京都は何度訪れても新しい発見があります。
そんな京都観光のなかでも、憧れるのは、紹介者なしでは入ることさえできない敷居の高い「お茶屋遊び」の世界。。。
実は、一見さんでもお茶屋に入って芸者さんと遊ぶことができる方法があるのです!
一見さんでもお茶屋遊びができる方法を紹介します(以下の情報は変わることもあるので、実際に訪れる場合は最新情報をご確認ください)。
1. 祇園(お茶屋遊び)
「お茶屋遊び」とは、宮川町に代表される花街(かがい)にあるお茶屋さんで遊ぶことを指します。 お座敷遊びは,その中でもお座敷での興を添える遊びのことです。 お座敷の中にあるものだけで遊べ,舞妓や芸妓(げいこ)の舞を楽しんだり,会話で盛り上がったりします。
京都には花街と呼ばれる5つの街があります。祇園甲部、祇園東、先斗町、上七軒、宮川町の5つの花街を称して「五花街」と呼ばれています(「京の花街~京都を代表する5つの花街の魅力に触れてみましょう〜」の記事より)。
特徴なのが、お茶屋での酒代、食事代、みやげ代、その他代金はすべて「つけ遊び」(後払い)であることです。
現金は徹底して排除されるシステムなので、これが踏み倒しの危険性がある一見さんお断りの理由です。
従来は、お茶屋に行きたかったら、誰かその店の常連になっている客を見つけて紹介者になってもらうしかありませんでした。
しかし、お茶屋遊びの常連だった羽振りの良い世代も老齢化が進み、常連客の減少が進むと、お茶屋も「一見さんお断り」を貫き通すことが難しくなってきました。
そこで登場したのが、「京都市自らが紹介者になります」という画期的なシステムです。
これは、京都市観光協会のなかにある「公益財団法人京都伝統伎芸振興財団」(おおきに財団)が、お茶屋遊びを考えている人の問い合わせ窓口になってくれるのです。
お茶屋遊びを知ることは、京都の伝統文化を知ることにつながり、また、芸妓さんや舞妓さんなど芸の世界で生きる人たちの支援にもなります。
お茶屋遊びを決めたら、「おおきに財団」に電話(075-561-3901)で、具体的な希望(日にち、人数、希望のお茶屋、芸妓さん舞妓さんの人数)を伝えると、だいたいの予算を教えてもらえます。
以下は「房の家(ふさのや)」というお茶屋を紹介してもらった際の見積もりです。参考までに掲載します。
料金は、2時間の宴会で、芸妓さん1名舞妓さん1名、花代が2名で78,000円、食事代(仕出し)が一人12,000円、飲み代が一人5,000円、席料が一人5,000円、サービス代が10%、4人だと合計で146,000円(一人当たり約37,000円)でした。
お茶屋遊びの基礎については、「舞妓さんについて」というサイトがわかりやすいです。
「おおきに財団」に紹介者に立ってもらうと、料金は事前に銀行口座に振込みとなり、追加料金は飲み代のみ、後日郵送で請求書が届きます(追加の飲み代請求は一人3,400円でした)。
「房の家(ふさのや)」
〒605-0087 京都市東山区新橋通大和大路東入元吉町53
電話:075-561-0503
(以下は日本文化芸術国際振興協議会のFacebookから引用)
房の家は花見小路新橋西にあるお茶屋さんで、私の見習い茶屋です。写真前列左に写っているのが、房の家のお父さん中嶋勝蔵さんです。当時の房の家さんは祇園甲部の副取締役で、最も実力のあった方です。観光バスの乗り入れや祇園コーナーを設置しました。
この写真に写っている男性方は、茶道表千家十三世家元即中斎宗匠、十六代永楽即全さん、堀口大學先生、山川常七さん、高折先生です。私が見習いに入って一週間目の写真です。舞妓や芸妓にとっての見習い茶屋は、引き祝いをするまでは表だって後見を引き受けます。置屋が表に出る事はありませんので、店出し以降は見習い茶屋を頼りにします。
以下は、友人4人組で「房の家」でのお茶屋遊びを体験したときの様子です。
まず、地図を頼りに「房の家」に辿り着くと、荘厳な佇まいの玄関に威圧されました。
暖簾をくぐると、そこは広い静かな空間の別世界。
大きな座敷に案内されます。その晩は他の客はいなかったのか、とても静かです。
まず、お茶屋遊びの基本について簡単な説明を受けます。
なんでも、「房の家」の常連のお客様は、年配の方が多く、以前のように頻繁には遊びに来てくれなくなったこと、そして、我々のような若い世代が遊びに来てくれるのは大歓迎だということでした。
食事の席で、舞の時間が始まります。舞妓さんが見事な踊りを披露してくれました。
舞妓さんの踊りと芸妓さんの演奏は緊張のなかにも和気あいあいとした雰囲気もあり、息はピッタリと合っていました。
ちなみに、この舞妓さんは目が覚めるほどの美人でした。
後日、JR東海の「そうだ、京都、行こう」のキャンペーンで起用されたほどでした。
食事の時間が済むと、いよいよ舞妓さんとのお座敷遊びの始まりです!
