そこで、取り敢えず専用のアクリルベースを取り付けてみました。
共立エレショップのネットショップから送料込みで2,100円で購入したものです。
注文はこちらです。一時期は在庫なしでしたが今は復活しているようです。発注からたったの2日で到着しました。
こんなパッケージです
組み立ては工具も要らず簡単。ES-OT4が収まりました。
アクリルベースに挟まれました
前回のレポートではあまり音質比較をやりませんでしたが、今回はUSB DACを2台用意して電源も直流安定化電源から供給してじっくり聴き込んで見ました。
USBDACは前回と同様、セルフパワー(電源供給型)のラステーム製UDAC32RDと、もう一台はバスパワーUSBの代表格であるKORGのDS-DAC-10を使いました。
USB接続のケーブルは短いものが良いということで、ちょうど以前購入しておいたステレオサウンドの別冊の付録のUSBケーブルを利用しました。これはブランドメーカーのUSBケーブルを気軽に試すことができてとても便利です。
短いUSBケーブルを使用しました
試聴に用いたソース一覧
ジャズ
Art Pepper Meets The Rhythm Section 44.1kHz/16bit FLAC uncompressed
Art Pepper Meets The Rhythm Section DSF 2.8MHz
Art Pepper Meets The Rhythm Section 192kHz/24bit FLAC uncompressed
ロック
Hotel California 44.1kHz/16bit FLAC uncompressed
Hotel California DSF 2.8MHz
Hotel California 192kHz/24bit FLAC uncompressed
ボーカル
Vespertine 44.1kHz/16bit FLAC uncompressed
Vespertine DSF 2.8MHz
Vespertine 48kHz/24bit FLAC uncompressed
クラシック
Goldberg Variations Gould DSF 2.8MHz
Brahms Piano Pieces Grimaud 44.1kHz/16bit FLAC uncompressed
1.セルフパワーUSBDAC(UDAC32RD)
USBノイズフィルター(ES-OT4)を介した状態と、USBDACとMuBox直結の状態をいろいろなソースで比較してみました。
奥で青く光っているのがES-OT4です
UDAC32RDはDSD対応のUSB DACのなかでも数少ないLinux対応した優れもののDACです(正確にはXMOSのUSBチップを装備したDoP仕様)。しかもPCMとDSD信号での6dBのゲイン差異もしっかり補正してくれますし、DoPでありがちな曲間や冒頭でのポップノイズもミュートしてくれるため非常に安心して使えます(これまでDoP絡みで異音発生トラブルは皆無です)。製造元のラステーム社の倒産がつくづく残念です(ちなみにラステーム元社長が立ち上げたamulechのDSD対応USBDAC AL-9624Dは、安価である反面、DoP非対応、ハイレゾも96/24対応までと個人的には物足りないスペックでした)。
USBノイズフィルターを入れた場合には、CuBox側のノイズがフィルタリングされることになります。しかし、CuBoxそのものが入力電源5V1Aという(おそらくPCトランスポートとしては最小の)超低消費電力で駆動されており、その電源も直流安定化電源から取っているため、そもそもノイズがあまり出ていない環境ではないかと推測してます。そうなると、折角のUSBノイズフィルターもあまり効果が期待できません。
外部輻射している電磁ノイズを計測するのに一番手軽な方法は、安価なアナログAMラジオを機器に近づけて雑音を確認する方法があります。私はPanasonic R-P130という1,500円くらいのAMラジオでこの方法を試していますが、AVアンプやCDプレーヤーが盛大に雑音を拾う反面、CuBoxはそれほど雑音を拾いません。
電磁波ノイズ測定器として使えます
今回のUSBノイズフィルターが対象としているコモンコードノイズはAMラジオでは計測できないので、USBのラインノイズを計測器で測定しないとはっきりしたことは言えません。あいにく手元にはその環境がないので定量的な比較はできませんでした。
これはあくまでも個人的な経験上なのですが、電源が音質に与える影響が一番わかりやすいのは、クラシックのピアノ曲でした。今回もグールドやグリモーの定番曲で違いが出るかと期待したのですが、結論としては、残念ながら私の耳には違いが判別できませんでした。
2.バスパワーUSBDAC(DS-DAC-10)
今度はバスパワーのUSBDAC DS-DAC-10を同じソースで試してみました。PCトランスポートはLet's NoteのWindows7にfoobar2000の環境でKORGのASIOドライバから鳴らしました。またUSBノイズフィルターは外部電源モード(EXT)で直流安定化電源から電源供給させました。
DS-DAC-10とノートPCの間に繋ぎます
PCトランスポートのLet's Note PC(CF-T5)も、電源はバッテリー駆動しているのでAC100Vとは絶縁された環境です。HDDをSSDに換装しているのでゼロスピンドル、CoreDuoの初代機はCPUの冷却ファンも付いていない完全無音PCです。内部にも電磁波防止テープを貼っているのでそれなりにノイズ対策を施しているカスタムマシンです。
しかしCuBoxなどに比べるとやはりPCですから、グラフィックボード(オンボード)やその他の電子回路から発生するノイズは盛大なものと想像できます。実際AMラジオを近づけると猛烈な雑音で耳が痛くなる程です。
このノイズが多い環境では、外部電源モードで駆動しているUSBノイズフィルターは、PCからのノイズまみれの電源を遮断し、なおかつDS-DAC-10はUSBノイズフィルターに供給されている直流安定化電源からのクリーンな電源で駆動されることになります。
DS-DAC-10は発売当初はDSD対応の初のポータブルDACということで、かなり重宝しましたが、XMOSチップ非搭載のため、Linux環境では認識させることができませんでした。また後継モデルも発売され、機種的にはやや古くなった感が否めません。性能的には申し分ないのですが、バスパワーというところとPCトランスポートにWindows/Macを使わなければならないという点に限界があったのも事実でした。
ところが、USBノイズフィルターをこのDS-DAC-10に繋いで鳴らしてみたところ、はっきりと違いが聴き取れる程の効果がありました!
試聴したArt Pepper, Eagles, Vjork, Gould, Grimaudのどれを聴いても音の定位がくっきりとして、やや硬質な音になる傾向があるものの、個人的には好みの音に変わりました。特にグールドやグリモーのピアノは、CuBox/UDAC32RDの組み合わせと同様のSN比の高い音になったのでかなりの効果を実感しました。
3.結論
このUSBノイズフィルター(ES-OT4)は、バスパワーのUSB DACや、送り出し側がPCの場合にある程度の効果を発揮するのではないかと思います。一方、CuBox/UDAC32RDの組み合わせのように、セルフパワーのUSB DACや、送り出し側がLinuxの超低消費電力のトランスポートでは、あまり効果が出ないということもわかりました。
実際は、試聴に加えて、定量的なノイズ測定をしてみないと何とも断言できないのですが、雑誌付録としての気軽さや、オーディオアクセサリーとして手軽に試すことができるのはとても有難いことです。
今回ハウジングはアクリルベースに固定しただけでしたが、雑誌社のオンラインサイト(オントモ・ヴィレッジ)のほうでは本格的な筐体2種類の販売を年明けから予定しているようですので、そちらを利用したらまた面白い結果になるかもしれません。
https://www.ontomovillage.jp/ontomo/kau/6982/detail.html
https://www.ontomovillage.jp/ontomo/kau/6983/detail.html
USBノイズフィルター専用ケースES-OT4A
USBノイズフィルター専用ケースES-OT4B
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