昨年の秋に中国の杭州に仕事で行ったときにも、中国のあまりの発展ぶりと日本で報道されている中国事情とのギャップに衝撃を受け、ブログ記事にも書きました。
日本人が知らない中国の最新事情(2018年夏の杭州訪問記)
今回の訪問では、都市の発展と併せて、中国人との付き合い方や、中国の社会構造についてさまざまな発見がありました。
グワンシと呼ばれる中国独特の人間関係や、富への考え方、そして(民間資本主義と対比した)国家資本主義社会についても深く考える良い機会となりました。
1. 上海訪問のきっかけ
今回の上海訪問は仕事関係の出張ではなく、親しい中国人の知り合いAさんからの招待がきっかけでした。Aさんは日本にも在住経験があり、日本語も堪能です。中国語が全く話せない私に代わって、今回の上海旅行のアレンジはすべてAさんが進めてくれました。
上海滞在中はずっとAさんが案内をしてくれたおかげで、私は何不自由なく上海を堪能することができました。
中国人のAさんとの付き合いは、グワンシと呼ばれる中国独特の人間関係について理解を深める良いきっかけとなりました。
グワンシについては後ほど詳しく取り上げます。
金曜日の夕方に仕事を終えてから羽田空港から出発、翌週月曜日の朝に羽田到着という、現地3泊4日の旅行です。
私が滞在したのは、ジンジャンホテル上海(上海錦江飯店)(Jin Jiang Hotel Shanghai)という、上海市の旧法租界中心部に位置する歴史ある老舗ホテルでした。
ジンジャンホテル上海のロビー
到着した日は夜遅かったので、近くのレストランで軽く食事をしたあと、早々にチェックインして翌日に備えました。
そして翌朝の土曜日。
部屋の窓から外を見ると快晴の良い天気に!
Aさんとはホテルロビーで待ち合わせ、ビュッフェの朝食の後、市内に繰り出しました。
2. 上海のシェアサイクル事情
日本でも話題になった中国のシェアサイクルを試してみました。
シェアサイクル
中国のシェアサイクルは、スマホで決済ができるだけでなく、借りるのも返すのも街中どこでもOKです。しかも、30分借りて料金はたったの1元(日本円で16円)!
中国のシェアサイクル業界は、ofo(黄色)、Mobike(オレンジ)、Xiaoming(青)の3社が激しい競争を繰り広げており、それだけ値下げも激しいようです。
ちなみに、ofoは上海ではほぼ撤退しており、Mobikeと、Xiaomingの一騎打ちとなっているようでした。
今回はオレンジのMobikeを借りました。
日本では、中国のシェアサイクルが経営破綻して、街に不要となったバイクが山積みになっており、シェアサイクルは失敗に終わったと報道されています。
たとえば、「大コケの中国シェア自転車、日本が学ぶべき教訓は?」の記事では、シェアサイクルのがれきの山とともに、日本は中国の失敗に学ぶべきものは何かと議論しています。
「中国シェアサイクルの本当の終焉」も似たような内容の記事です。
シェアサイクルのがれきの山
が、上海市内を見る限り、バイクは整然と並べられており、それなりに乗っている人も多く見かけました。
街中のシェアサイクル
これだけ整然とバイクが並べられていると、駅前の放置自転車でごちゃごちゃとしている東京のほうがよほどヒドイと思いました。
どうやら、中国人のマナーは日本人が考えている以上に良いのと、街には警備員がたくさんいて、バイクを並べたり常に景観を綺麗に保っているようでした。
「もてはやされたシェアサイクル、早くも頓挫した理由」という記事には、中国の利用者のモラルの課題があり、モラルに厳しい日本においては。。。と如何にも日本のモラルが中国よりも高いかのような記述がありますが、今や日本のモラル低下と中国のモラル改善が進んだ結果、大した差はなくなったと思います。
シェアサイクルが整然と並べられているのは、市内だけでなく、上の写真のように、郊外に向かう工場や倉庫街といった場所でも同じでした。
このような改革スピードの速さこそが、中国の底力であり、日本のマスメディアが報道しないものです。
そして、このような改善のスピードを認識しない日本のマスメディアは、相変わらず中国の悪い点だけを切り取った偏重報道をしているのだと良くわかりました。
そのシェアサイクルを借りて、上海市内を走ってみました!
