CuBox-i1にVolumio 1.5 for CuBox-iをインストールし、オーディオ出力をHDMIに設定。HDMIケーブルでAVアンプに繋いでNASのライブラリを再生したら、FLACは44.1kHz/16bitからハイレゾ(96/24, 192/24)まで音源のフォーマットそのままで、DSD音源(DSF/DFF)はPCM 192kHz/24bitにリアルタイム変換され再生されました。
DSF STEREO再生時(パネルに192kHzと表示されています)
同じ接続で、マルチチャンネルファイルを試したところ、ハイレゾも含めて見事にネイティブ再生に成功!FLAC 96/24, 48/24のマルチも、DTS 96/24のマルチも問題なく再生できます(DSDマルチはステレオと同じくPCM 192/24にリアルタイム変換されますが、シングルコアのCuBox-i1では処理が重た過ぎるのか、音が途切れてまともに聴けませんでした)。
FLAC マルチチャンネル再生時(パネルに96kHz, 5.1chのマークが表示されています)
きっかけはRaspberry Pi 2でした。拙宅ではここしばらくはCubox/Muboxの組み合わせで落ち着きシステムの更新をしていなかったのですが、Raspberry Pi 2がリリースされたと聞き、もしかしたらこれでHDMI接続でマルチチャンネル再生ができるかもしれないと早速オーダーを入れて試してみたのでした。
結果は惨敗。。。というか、Raspberry Pi 2とVolumio ver.1.55の組み合わせでは、HDMI接続はALSAデバイスとして認識されて、そのALSAデバイスドライバが、入力音源に関わらず48kHzステレオに強制的に変換されてしまう仕様だったため、マルチチャンネルはおろか、ハイレゾ音源の再生さえダウンサンプリングされてしまうことがわかったのです。
そこでRaspberry Pi 2はHDMI接続を追求する代わりに、I2S接続できる利点を活かして外付けDACモジュール(PCM5102Aベース)と組み合わせてUSB接続に依存しないシステムに使うことにしました。
Raspberry Pi 2と格闘する傍ら、ついでに従来のCuBox-i1のほうもMuBoxのアップデートを確認してみたところ、ちょうど2月上旬にリリースされたカーネル3.18でHDMI音声出力に対応したということを、開発元のPunkyさんからのメールで知りました。
http://voyage-linux.34677.n3.nabble.com/Re-HDMI-not-detected-by-ALSA-on-MuBox-td4026224.html
カーネルのアップデートはいたって簡単。MuBoxの環境で
cd ~
wget http://mirror.voyage.hk/download/voyage-mubox/cubox-i/kernel-cubox-i-3.18.2~fc20+.tar.xz
tar -Jxf kernel-cubox-i-3.18.2~fc20+.tar.xz -C /
sync
reboot
これだけです。
これは渡りに舟とばかりに、マルチチャンネル再生のターゲットをRaspberry Pi 2からCuBox-iに切り換えていろいろ試してみたのですが。。。
結果はまたしても惨敗。。。
HDMIからのステレオ音声出力は96kHz/24bitも192kHz/24bitも全く問題ないものの、マルチチャンネル再生の設定がわからず行き詰ってしまいました。
ちなみにカーネル3.18にアップデートをすると、ALSAデバイスが3種類見えるようになります。
hw: 0,0 HDMI
hw: 1,0 SPDIF
hw: 2.0 USB DAC (拙宅の製品はUDAC32RDです)
SSHからのコンソールではこんな感じです。
認識されたオーディオデバイスを確認
ちなみにカーネルバージョンの確認は
root@voyage-mubox:~# uname -r
で
3.18.2~fc20+
と確認できます。
mpd.confファイルでALSAデバイスの指定を追加し、MPaDで3つのALSAすべてにチェックを入れると、何と3つのオーディオ出力を同時に有効にすることもできます!(ちなみにVolumioはどれか一つのオーディオ出力しか同時に有効にできません)。
3つのALSAオーディオデバイスを同時に鳴らすことができます
ところが、ALSAデバイスのマルチチャンネル設定の方法がよくわからず、試行錯誤で ~/.asoundrcやalsa-base.confファイルの設定などを書き換えたりしたのですが、どうやってもHDMIからマルチチャンネルを再生させることができませんでした。
Voyage Linuxのメーリングリストにも質問を投稿したのですが、解決策を記した返答はありませんでした。
http://voyage-linux.34677.n3.nabble.com/No-surround-sound-from-MuBox-CuBox-HDMI-audio-ouput-td4026232.html
