然別湖(しかりべつこ)の魅力 - 北海道2018年夏休み旅行

今年の夏休みは家族で北海道のとかち帯広方面に行きました。前半は雨に降られてしまいましたが、後半の然別湖での2泊3日の滞在は天気にも恵まれて、素晴らしい体験ができました。


然別湖(しかりべつこ)に家族旅行で訪れたのはこれで3回目です。最初は2005年の夏、そして前回は2013年の夏でした。宿泊はいずれも然別湖畔温泉ホテル風水、そしてアクティビティは然別湖ネイチャーセンターにお世話になりました。

然別湖は、北海道の帯広から北に車で約60km、1時間余りの距離にある北海道では標高が一番高い場所にある湖です(標高810m)。大雪山国立公園の深い森のなかにある静かな佇まいの湖で、湖周辺にはホテル以外観光スポットが皆無なため、自然を楽しむには最適な場所です。

然別湖の位置(ホテル風水のサイトから)

ホテルに到着したのは夕方の6時過ぎ。

然別湖畔温泉ホテル風水

チェックインして部屋を案内されます。今回は6階建ての3階の部屋、窓からは然別湖の雄大な姿がバッチリ見ることができます。

宿泊部屋

窓の外には然別湖が


窓から臨む通称くちびる山

夕食は1階の食堂で。所狭しと食事が運ばれてきます。然別湖名物の「オショロコマ」の塩焼きも!

豪華な夕食

オショロコマ

食事はどれも美味しく、オショロコマはクセのないさっぱりとした繊細な味の川魚です。オショロコマは絶滅危惧種にも指定される貴重な魚なのですが、北海道では普通に食用に釣っても問題ないようです。

そして、ホテルの温泉でゆっくり疲れを取ります。ここの温泉は、褐色をした熱めの湯(加水で温度調整をしていない)です。こじんまりとした温泉ですが、源流かけ流し式で露天風呂もありますし、何と言っても混雑とは無縁でゆったりと入ることができます。

ホテル風水の露天風呂(ホテルのサイトから)

明日は然別湖ネイチャーセンターで事前に予約した早朝カヌーが朝6:00からなので、早く就寝しました。

そして翌朝。。。

5:30に早起きして部屋のカーテンを開けると、そこには幻想的な景色が!

早朝の然別湖

今日は運のいいことに快晴の天気です!そして湖畔に湯煙のようなものが沸き立っていますが、これは気嵐(けあらし)といって、湖の温度に対して気温が非常に低く、風がない条件のときだけ発生する珍しい現象だそうです。

後でネイチャーセンターの人に教えてもらったのですが、この日の早朝の気温は6℃、湖の温度は17℃だったそうです。

カヌーのツアー詳細はこちらです。安全な二人乗りのカナディアンカヌーで所要時間は1時間30分です。カヌーの出発地点はホテルの前の二の湾で、そこから一の湾、うぐいす湾を目指すことになります。

カヌーツアーのルート

カヌーの乗り方の説明を受けてからいざ出発。気温は低いですが、風がないので寒いというより涼しい感じで快適です。

出発

これだけ湖畔が穏やかなのは珍しいということです。然別湖は透明度が非常に高く、夏は20メートルまで見えるということです(ちなみに摩周湖は1931年に最大透明度41.6メートルの世界記録を達成)。

湖底が見えます

太陽が高く昇っている日中で条件が良いと、以下のような「ボートが宙に浮いた」状態になるそうです。

ボートが宙に浮いている!?

ボートを漕ぎ進むと一の湾を超えたあたりで右岸が岩がゴロゴロした場所になりました。

すると。。。

スイッ!という鋭い鳴き声が聞こえました。

そうです、これは然別湖のマスコット、名物のナキウサキの鳴き声です。ナキウサギは用心深い性格なのでなかなか表に出ないので滅多に見ることができません。

ボートで静かに近づきます

しかし、この日はラッキーなことに、ボートからナキウサギを見つけることができました!

さらに近づくと。。。

いました!

カワイイ!

ナキウサギは、ウサギというよりネズミかハムスターのような小柄な動物で、普段は割れ目のある高山の岩場に住んでいます。

最初に然別湖を訪れたとき(2005年)は、ナキウサギの出現スポットの駒止湖近くのガレ場まで山道を歩いて、待つこと30分くらいでようやく、しかし一瞬だけ岩場から通り道に出てきたのを見ることができました。

前回の2回目のとき(2013年)は、ナキウサギ天敵のオコジョが増えて警戒心が強くなってしまい、結局見ることができませんでした。

ナキウサギの鳴き声は、周囲の仲間に危険を知らせるためということで、人間が近づいたことを知らせたのでしょうか。しかしボートの上からの接近は、地上からの接近より足音が立たない分油断するということでした。

さて、今日は風が穏やかだということで、普段よりも少し遠いスポットの「うぐいす湾」まで連れていってくれることになりました。

幻想的な風景

気嵐のなかを進みます

やがて「うぐいす湾」までやってきました。ここからは湖畔の温泉旅館も見えず、四方見渡して人工物が一切見えないスポットでもあります。

うぐいす湾からの眺望

この「うぐいす湾」は、ネイチャーセンターのガイドさんに、周囲の山の環境など条件が整っていて「やまびこ」のスポットということでを教えてもらいました。

試しに「ヤッホー!」とやってみたました。すると。。。

山にこだましてヤッホーがハッキリとしかも反響音が拡がって返ってきました!

これには感動です!

