そのときは、あくまでも純粋な音楽としてのクラシック音楽ということで、映像と音声で構成されるオペラとバレエは除外して考えました(ベスト10に含めたモーツァルトの「魔笛」は、あくまでその楽曲の素晴らしさから判断しました)。
オペラやバレエの芸術性は、その映像(ビジュアル)面を抜きにしては評価することはできません。
そこで、今回は【究極のクラシックオペラ/バレエDVD/ブルーレイ ベスト10】を選出しようと考えました。
実は、私はオペラやバレエはあまり詳しくなく、これまでに鑑賞した作品も限られているので、ベスト10ではなくベスト5を選ぶことにしました。
「人は33歳までに音楽的嗜好が固まり、新しい音楽への出会いを止める傾向がある」というのは音楽のジャンルに関わらず一貫した傾向であるならば、私はもう生涯ベストとなるオペラにも出会うことはないのかもしれません。
独断と偏見で選出したのが以下の5枚です(カッコ内は収録年)。
【究極のクラシックオペラDVD/ブルーレイ ベスト5】
No.1 ヘンデル作曲 歌劇「ジュリオ・チェーザレ」グラインドボーン音楽祭2005年/ ウィリアム・クリスティ指揮 デイヴィッド・マクヴィカー演出 ダニエル・ドゥ・ニースほか(出演) (2005)
ヘンデル作曲 歌劇ジュリオ・チェーザレ(Blu-Ray)
もうこれ以上の決定版は金輪際ないだろうと思うほど素晴らしいディスク(ブルーレイ盤)です。
ヘンデルの音楽ももちろん素晴らしいのですが、この盤は何と言ってもクレオパトラ役の ダニエル・ドゥ・ニース(この音楽祭で衝撃のデビュー)の魅力が満載です!
ダニエル・ドゥ・ニースのクレオパトラはすべてにおいて完璧です。昨今の美人オペラ歌手のなかでもその魅力度はダントツ!ディズニー映画の「ラプンツェル」のような大きな瞳を輝かせ、演技、歌唱、ダンスどれを取っても惚れ惚れしてしまうほど素晴らしく、また舞台セットや衣装も豪華絢爛、音楽も録音も最高!です。
もうこのディスクさえあれば人生楽しく過ごすことができると思えてしまう程、素晴らしいです。
何はともあれ、こちらのアリアのシーンをご覧ください。
このシーンはクレオパトラがトロメーオ(エジプト王、クレオパトラの弟)に対して、
「王権を手にできなくても、絶望することはない、だって愛の幸運が訪れるかもしれないのだから」
と歌うシーンです。ダニエル・ドゥ・ニースはトロメーオをその美貌でメロメロにしたかと思うといきなり突飛ばしたり、トロメーオの侍者のナニをいじって籠のようなものに乗っているトロメーオを振り落とされそうになったり、それでいて見事にアリアを歌いこなすのですが、その歌う表情も実に豊かです。
因みに、同じ演出でMETでナタリー・デゼイが演じたシーンがこちらです。微妙に振り付けが異なります。
デゼイのNon Disperar
再びドゥ・ニースのクレオパトラに戻ります。
Non e si vagor e bello (No.9 Aria)
No.24のアリア(Venere bella)は、クレオパトラが思いを馳せるシーザーとの対面を控えて、ジュリオ・チェーザレ全曲のなかでも傑出した名曲だと思います。
Venere bella (No.24 Aria)
Venere bella (No.24 Aria)は、ミンコフスキのCDに収録されているものがあまりにも素晴らしいので併せて紹介します。
Venere bella (No.24 Aria)
ダニエル・ドゥ・ニースはこの役で一躍「時の人」になり、その後はCDやDVDもリリースしてオペラ界のアイドル的存在になりました。
このアリア集にも、ジュリオ・チェーザレのアリア 'Da tempeste il legno infranto' が冒頭に収録されています。
Giulio Cesare: 'Da tempeste il legno infranto' | Glyndebourne
現在のダニエル・ドゥ・ニースは(アンナ・ネトレプコ初め数多くの美人オペラ歌手と同じく)貫禄のある風貌に変わってしまいましたが、その歌唱力と実力は健在です。
しかし、ダニエル・ドゥ・ニースだけがこのジュリオ・チェーザレ盤の魅力ではありません。
全編通してのヘンデルの陽気な音楽も素晴らしいし、ユーモアたっぷりな踊りが特徴のアリアNireno's Aria(Chi perde un momento)も文句なしに笑いを誘います。
Nireno's Aria(Chi perde un momento)