またもや行き詰ってしまい、どうしたものかと悩んでいたとき、ふとvolumioはRaspberry PiだけでなくCuBoxにも対応していることを思い出し、ついでに別のmicroSDカードにVolumio for CuBox-iをインストールして比較してみることにしました。
https://volumio.org/get-started/
VolumioのインストールはLinux環境が必要なMuBoxのインストールと比較して非常に簡単です。
上のサイトのターゲット環境でCuBox-iを選んでダウンロードしたzipファイルを解凍して生成されたイメージファイル(.img)をフリーソフトのWin32DiskImagerやDD for Windowsといったイメージ書き込みソフトで目的のmicro SDカードに書き込むことで完了します。
Volumio for CuBox-iの再生設定で、Audio Outputをimxhdmisocという名前のデバイスにします。
Volumio for CuBox-iの設定画面
Raspberry PiのVolumioでは同じ画面でHDMIはALSAデバイスに割り振られているのとはちょっと違います。想像するに、CuBox-iではHDMIはALSAデバイスドライバを経由しない設定となっているため、ネイティブ再生ができるのではないかと思います。
次にNASのマウントをします。
NASのマウントを設定します
先日Raspberry Piの設定のときにNASのファームウェアを更新しておいたので、IPアドレスとディレクトリ指定さえ間違えなければ問題なくマウントできます(ユーザーネームとパスワードは入れなくてOKです)。
あとはNASのライブラリ音源を指定して再生させるだけです。下の画面でもしっかりMultichchannel - 24bit - 96kHzと表示されています。
マルチチャンネル(FLAC 96/24 5.1ch)再生時の画面です
AVアンプのパネルでも96kHz 5.1chがわかります
マルチチャンネル再生ができるプレーヤーとしてはOPPO-BDP103/105が有名ですが、こちらはDSD音源のネイティブ再生ことできないだけで、あとは同じ機能を10分の一の価格で実現できているわけです。さらに、OPPOではNASからのマルチチャンネル再生はギャップレス再生非対応なのですが、Volumio for CuBox-iは完璧にギャップレス再生に対応していました。
Volumioは基本はMPDを使っているため、MPDのクライアントがそのまま使えるのも大きなメリットです。これまでMuBoxで使ってきたMPaDももちろん動きます。
MPaDでVolumio for CuBox-iを操作
MPadのほうはアルバムアートを表示させるHTTPサーバーをインストールしないと上のスクリーンショットのようにジャケ写が抜けてしまいます。。。こちらはこれから手がけます。。。
肝心の音質ですが、さすがにHDMI接続のせいか、それともCuBox-iのシングルコアの限界か、今ひとクリアさに欠けるものでした。。。ちょっと残念。またこちらもHDMIの特性のせいか、曲の冒頭がほんの一瞬途切れるソースもありました。
それでもUSB-DACなしにAVアンプに直結できる運用上のメリットは絶大で、超低消費電力のCuBox-i1は常時電源入れっぱなしで、あとはAVアンプの電源を入れればすぐに好みの音楽ライブラリ(しかもマルチまで)を聴ける利便性は、一度慣れると元に戻れないほどです。
そういうわけで、冒頭の写真にもあるように、拙宅は2台のCuBoxを並列稼動という形に落ち着きました。Volumio for CuBox-iの隣にあるCuBox(こちらはCuBox Proです)は、USB-DACと接続して、DoPでDSDのネイティブ再生ができます。ステレオで音質追求の場合はやはりUSB-DAC経由のアナログ変換で楽しむことになります。
こうなるとシングルコアのCuBox-i1よりもCuBox最上位のクアッドコア搭載のCuBox-i4での音質を試してみたくなってしまいます。CuBox-i4のCPUパワーがあれば、DSDマルチのリアルタイムPCM変換も問題ないのではないでしょうか。
というわけで、早速SolidRun社のサイトにアクセスしてポチっと。。。 ^_^ タイミング良いことにCuBox-i4は10%オフのセール中で$135(日本までの送料込みで$151)でした。
http://www.solid-run.com/product/cubox-i4pro/
CuBox-i4がセール中
CuBox-i4でDSDマルチチャンネルの再生が問題なくできるようであれば、ようやく長年追い求めていたマルチチャンネル再生可能なMPDシステムが実現することになります。。。
CuBoxでマルチをやっているなんてのはひょっとして国内初?かもしれません!
