史上最強の携帯オーディオプレーヤーPono ~バランスケーブル編~

Neil YoungがKickStarterで出資を募って商品化されたPono Music Playerがファームウェア更新でDSDネイティブ対応となったのは前回の日記(こちら)で書きました。


Pono Music Player


最近は、外出のときはもちろん、、夜もPonoを聴いて寝落ちする程、その音の良さに夢中になっています。

ポータブルで音楽を聴くのがこれほど楽しかったとは。。。


そのPonoの特徴のひとつにヘッドフォン端子のバランス出力があります。バランス出力というのは、従来高級オーディオ製品にしか搭載されていなかった機能ですが、最近のハイエンドのポータブルオーディオ機器には少しずつ対応製品が増えてきました。

簡単に言ってしまうと、バランス接続をすると、ステレオの左右それぞれに専用のアンプを駆動して、ヘッドフォンの駆動力のアップとクロストーク(左右の信号が混ざること)を抑えてS/N比の向上を図るというものです。詳しくは以下を参考してください。

http://ascii.jp/elem/000/000/909/909769/

バランス接続(上記ASCIIのサイトから)

DSDネイティブ再生だけでもスゴイことなのですが、この際このバランス接続で究極のハイエンドポータブルの世界を試してみることにしました。

バランス接続対応のヘッドフォンも考えたのですが、もう何年も愛用している使っているUltimate EarsのTriple.fi 10 Proをリケーブルしてバランスケーブルに交換することにしました。

ちなみにTriple.fi 10 Proは、付属のイヤーチップでは中低域のバランスが悪く、遮音性も低いため、別売のComply (コンプライ) イヤホンチップ T-500に代えています。これは抜群の効果です。

Triple.fi 10 Pro向けバランスケーブルの市販品もありますが、ずっと昔にNull Audioから購入したTriple.fi 10 Pro用の撚り線のカスタムケーブルがあったことを思い出し、奥から引っ張り出してきました。調べてみたら2009年に$72.00で購入したものでした。

http://www.null-audio.com/collections/iem-headphone-cable

The 'Enyo' Silver Custom IEM Cable for Ultimate Ears(Black) - Black Right Angle Plug w/ Memory Wire


Null AudioのEnyo Silverケーブル


今回はこのケーブルにオヤイデの定番ミニプラグP-3.5 SRを半田付けしてバランスケーブル化することに!

まずは極性のチェックから。。。

UE Triple.fi 10 PROの極性です(大事)

ピンプラグの極性です(これも大事)


さて作業に取り掛かります。。。


ハンダゴテ、テスター、クランプ台(ツールクリッパー)、ニッパー、ハンダ、吸収シート、などなど準備は結構大変です。

ミニプラグP-3.5 SRとカラーブーツ

今回オヤイデでカラーブーツというアンフェノール製のブーツを使いました。これはP-3.5SRにピッタリのサイズで、これを使えば熱収縮チューブを使う必要がなくとても便利です。

プラグ挿入時のイメージです

まず、チェッカーでアースとLホット、Rホットの線の判別をします。バランスケーブルの場合は、ホットの接続はLでもRでもどちらでも同じことになるので、好みの端子のほうに繋げれば良いようです。

ハンダ付け作業をしているところ

線がやたらに細いので断線に注意、銅線を引き出す剥き処理が大変です。。。

細かい作業で疲れます。。。

ケーブルを間違えないように、片方が完成したら、Balance Modeに設定変更したPonoに挿してちゃんと音が聴こえるかチェックしながら進めたほうが確実です(少々手間ですが)。

PonoをBalance Modeにする画面

手先の不器用な私は、アース線の銅線を何度もちょん切ってしまい、その度にやり直し。。。結局2時間くらい悪戦苦闘してしまいました。。。適度な縒りをつけるのと左右の長さのバランスにも気を遣います。


そして。。。ようやく完成しました!!

バランスケーブル完成!

左右間違えないように右にはマジックで赤く塗りました。

3.5mmのミニプラグの部分

Ponoに繋げてみたところです

Triple.fi 10 Pro のユニット接続も間違えないように注意。左右をわざと逆にするShure差しをしている場合はさらにややこしく本当に正しい接続かどうかz散々悩みます。。。(笑)

Balance Modeの音量表示画面

Balance Modeにすると、ボリューム表示のときのアイコンが写真のように左右の矢印になります。

同上


PonoのBalance Modeは一度ケーブルを抜いてしまうと設定がリセットされて通常のUnbalanced Modeに戻ってしまうので注意が必要です。

さて、肝心の出てきた音は。。。

まさに期待していた通りの、全く申し分ない素晴らしいヌケの良い音です。。。!!