ガイドの方が、「今度はワッ!と短く区切って叫んでみましょう」ということで、その映像がこちら。

やまびこ

オリジナルの映像は5.1chのサラウンドで録画したのですが、この映像でもハッキリとこだましているのがわかると思います。

いろいろ遊びは尽きませんが、1時間30分のツアーの時間もあるので、このあたりで引き返すことにしました。

ちなみに然別湖の周辺にも、散策路や登山路などが整備されており、ハイキングで隣の東雲湖などまで足を延ばすこともできます。

然別湖の地図(ネイチャーセンターのパンフレット)

然別湖の近くには、支笏湖近くのオコタンペ湖、阿寒のオンネトーとともに北海道三大秘湖と言われている東雲湖(しののめこ)があります。ハイキングではホテルから片道4時間くらいかかりますが、シーカヤックを利用して湖の反対側までショートカットすれば、片道2時間弱(往復4時間)くらいで行くことができます(ツアー詳細はこちらです)。

東雲湖散策マップ

東雲湖がなぜ秘湖なのかは、実は良くわかりません。実際に訪れてみないとわからないのかもしれませんね。

カヌーツアーに大満足し、ツアーガイドのお兄さんにお礼をしてからホテルに戻りました。

その日は然別湖ネイチャーセンターで申し込みをしたエアートリップ(ロープを滑空して空中を散策する遊具)を満喫したあと、ナイタイ高原牧場や士幌高原ヌプカの里などを訪れて北海道の自然を満喫しました。

エアトリップ

本当は、然別湖をさらに北上した糠平湖(ぬかびらこ)までドライブをしようと計画していたのですが、国道85号線が北岸野営場から先が道路決壊のため通行止めとなっていたので断念しました(ちなみに通行止めは平成28年の台風での土砂崩れが原因で、なかなか復旧工事が着手されずにいたそうです)。

通行止めの標識

その国道85号線の北岸野営場ですが、「然別湖ホテル福原 別館 山田温泉」という唯一の宿泊所も残念ながら閉鎖してしまったそうです。ちなみに湖畔にある「然別湖ホテル福原」本館も、現在は閉鎖されています。こちらの記事によると、復活も厳しいようで残念です。

ホテル福原本館跡

夕方になって陽が沈む頃には、ホテルに戻って二泊目の食事を堪能しました。

二泊目の夕食も豪華

そして、夜には再び然別湖ネイチャーセンターのイベントで「ナイトウォッチング」に参加しました。

このナイトウォッチングの参加者は、バスに乗り込んで、上記の北岸野営場まで行って、閉鎖している山田温泉の近くの広場(というか道路)に寝っ転がって、満点の星空を眺めるというものです。もちろん周辺は完全な暗闇です。

(然別湖ネイチャーセンターのサイトから)

普段都会では見ることのできない満点の星空に、天の川もバッチリ見ることができて感激です。眼をこらしていると時折、流れ星を確認することもできます。眼の良い人は人口衛星も見つけていました。

豊富な知識を持ったツアーガイドの方が、星空を見ながら、星のことや、北海道の自然のことなど、やさしく語りかけてくれます。

ちなみに真夏でも夜は冷え込むので、長袖にジャケットを羽織ることをお勧めします。虫はいないので虫除けは不要です。

北海道に生息する動物で有名なのが、シマフクロウです。シマフクロウは、羽を広げると180cmもあるほどの世界最大のフクロウですが、自然破壊により生息数は激減、北海道には現在野生のシマフクロウはたったの140羽ほどしかおらず、絶滅危惧ⅠA類(環境省第4次レッドリスト)になっています。

シマフクロウは、アイヌ語では「コタンコロカムイ」と呼ばれて、「村を守る神」と崇拝されていた動物です。

シマフクロウ(Wikiより)

そのシマフクロウですが、なんと然別湖畔にペアが棲息しているそうです。

ツアーガイドの方は、そのシマフクロウを何度か見たこともあると言っていました。

そんな話を、満点の星空を眺めながら聞いているその時。。。

「ボーッ、ボーッ」

遠くから鳴き声が。。。なんと。。。!シマフクロウの鳴き声だそうです!!!

シマフクロウの鳴き声を聞くことができるとは本当にラッキーでした!つがいがいるので
「ボーッ、ボーッ」のあとに返す鳴き声があるそうですが、私には聞き取れませんでした。

然別湖のシマフクロウは、オスがずいぶん老体にも関わらず、若い個体にメスを譲らないので、繁殖が進まないのだそうです。

そんなことに思いを馳せながら、ツアーガイドの方が持参してくださった暖かい飲み物をいただきながら、惜しみつつ1時間の行程を終えて再びバスでホテルに戻りました。

この日は、朝からカヌーツアー、昼はエアトリップ、そして夜はナイトウォッチングと、然別湖ネイチャーセンターのイベント尽くしの日でしたが、天気にも恵まれて最高の自然体験を満喫することができました。然別湖ネイチャーセンターの方々にはいつもながら感謝の気持ちで一杯です。

然別湖には、然別湖ネイチャーセンターともうひとつ、ボレアルフォレストという新しいガイドカンパニーができていました。なんでも、元ネイチャーセンターの職員が立ち上げたそうで、カナディアンカヌーやネイチャートレッキングなどを企画しています。今回は機会がありませんでしたが、いつかこちらのツアーにも参加したいと思います。

ボレアルフォレスト

然別湖は夏だけでなく、冬も凍結した湖上にコタンを設けて、魚釣りを楽しんだり、スノーモービルなど楽しむことができるそうです。今度は冬の季節に訪れてみたいと思います。

(おわり)

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