってもその輪の大きさ以下にはつぶれない(距離ゼロにはならない)。
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第4回「異次元宇宙は存在するか~超弦理論”革命”~」
超弦理論では重力を伝える粒子の重さはゼロにならない。ゼロにするためには次元の数を10、つまり10次元である必要がある。では10次元はどこに存在するのか?
異次元はミクロの世界に存在する(原子の1兆分の1のそのまた1兆分の1という途方もない極小の世界)。カラビヤウ多様体という物質のなかに存在する。
超弦理論に2つの数式は含まれているか?
超弦理論の数式を細かく分解すると。。。一般相対性理論と素粒子の数式が導き出された!
そして496という数字が数式に次々に現れた。
496とは完全数のひとつ。
完全数-その数自身を除く約数の和が、その数自身と等しい自然数のこと。28、496、8128、33550336、
しかしここでホーキングが問題提起。
超弦理論で、ブラックホールがわずかにエネルギーを放出しやがて蒸発するという謎(いわゆるホーキングパラドックス)を説明できるか?
ジョセフポルチンスキーがその問題を解決。
粒子である弦はひとつひとつではなく膨大に集まってまとまっていて、Dブレーンという膜を形成している。この膜がブラックホールの奥底で熱を生み出している。10次元の世界では膜は拡がっているが、4次元の世界では折り畳まって1点に凝縮している。
2004年 ホーキングは会見を開いて自らの誤り(ブラックホールの謎の熱は証明できない)を認めた。
超弦理論の最先端、エドワードウィッテンが提唱するM理論(11次元)では、10の500乗個の数の宇宙が今も生まれ消えているという!!
神の数式の探求は、人類の飽くなき探求のしるしである。。。
~以上です~
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