最初は、「金比羅船々(こんぴらふねふね)」という遊びをやりました。
金毘羅船々(こんぴらふねふね)
追風(おいて)に帆かけて
シュラシュシュシュ
まわれば 四国は
讃州(さんしゅう)
那珂の郡(なかのごおり)
象頭山(ぞうずさん)
金毘羅大権現(こんぴら だいごんげん)
一度まわれば
四国名物
・・・・・
ゲームのルールは、金比羅船々を歌いながら音楽のリズムに合わせて、交互に台の上の物に手を“パー(手の甲を上)”にして乗せます。
自分が物を掴んで上に持ち上げた時、相手は物が置かれていない台の上に手を“グー(手を握る)“にして乗せます。
そういった動作を繰り返し、先に間違えたほうが負けです。
要は相手に間違えさせるように誘い込むのです。
シンプルな遊びですが、これがなかなか面白い!
芸妓さんの三味線がビミョーにテンポが変わったりして、それにつられてつい間違えてしまうと大盛り上がりです!
下の映像がわかりやすいです。
次は、「とらとら」という遊びを体験しました。「とらとら」は、虎・老女・和藤内(槍)のどれかを選んで、踊りながら敷居から出てきて勝ち負けを楽しむ、いわばジャンケンゲームです。
踊りの決まりは、虎なら四つん這いのポーズ、老女なら杖をつくポーズ、和藤内なら槍で突くポーズです。ジャンケンで言うなら、和藤内がグー、虎がチョキ、おばあさんがパーです。つまり、和藤内は虎に勝ち、虎はおばあさんに勝ち、おばあさんは和藤内に勝つというルールです。
舞妓さんと芸妓さんでまずはお手本を教えてくれます。
「とらとら」の遊びは、「とらと~ら、と~らとら」というフレーズを唄いながら、敷居から出てきて勝負です。
こちらも下の映像を見るとわかりやすいと思います。
次はいよいよ舞妓さんと勝負です!
「とらとら」やってみると、メチャクチャ盛り上がって楽しいゲームです。
アルコールの勢いも手伝って、お茶屋遊びもすっかりリラックスして盛り上がりました。
とにかく舞妓さんと芸妓さんの楽しませ方が上手い!さすがは厳しい修行を積んでいるだけあります。六本木のねーちゃんたちとは大違い(笑)
こうして京都の大人の夜は更けてゆくのでした。。。
【ワンランク上の京都観光】 比叡山延暦寺、修学院離宮、桂離宮ほか
京都には花街と呼ばれる5つの街があります。祇園甲部、祇園東、先斗町、上七軒、宮川町の5つの花街を称して「五花街」と呼ばれています(「京の花街~京都を代表する5つの花街の魅力に触れてみましょう〜」の記事より)。
特徴なのが、お茶屋での酒代、食事代、みやげ代、その他代金はすべて「つけ遊び」(後払い)であることです。
現金は徹底して排除されるシステムなので、これが踏み倒しの危険性がある一見さんお断りの理由です。
従来は、お茶屋に行きたかったら、誰かその店の常連になっている客を見つけて紹介者になってもらうしかありませんでした。
しかし、お茶屋遊びの常連だった羽振りの良い世代も老齢化が進み、常連客の減少が進むと、お茶屋も「一見さんお断り」を貫き通すことが難しくなってきました。
そこで登場したのが、「京都市自らが紹介者になります」という画期的なシステムです。
これは、京都市観光協会のなかにある「公益財団法人京都伝統伎芸振興財団」(おおきに財団)が、お茶屋遊びを考えている人の問い合わせ窓口になってくれるのです。
お茶屋遊びを知ることは、京都の伝統文化を知ることにつながり、また、芸妓さんや舞妓さんなど芸の世界で生きる人たちの支援にもなります。
お茶屋遊びを決めたら、「おおきに財団」に電話(075-561-3901)で、具体的な希望(日にち、人数、希望のお茶屋、芸妓さん舞妓さんの人数)を伝えると、だいたいの予算を教えてもらえます。
以下は「房の家(ふさのや)」というお茶屋を紹介してもらった際の見積もりです。参考までに掲載します。
料金は、2時間の宴会で、芸妓さん1名舞妓さん1名、花代が2名で78,000円、食事代(仕出し)が一人12,000円、飲み代が一人5,000円、席料が一人5,000円、サービス代が10%、4人だと合計で146,000円(一人当たり約37,000円)でした。
お茶屋遊びの基礎については、「舞妓さんについて」というサイトがわかりやすいです。
「おおきに財団」に紹介者に立ってもらうと、料金は事前に銀行口座に振込みとなり、追加料金は飲み代のみ、後日郵送で請求書が届きます(追加の飲み代請求は一人3,400円でした)。
「房の家(ふさのや)」
〒605-0087 京都市東山区新橋通大和大路東入元吉町53
電話:075-561-0503
房の家(ふさのや)