このNireno's Aria(Chi perde un momento)は、1724年のオリジナル編には含まれていないようです。
オペラのあらすじは、文章で書くより、「ヘンデルと(戦慄の右脳改革)音楽箱」というサイトの登場人物の関係図のほうが遥かに解り易いので引用します。
「ジュリオ・チェーザレ」あらすじ
ヘンデルのオペラは、ヴェルディ、ワーグナー、プッチーニと比べるとマイナーな印象がありますが、この歌劇「ジュリオ・チェーザレ」は、ヘンデルの音楽が好みのファンであれば間違いなく気に入ると思います。
余談ですが、私はこのブルーレイディスクをHMVで1,050円という信じられないような安値で入手しました。HMVやAmazonは時々このような特価品が出るので要チェックですね。
HMV
No.2 モーツァルト作曲 歌劇「魔笛」/ ジェームズ・レヴァイン指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団 ジュリー・テイモア演出 (2006)
モーツァルト「魔笛」(DVD)
METライブビューイングなどでメトロポリタン・オペラは現在最も成功したオペラハウスとなりましたが、この「魔笛」は、NHK BSやWOWOWでもしばしば放映され、私も最初はハイビジョン衛星放送で観てすっかり虜になりました。
歌手の歌唱力やオーケストラの力量など音楽性だけを取り上げると、【究極のクラシックアルバム名盤ベスト10】のショルティ盤に軍配が上がるのですが、このMETの短縮版(しかも英語)は、モーツァルトのオペラの代表作である「魔笛」の入門版としてだけではなく、純粋なエンターテイメント作品として完璧だと思います。
Erika Miklosa演じる有名な「夜の女王」のアリアはバッチリだし、その後METの常連となったルネ・パーペがザラストロ役で貫禄を見せつけていて、見どころが満載です。
夜の女王アリアその1
夜の女王アリアその2
しかし何と言ってもこの盤のハイライトは、パパゲーノですね!これはもうオペラというよりブロードウェイのミュージカルです(実際演出家のジュリー・テイモアは「ライオン・キング」などブロードウェイの出身です)。
パパゲーノ
モーツァルトの「魔笛」を観て思うのは、こんなコミカルな一見軽い題材でも、モーツァルトが作曲したメロディラインは、まさに奇跡のような美しいコード進行が畳み掛けるように展開することです。モーツァルトはまさに天才だったと改めて実感します。
ところで、モーツァルトの「魔笛」は、秘密結社の「フリーメイソン」と深い関係があることは良く知られています。
フリーメイソンのメンバーでもあったモーツァルトは、管弦楽曲「フリーメイスン葬送音楽K.479a」という曲も作っています。
フリーメイソンというのは、簡単に言うと、中世の石工組合(メイソン)が発祥となったグローバル規模の(宗教団体ではない)友愛組織のことです。
フリーメイソンのメンバーになるための参入儀礼がいろいろと謎に包まれており、話題になりますが、「魔笛」のテーマである「沈黙の試練」「火と水の試練」は、まさにこのフリーメイソンの参入儀礼をモデルにしています。
「魔笛」は、フリーメイソンをモデルとした、人格形成の物語なのですね。
フリーメイソンについては以下の「フリーメイソン 秘密結社の社会学」がわかりやすく解説しています。
METのライブビューイング作品はWOWOWやNHK BSで頻繁に放映されています。以前放映されたものでは、「魔笛」以外にもオッフェンバックの「ホフマン物語」が抜群に面白かったです。
この「魔笛」は2019年1月5日(土)にも放映予定されているようですので、もし機会があれば是非ご覧ください。
私が生まれて初めて観劇したオペラは、1993年の夏にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で観た「椿姫」でした。
当時、ニューヨークに住んでいた私は、先輩に誘われて、何の予備知識もないまま、一張羅のジャケットを羽織って、いきなりメトロポリタン歌劇場のVIPシート(しかも中央)で、METの「椿姫」を観るという幸運に恵まれたのでした。
指揮は、当時人気絶頂の3大テノールの一人であるプラシド・ドミンゴでした。
そして、何よりも、この公演の演出が、あの映画「ロミオとジュリエット」等で世界的に著名な、フランコ・ゼフィレッリだったのです!