シェアサイクルで車道を走ってみる
上海市内はたくさんの電動オートバイが走っており、音もなく結構なスピードで走っているので、慣れないと轢かれてしまいそうになります。
自動車の電動化・ハイブリッド化も相当進んでおり、街並木も美しく、まるでヨーロッパの古都を散策しているかのような錯覚を覚えました。
Mobikeで街を走りながら、一時は頓挫したシェアサイクルビジネスが、その後急速に進化復活していることを実感しました。
3. 上海の市街地
私が滞在したホテルの中心部は、開発はほぼ完了して以前のような古い街並みは残っていませんでしたが、少し離れた場所では、昔ながらの上海の街並みを垣間見ることができました。
上海中心部
高級住宅街
古い街並み
印象的だったのは、どの街角にも警備員がたくさん配備されており、また市内には膨大な数の監視カメラが設置されているので、驚くほど治安が良いことでした。
実際、夜中に市内を歩いていても、危険は雰囲気は全くなく、市内では路上犯罪など起こせないのではと思えるほどでした。
至るところに林立している高級マンションですが、ここ数年の不動産バブルによって、価格は恐ろしいほど高騰しており、一等地では東京都内の山手線内側の価格並みのようです。
不動産価格の高騰は凄まじく、Aさん曰く、15年前に2000万円で買ったマンションが今では3億円になっているとか、もはや良い物件は余程のコネがないと購入さえできないという状況のようです。
賃貸物件の高騰も激しく、上海に引っ越してきた外国人(大抵は大手の外資系企業に勤務)向けにいくらでも需要があるので、条件が良い物件ならば簡単に借り手は見つかるそうです。
市街の観光客が多いスポットの物価は、もはや東京と大して変わらないどころか、むしろ東京のほうが安いのではと思う程です。
残念だったのは、街中至る所でアクセス可能な無料のWiFiサービスが、どれも現地の電話番号を持っていないと使えないことでした。
ちなみに、中国ではアクセス規制されているGoogle, Facebook, LINEなどのサービスも、中國移动(チャイナモバイル)経由でのデータローミングサービスで問題なく使えました。
街を歩いて良く見かけるのが、若いカップルが幼い子供(一人っ子)を連れて歩いている光景です。たまに兄弟の子供を見かけますが、現地の中国人ではなく、シンガポールなどから来ている華僑だそうです。
また、若い人達が同じ色のウィンドブレーカーを着て、街のゴミ拾いをしていました。クリーンなまちづくりキャンペーンの一環ということで、とにかく街には労働者も観光客も含めて若い者が溢れているという印象でした。
4. 上海のショッピングモールIAPM
Aさんの自宅は、上海繁華街・淮海中路でもひときわにぎやかな陝西南路との交差点の近く、上海軌道交通10号線の「豫園(よえん)駅」から徒歩3分の高層マンションです。
豫園(よえん)駅
駅から高層マンションへ向かう途中に、食品や雑貨のマーケットがあります。
果物や鶏肉の種類が特に豊富で、値段もまあまあ庶民的でした。近隣の住人も普段はこういうところで食材を買っているようでした。
高層マンションの入口はロートアイアンのゲートと守衛が常駐しており、部外者は敷地に入れないようになっています。
豫園駅の周辺一帯は、再開発で高層マンション群が建つ前は、偽ブランド品を扱う市場「襄陽服飾市場」があった場所だそうです。
そこに、6年前(2013年)に、駅直結の巨大なショッピングモール「iapm」が誕生しました。iapmというのは、営業時間が深夜まで長いという意味だそうで、ほとんどのテナントが10:00~23:00まで営業しています。
iapm(Trip Advisorのサイトから引用)
テナント数も250以上と膨大で、「プラダ」「グッチ」「BOSS」「ヴェルサーチ」「アップルストア」「ヴァレンチノ」など、ほぼ全ての有名ブランドが集結しています。
日本の「無印良品」と「ユニクロ」も、グローバルフラッグシップ店を出しています。その広さたるや。。。「無印良品」は1,000㎡、「ユニクロ」に至っては世界最大面積の店舗だそうです。
しかし、このモールがオープンしたときの新聞記事によると、「ターゲットは19歳から35歳の若者」だそうです。。。上海の若者はどんだけ裕福なのでしょうか?