房の家は花見小路新橋西にあるお茶屋さんで、私の見習い茶屋です。写真前列左に写っているのが、房の家のお父さん中嶋勝蔵さんです。当時の房の家さんは祇園甲部の副取締役で、最も実力のあった方です。観光バスの乗り入れや祇園コーナーを設置しました。
この写真に写っている男性方は、茶道表千家十三世家元即中斎宗匠、十六代永楽即全さん、堀口大學先生、山川常七さん、高折先生です。私が見習いに入って一週間目の写真です。舞妓や芸妓にとっての見習い茶屋は、引き祝いをするまでは表だって後見を引き受けます。置屋が表に出る事はありませんので、店出し以降は見習い茶屋を頼りにします。
以下は、友人4人組で「房の家」でのお茶屋遊びを体験したときの様子です。
まず、地図を頼りに「房の家」に辿り着くと、荘厳な佇まいの玄関に威圧されました。
房の家(ふさのや)玄関
暖簾をくぐると、そこは広い静かな空間の別世界。
大きな座敷に案内されます。その晩は他の客はいなかったのか、とても静かです。
まず、お茶屋遊びの基本について簡単な説明を受けます。
なんでも、「房の家」の常連のお客様は、年配の方が多く、以前のように頻繁には遊びに来てくれなくなったこと、そして、我々のような若い世代が遊びに来てくれるのは大歓迎だということでした。
食事の席で、舞の時間が始まります。舞妓さんが見事な踊りを披露してくれました。
舞妓さんの踊り
奥の三味線が芸妓さん
舞妓さんの踊りと芸妓さんの演奏は緊張のなかにも和気あいあいとした雰囲気もあり、息はピッタリと合っていました。
ちなみに、この舞妓さんは目が覚めるほどの美人でした。
後日、JR東海の「そうだ、京都、行こう」のキャンペーンで起用されたほどでした。
食事の時間が済むと、いよいよ舞妓さんとのお座敷遊びの始まりです!
最初は、「金比羅船々(こんぴらふねふね)」という遊びをやりました。
金毘羅船々(こんぴらふねふね)
追風(おいて)に帆かけて
シュラシュシュシュ
まわれば 四国は
讃州(さんしゅう)
那珂の郡(なかのごおり)
象頭山(ぞうずさん)
金毘羅大権現(こんぴら だいごんげん)
一度まわれば
四国名物
・・・・・
ゲームのルールは、金比羅船々を歌いながら音楽のリズムに合わせて、交互に台の上の物に手を“パー(手の甲を上)”にして乗せます。
自分が物を掴んで上に持ち上げた時、相手は物が置かれていない台の上に手を“グー(手を握る)“にして乗せます。
そういった動作を繰り返し、先に間違えたほうが負けです。
要は相手に間違えさせるように誘い込むのです。
こんぴらふねふねで舞妓さんと勝負中
シンプルな遊びですが、これがなかなか面白い!
芸妓さんの三味線がビミョーにテンポが変わったりして、それにつられてつい間違えてしまうと大盛り上がりです!
下の映像がわかりやすいです。
「こんぴらふねふね」
次は、「とらとら」という遊びを体験しました。「とらとら」は、虎・老女・和藤内(槍)のどれかを選んで、踊りながら敷居から出てきて勝ち負けを楽しむ、いわばジャンケンゲームです。
踊りの決まりは、虎なら四つん這いのポーズ、老女なら杖をつくポーズ、和藤内なら槍で突くポーズです。ジャンケンで言うなら、和藤内がグー、虎がチョキ、おばあさんがパーです。つまり、和藤内は虎に勝ち、虎はおばあさんに勝ち、おばあさんは和藤内に勝つというルールです。
舞妓さんと芸妓さんでお手本
舞妓さんと芸妓さんでまずはお手本を教えてくれます。
「とらとら」の遊びは、「とらと~ら、と~らとら」というフレーズを唄いながら、敷居から出てきて勝負です。
こちらも下の映像を見るとわかりやすいと思います。
「とらとら」
次はいよいよ舞妓さんと勝負です!
友人(老女)は舞妓さん(和藤内)に勝ちました!
「とらとら」やってみると、メチャクチャ盛り上がって楽しいゲームです。
アルコールの勢いも手伝って、お茶屋遊びもすっかりリラックスして盛り上がりました。
とにかく舞妓さんと芸妓さんの楽しませ方が上手い!さすがは厳しい修行を積んでいるだけあります。六本木のねーちゃんたちとは大違い(笑)
こうして京都の大人の夜は更けてゆくのでした。。。
以上、一見さんでもお茶屋遊びができる方法の紹介でした。
お茶屋遊びは敷居が高いように思われますが、一度体験してみると、ぜひまた行ってみたい!と思わせる体験となりました。
このような京都市観光協会の取り組みは本当に素晴らしいものです。京都の伝統的な遊びの文化を守るためにも、これからもお茶屋遊びを応援したいと思います。
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