第2幕に有名な「ジプシーの踊り」という合唱があるのですが、舞台で華やかな衣装を着て舞う踊り子の豪華絢爛なシーンに目が眩んでしまい一生忘れることのできない衝撃的なものでした。
あまりに美し過ぎて、当時の私は、「このシーンをそのまま何とかして切り抜いて、一生の家宝として持ち帰りたい」衝動に駆られたのを鮮明に覚えています。
それほどに、ライブで体験したゼフィレッリ演出の椿姫は、インパクトのあるものでした。。。
このゼフィレッリ演出レヴァイン指揮のDVDディスクは、ローマのチネチッタスタジオで収録されたもので舞台とはだいぶ印象が異なります。
私は当時のゼフィレッリ演出のMETの記憶を重ねてこのDVDを観ています。実のところ、例の「ジプシーの踊り」のライブで体験した豪華絢爛さは、このDVDではあまり感じられませんが、それでもなお、当時の興奮を彷彿とさせるものです。
下の映像は、アンジェラ・ゲオルギューが椿姫を演じた名盤からの「ジプシーの踊り」(1:12) です。ブルーレイの高画質もあって豪華絢爛という意味ではこちらの盤もおススメです。
まるでルキノ・ヴィスコンティの映画シーンに出てくるかのような、息を呑むような豪華絢爛な舞台、これぞ舞台芸術の極致ではないでしょうか。
ちなみにこのブルーレイ盤も、Amazonで619円という冗談のような値段で買いました。
「椿姫」のディスクをもうひとつ。こちらはアンナ・ネトレプコの盤ですが、これはネトレプコが人気と実力どちらも絶頂期のもので、相手のアルフレード役にはローランド・ビリャソンという夢の競演で話題になりました。
ネトレプコもこの頃はまだ若く、スタイルも抜群でした。今は相当貫禄がつきましたが。。。
話をゼフィレッリの「椿姫」に戻します。
ジェームズ・レヴァインは、メトロポリタン歌劇場管弦楽団の音楽監督に就任したのが、なんと1975年からで、現在まで実に40年以上関係が継続しているのは驚異としか言いようがありません。
そういう意味で、この「椿姫」は、ジェームズ・レヴァインの(当時はかなり)鋭いエッジの効いた演奏になっており、個人的には好みです。
この作品も「椿姫」同様、ゼフィレッリ演出のスタジオ収録のものです。「カヴァレリア・ルスティカーナ」を初めて知ったのは、映画「ゴッドファーザーPart.III」でした。
お馴染み前夜祭と3日間の舞台祭典劇「ニーベルングの指環」の、前夜祭にあたる「ラインの黄金」です。
私はこれをNHKのBS放送で観たのですが、その後パッケージになって販売されました。
「ニーベルングの指環」を全幕通して観たのはこれまで2回で、初めがこのミラノ・スカラ座のもので、2回目はMETでした。
「ニーベルングの指環」と言えば、第2幕「ワルキューレ」の「ワルキューレの騎行」があまりにも有名ですね。映画ではショルティ指揮ウィーンフィルの演奏でした。
私はワーグナーの音楽ついてはいくつかの有名な序曲以外はほぼ何も知りませんでした。しかし、「ニーベルングの指環」のなかでは純粋な音楽としてこの「ラインの黄金」が一番しっくりと来ています。
この「ラインの黄金」は、ウォータン役をルネ・パーペが務めるなど、キャストは豪華で、なおかつ、バックのバレエダンスが実に見事です。ダンスの美しさ(とそのダンサーの肉体美)を観るだけでも価値があると過言ではないほどです。
ワーグナーのオペラの世界は深淵で、演奏時間の長さもさることながら、その難解な内容と相まってとっつきにくさは抜群ですが、オペラなので、あまり難しく考えずに舞台効果だけを楽しむというのもアリだと思います。
個人的には、ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニの3人の作品に代表されるいわゆるベルカント・オペラは退屈だし、ワーグナーに代表されるドイツの壮大なオペラも苦手です。
しかし、この「ラインの黄金」は例外的に、バレエダンスの美しさのせいか、何度観ても楽しむことができます。
ハンナ・ヴァサッロ(Hannah Vassallo)の詳しい略歴はネットで調べても出てきませんが、イギリスのシアター出身のダンサーで、INTERVIEW: Hannah Vassallo – Dirty Danciingの記事によると、マシューボーンに20歳の若さで大抜擢されたダンサーのようです。
以上が私の選んだ【究極のクラシックオペラDVD/ブルーレイ ベスト5】でした。
以前に選んだクラシックベスト10と違って、オペラの場合、ひいきの演奏家やオペラ歌手がいないので、一つの作品から違う作品へ趣味を拡げることがないのが残念です。