驚くべきことに、世界の高級ブランド品業界の売上高は中国の消費者の購入が3分の1超を占めています。年齢が10代後半から20代前半にかけての中国版「ジェネレーションZ(Z世代)」がブランド品市場で強力な購買層になりつつあるのです(「アングル:中国の「Z世代」、高級ブランド品の強力な購買層に」より)。
建物内部は吹き抜けになっており、あまりの美しさに息を呑むばかり。その豪華絢爛さに圧倒されてしまいました。
Aさんと奥さん、長女、そしてAさんの友人のBさんも一緒に、このモールのなかにある「稲香」という中華料理店で食事をご一緒しました。
どれも上品で日本人の好みにも合う味でしたが、フカヒレスープ(鶏のモモ肉が入っている)が特に美味しかったです。
こんな大規模のショッピングモールは、米国の大都市でも滅多にお目にかかりません。。。まさに国家資本主義の栄華の極致です。
5. 中国人の人間関係「グワンシ」
今回の旅行は、空港での出迎えから、ホテルへの送迎、豪華な晩餐会への招待まで何から何までVIP待遇の歓迎を受けました。私は上海の滞在中だけでなく、渡航費や滞在費も含めて1銭のお金も使いませんでした。
中国人の濃い人間関係を「グワンシ」と呼びます。
グワンシは、幇を結んだ相手との密接な人間関係のことを指し、中国独特のものです。
幇とは、朋友の意味で、論語で「同門の友」を意味します。
いったん中国人とグワンシという間柄になると、絶対的な信頼を置いた付き合いとなります。
逆に、グワンシではない相手とは、自分とは関係のない存在です。平気で裏切ろうが何をしようがお構いなしです。相手が内輪かどうかで決定的な違いがあります。
Aさんと私はグワンシの関係ということになります。
今回の上海への旅行は、Aさんが強く誘ってくれたもので、中国では誘った人が基本的にすべてのコストを負担するのが当たり前なのです。
これは飲み会や食事でも同じで、日本のように割り勘という概念は基本的にありません。
当然、相手はその逆を期待してわけで、そのようにお互いが奢り奢られる関係を深めていくことで、人間関係の壁の内側に入ることができます。
今回の上海旅行で、私は日本から和菓子の手土産を持っていきました。それも、かなり大きな箱に入った立派なものでした。
ところが、空港に迎えに来たAさんに手渡そうとしたところ、あろうことか、中身も確認せずに、不機嫌な表情を浮かべて運転手で来ていたAさんの友人の若い青年にいとも無造作にひょいとあげてしまったのです。
これはいささかショックでした。
要するに、グワンシの間柄では、日本の和菓子程度では、手土産とみなされなかったのです。
余程高価な贈り物や相手の趣味に合った骨董品などでないと、グワンシの間柄を確認することにならないということです。
相手がグワンシの間柄であれば、自分にできる最高のもてなしをする、それが相手への信頼の唯一の証になるのです。
グワンシのもう一つの特徴は、相手を裏切ることで得をする機会があれば、それを躊躇なく実行しても咎められないという点です。
日本人の道徳観では、とても受け入れがたい感覚ですが、中国ではこれが常識なのです。
そして、グワンシの間柄でのルールは、社会や国家のルールを超越するということです。
これが、いわゆる中国が法治国家ではなく、人治国家であるという背景になっています。
今回の滞在中に、Aさんはグワンシの間柄である若い実業家の青年Bさんを呼び出し、私の観光中ずっと一緒に行動していました。
Bさんはベンチャー企業のCEOで、たまたま上海には仕事で出張に来ているということでしたが、Aさんに呼び出されて、ずっと私の滞在中時間を割いてくれたのでした。
Bさんから贈り物として貰った中国茶は、中国でも数万円もするような超高級品でした。