通常のアンバランスだとAyreらしい上品な傾向なのですが、バランス接続にした途端、音楽の生々しい表情が剥き出しになったような印象です。これはスゴイ!

抽象的な表現ですが、荒々しい、例えて言うなら野生を解き放ったかのような音です。

しかも、電解コンデンサの効果なのか、デジタルっぽいキンキンした音ではなく、しっかりと情緒性も表現するアナログっぽい音、長時間大音量で聴いていて全く疲れない音です。

Triple.fi 10 Proはトリプルユニットらしい表現力が抜群の最高クラスのイヤフォンなのですが、個人的に最大の欠点は、ボーカルの音像が膨張してしまうことでした。巨大な口が目の前に定位するかのような。。。

しかし。。。このバランス接続のせいか、Ponoとの相性のおかげなのか、そのボーカルの定位がピシッと決まるではないですか!ダイアナクラールを聴いていて驚きました。。。

次に、キワモノですが、昔テラークのレコードにダイレクトカッティング録音でレコード針(と高級スピーカー)をブッ飛ばすので有名なチャイコフスキーの1812年というのがありました。このSACD版とDVDオーディオ版が出ているのですが、そのハイレゾ音源を試してみました。

最後のほうの有名なキャノン砲ですが、オーディオシステムで鳴らすとウーファーとスコーカーが飛び出して壊れるのではないかというレンジです。私のTriple.fi 10 PROはまさにそのような衝撃を受け、インナーイヤホンでは体験したことのないような剛爆音が頭の中で炸裂しました。。。!

音楽の感動とは別次元のものですが、いやースゴイです。

あまりベタ褒めも不自然なので、今度はキツイやつを。。。上原ひろみのデビューアルバム Another Mindです。2曲目のDouble Personalityですが、途中5分くらいのところでギターが唸るソロがあるのですが、ほとんどのオーディオシステムでここはクリップしてノイズが乗ります。Ponoでも試したのですが、ここは残念ながら同じ結果となってしまいました。。。

また、バランス接続で長時間再生を続けていると、Ponoの本体は結構いいレベルまで熱くなります(もちろん持てない程では全然ありませんが)。市販のポータブル機器でここまで熱くなるものはないかもしれません。オーディオマニア的には再生機器が熱を持ったほうが安心するのですが。。。(笑)

バランス接続の効果は、ハイレゾ音源による高音質効果を遥かに上回っていると確信しました。もはや時代のキーワードは「ハイレゾ」より「バランス」です! ^_^

ポータブルプレーヤーで初めて音楽を聴いたのは、中学生のときでした。ウォークマンの2号機でした。

あれから40年近く。。。

技術は進化を繰り返し、テープから、MD、そしてiPod、iPhone、ポタアン。。。

Ponoはあらゆるハイレゾ音源をネイティブ再生してくれるプレーヤーです。NASのハイレゾ音楽ライブラリから直接ファイルをブチ込むだけ。もうフォーマット変換やDSD/PCM互換性に悩むことはありません。

ちなみに私はPMW(Pono Music World)というiTunesのような役割のソフトはファームアップ以外では使いません(中身はJRMediaCenterなので、機能的にも使い勝手も素晴らしいのですが)。

Simple is Best

10万円もするウォークマン最上位機種ZX2でもできないDSDネイティブ&バランス接続がこのたった$400のプレーヤーでできるとは。。。

Ponoは史上最強、究極の携帯オーディオプレーヤーです!!

OPPOが据え置き型ユニバーサルプレーヤーとして圧倒的な支持を得たように、Ponoもハイレゾ対応携帯型音楽プレーヤーとしていずれ国内でもセンセーションを引き起こすと思います。

さて。。。

Art Pepperの軽やかなサックスの音色も、Nine Inch Nailsの地響きのようなインダストリアルサウンドも、J.フィッシャーの無伴奏ヴァイオリンソナタの荘厳な宇宙も、US Top 80'sの懐メロ群もなんでもかんでも、Ponoで聴くと新しい発見のように無限の音楽の世界が頭のなかに拡がります!(大袈裟か。。。)

みなさんもぜひPonoのバランス接続をお試しください!




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