オペラは多分にビジュアル面があると思うので、今後はMETの「魔笛」のような舞台装置が大掛かりで凝った作りのものが増えるのでしょうか。
また、歌唱力はもちろんなのですが、オペラ歌手のビジュアル面もより一層注目されるようになるのではないでしょうか。そういう意味では、アンナ・ネトレプコやダニエル・ドゥ・ニースはまさにビジュアル重視時代の申し子と言えます。
しかし、何と言っても、オペラは長い!そしてライブチケットは高額過ぎて手が出ません。。。控え目に言っても、私のような凡庸な中年社会人が趣味とするにはあまりに敷居が高い気がします。
まあ、老後に金銭的余裕(とオペラを理解できる美的感覚)があれば、オペラの世界を探求したいと思いますが。。。
この「魔笛」は2019年1月5日(土)にも放映予定されているようですので、もし機会があれば是非ご覧ください。
No.3 プッチーニ作曲 歌劇「椿姫」/ ジェームズ・レヴァイン指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団 フランコ・ゼフィレッリ演出 (1982)
ヴェルディ「椿姫」(DVD)
当時、ニューヨークに住んでいた私は、先輩に誘われて、何の予備知識もないまま、一張羅のジャケットを羽織って、いきなりメトロポリタン歌劇場のVIPシート(しかも中央)で、METの「椿姫」を観るという幸運に恵まれたのでした。
指揮は、当時人気絶頂の3大テノールの一人であるプラシド・ドミンゴでした。
そして、何よりも、この公演の演出が、あの映画「ロミオとジュリエット」等で世界的に著名な、フランコ・ゼフィレッリだったのです!
第2幕に有名な「ジプシーの踊り」という合唱があるのですが、舞台で華やかな衣装を着て舞う踊り子の豪華絢爛なシーンに目が眩んでしまい一生忘れることのできない衝撃的なものでした。
あまりに美し過ぎて、当時の私は、「このシーンをそのまま何とかして切り抜いて、一生の家宝として持ち帰りたい」衝動に駆られたのを鮮明に覚えています。
それほどに、ライブで体験したゼフィレッリ演出の椿姫は、インパクトのあるものでした。。。
このゼフィレッリ演出レヴァイン指揮のDVDディスクは、ローマのチネチッタスタジオで収録されたもので舞台とはだいぶ印象が異なります。
下の映像は、アンジェラ・ゲオルギューが椿姫を演じた名盤からの「ジプシーの踊り」(1:12) です。ブルーレイの高画質もあって豪華絢爛という意味ではこちらの盤もおススメです。
「ジプシーの踊り」(Live from la Scala, 2007)
まるでルキノ・ヴィスコンティの映画シーンに出てくるかのような、息を呑むような豪華絢爛な舞台、これぞ舞台芸術の極致ではないでしょうか。
「椿姫」Live from la Scala, 2007
「椿姫」のディスクをもうひとつ。こちらはアンナ・ネトレプコの盤ですが、これはネトレプコが人気と実力どちらも絶頂期のもので、相手のアルフレード役にはローランド・ビリャソンという夢の競演で話題になりました。
ネトレプコの「椿姫」
ゲオルギューの「椿姫」とは対極的なシンプル・モダンの舞台。。。これはこれでアリですね。
話をゼフィレッリの「椿姫」に戻します。
ジェームズ・レヴァインは、メトロポリタン歌劇場管弦楽団の音楽監督に就任したのが、なんと1975年からで、現在まで実に40年以上関係が継続しているのは驚異としか言いようがありません。
そういう意味で、この「椿姫」は、ジェームズ・レヴァインの(当時はかなり)鋭いエッジの効いた演奏になっており、個人的には好みです。
No.4 マスカーニ作曲 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」/ ジョルジュ・プレートル指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団 フランコ・ゼフィレッリ演出 (1982)
マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」
この作品も「椿姫」同様、ゼフィレッリ演出のスタジオ収録のものです。「カヴァレリア・ルスティカーナ」を初めて知ったのは、映画「ゴッドファーザーPart.III」でした。
ヴェリズモ・オペラの特徴らしく、暴力的なストーリー展開と、直接的に感情に訴えるメロディと非常に解り易いオペラです。
間奏曲は特に美しく、単独で演奏される機会も多いです。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲(映画「ゴッドファーザーPart.III」より)