AVアンプのHDMI経由でのDSD信号の再生はコンピュータではどこも実装しそうもない家電特有の特殊なプロトコルが必要なようなので、DSDだけはネイティブ再生ではなくPCM変換になってしまうのですが、それで良しとしましょう。
届くのが今から楽しみです。。。
(2015/03/06追記)
ブログ更新後に気付いたのですが、Volumio for CuBox-iのマルチチャンネルの配置にバグがあるようで、LFE(センター)の信号とSR(右サラウンド)の信号が入れ違っているようです。SRからはドスドスという音しか聴こえてきません。。。
そういえば以前OPPOがマルチチャンネルDSD再生を業界で初めてサポートしたときのベータ版も同じようなバグがありました。。。
http://www.computeraudiophile.com/f6-dac-digital-analog-conversion/oppo-103-105-does-stereo-multi-channel-direct-stream-digital-15575-print/index3.html
こちらは正式なファームウェアがリリースされたときは直っていましたが、Volumio for CuBox-iのような非商用のソフトの場合、直されるものかどうか。。。早速レポートあげておきました。
https://volumio.org/forum/volumio-for-cubox-udoo-and-others-feedback-thread-t2162-20.html
Hi,
Running Volumio 1.5 (audio output set to imxhdmisoc) on Cubox-i1 and playing multichannel FLAC (96/24) through HDMI to connect to Marantz AV receiver (AV8801). Amazing that the little box can now playback multichannel!
It seems that the channel mapping is incorrect. My guess is that the LFE (subwoofer) channel is incorrectly assigned to SR (surround right) but not quite sure.
Any clue to solve this?
Cheers,
masayk
今のところ返答はありません。。。まあこんなバグが残っていること自体、CuBoxでマルチチャンネルをやっているユーザーが如何に少ないかということですね。。。
(2015/03/28追記)
原因が不明なのですが、HDMI接続しているAVアンプのセレクターを何度か操作すると、正しいマルチチャンネルのアサインになることがわかりました。さらに摩訶不思議なことに、セレクターを何度か操作すると、LFEの信号がCenterの信号になったり、チャンネルのアサインがその都度でバラバラに決まってしまうという現象が起きています。
さらにHDMIによるマルチチャンネル再生中に、突如再生が停止してしまう現象もちらほら。。。安定していないのは間違いありません。
バッファサイズやバッファタイムを変えたり、いろいろ試していますが今のところ改善できていません。。。
http://www.diyinhk.com/shop/audio-kits/104-8-channels-384khz-32bit-es9016-pcm-dxd-dsd-audio-dac.html めざしているものの結論をここにあるのでは?と思います。自分は挑戦するかちょっと悩んでます(^_^;)
返信削除kkumaさんこんにちは。
削除リンクご紹介ありがとうございます。まさに目指しているものがありますね。。。しかも価格も手頃で!
ES9018に準ずるES9016ということで期待もできます。。。が私も挑戦するかどうかかなりひるんでおります(笑)