話は脱線するのですが、この「ゴッドファーザーPart.III」は一般的には失敗作と言われていますが、私はこの間奏曲を使ったラストシーンは特に映画史に残る出来栄えではないかと思います。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」には全般に渡り、魅力的な曲がたくさんありますが、特に素晴らしいのは、「前奏曲」、そして「きらめくグラスに 泡立つ酒よ 万歳!」から「皆さんこんにちは!」の緊張感、そして悲劇のラストに繋がる「母さん この酒はいい酒だね」までの連続部です。
ゼフィレッリ演出の「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、DVDの映像なので今ではやや解像度が低く感じますが、シチリアの美しい風景を切り取ったかのようなその映像美は見事です。
No.5 ワーグナー 楽劇「ラインの黄金」/ ダニエル・バレンボイム指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団 ギー・カシアス演出 (2010)
ワーグナー 「ラインの黄金」(ブルーレイ)
お馴染み前夜祭と3日間の舞台祭典劇「ニーベルングの指環」の、前夜祭にあたる「ラインの黄金」です。
私はこれをNHKのBS放送で観たのですが、その後パッケージになって販売されました。
「ニーベルングの指環」を全幕通して観たのはこれまで2回で、初めがこのミラノ・スカラ座のもので、2回目はMETでした。
「ニーベルングの指環」と言えば、第2幕「ワルキューレ」の「ワルキューレの騎行」があまりにも有名ですね。映画ではショルティ指揮ウィーンフィルの演奏でした。
ワルキューレの騎行(映画「地獄の黙示録」から)
私はワーグナーの音楽ついてはいくつかの有名な序曲以外はほぼ何も知りませんでした。しかし、「ニーベルングの指環」のなかでは純粋な音楽としてこの「ラインの黄金」が一番しっくりと来ています。
この「ラインの黄金」は、ウォータン役をルネ・パーペが務めるなど、キャストは豪華で、なおかつ、バックのバレエダンスが実に見事です。ダンスの美しさ(とそのダンサーの肉体美)を観るだけでも価値があると過言ではないほどです。
第3場のシーン(オペラ サモトラケのニケのサイトより引用)
ワーグナーのオペラの世界は深淵で、演奏時間の長さもさることながら、その難解な内容と相まってとっつきにくさは抜群ですが、オペラなので、あまり難しく考えずに舞台効果だけを楽しむというのもアリだと思います。
個人的には、ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニの3人の作品に代表されるいわゆるベルカント・オペラは退屈だし、ワーグナーに代表されるドイツの壮大なオペラも苦手です。
しかし、この「ラインの黄金」は例外的に、バレエダンスの美しさのせいか、何度観ても楽しむことができます。
No.6 チャイコフスキー作曲 『眠れる森の美女』 マシュー・ボーン振付、ニュー・アドベンチャーズ ハンナ・ヴァサッロほか(出演) (2013)
チャイコフスキー作曲 眠れる森の美女 (Blu-Ray)
チャイコフスキーのバレエ作品から、有名な「眠れる森の美女」です。NHKのBS放送「プレミアム・シアター」で観ました。
とにかくオーロラ姫役のハンナ・ヴァサッロの魅力が満載です。
ハンナ・ヴァサッロ
以上が私の選んだ【究極のクラシックオペラDVD/ブルーレイ ベスト5】でした。
以前に選んだクラシックベスト10と違って、オペラの場合、ひいきの演奏家やオペラ歌手がいないので、一つの作品から違う作品へ趣味を拡げることがないのが残念です。
オペラは多分にビジュアル面があると思うので、今後はMETの「魔笛」のような舞台装置が大掛かりで凝った作りのものが増えるのでしょうか。
また、歌唱力はもちろんなのですが、オペラ歌手のビジュアル面もより一層注目されるようになるのではないでしょうか。そういう意味では、アンナ・ネトレプコやダニエル・ドゥ・ニースはまさにビジュアル重視時代の申し子と言えます。
しかし、何と言っても、オペラは長い!そしてライブチケットは高額過ぎて手が出ません。。。控え目に言っても、私のような凡庸な中年社会人が趣味とするにはあまりに敷居が高い気がします。
まあ、老後に金銭的余裕(とオペラを理解できる美的感覚)があれば、オペラの世界を探求したいと思いますが。。。
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