しかも、Bさんは、ランチ代やタクシー代、挙句の果てには、お土産の代金まですべて払ってくれていました(もちろんAさんの指示です)。
ショッピングモールの中華料理店での夕食でも、Bさんは同席しており、このときAさんとその奥さんと娘さんとも親密そうに会話をしていたので(中国語なので私にはわかりませんでしたが)、BさんはAさんの家族ぐるみのグワンシの関係だったのです。
なので、Bさんはいくら自分が上海出張で多忙の身だろうが、Aさんから「俺に付き合え」と言われれば、問答無用で付き合うことになるのです。そして、それがグワンシとしてのBさんとAさんの絆を一層深めることになるのです。
このグワンシという人間関係がわかると、中国人の独特の行動様式(約束を守らない、法律を守らない)がずいぶん理解できるようになると思います。
グワンシについては「言ってはいけない中国の真実」という本に詳しく解説されています。
6. 国家資本主義の強靭さ
中国は周知のとおり、中国共産党による一党独裁政権の国家です。民間資本主義国家の日本からみると、このような中国の政治を見て、「うまくいくはずがない」「必ず崩壊する、破綻するに違いない」と信じ込みがちです。
日本の書店には、以前から「本当にヤバい中国経済」「中国崩壊で日本はこうなる」「中国崩壊前夜」なんてタイトルの本だらけです。
この「アンチ中国」の姿勢は、天安門事件の頃からずっと変わりありません。
しかし、現実は、日本の期待に反して、中国は急速な経済成長を果たして、今や日本を完全に抜き去って、世界有数の超大国として成功を収めています。
中国の国家資本主義は、トランプ大統領の米国がイデオロギーの最大の脅威として、敵対視するほどに成功を収めているのです。
日本は今や完全に中国に遅れを取っています。
それでも、日本のマスメディア、特にTVやニュース報道は、連日のように中国の偏重報道を流し続け、中国のネガティブキャンペーンに躍起になっています。
これは一体どういうことでしょうか??
以下は北京に長年赴任したことのある友人(日本人)から教えてもらったことです。
中国は国益が何であるかを中国共産党が明確に把握しており、それを一党独裁ならではの強力な指導力と実行力で計画的かつスピーディに推進している世界で唯一の大国である、と。
確かにその通りです。
日本は与野党の不毛な議論ばかりが横行し、国益に関しての意見がバラバラです。
米国は共和党のトランプ政権になって、以前の民主党の政策がすべてゼロリセットされてしまいました。
イギリスは、民主的な投票で決められたはずのEU離脱問題が国を分裂させ、政権運営どころではない危機的状況となっています。
そんななか、中国だけは、政権交代と無縁の中国共産党が、自国の将来像を超長期的視野から構想し、改革を進めているのです。
かつては万能のイデオロギーと思われていた民主主義に基づく資本主義が、世界各国でほころび初めているのです。
中国には、欧米の先進国で認められている基本的人権や自由が制限されているのは事実ですが、国民の大多数は、その見返りとして、(監視されている)安全な社会と、全国民が豊かになったという恩恵にあずかっているのです。
中国共産党の一党独裁が政治の腐敗に繋がっているのも紛れもない事実ですが、そこには、前述のグワンシという中国独特の人間関係が関わっていることと、中国共産党は、世界にも類を見ない汚職に厳しい法制度を誇り、ダブルスタンダードでうまくバランスしているように見えます(汚職や収賄の罪で死刑になるのは世界でも中国くらい)。
そして、皮肉にも、日本という隣国の存在と歴史的経緯から、中国という途方もない人口を擁する大国家が、抗日というナショナリズムの御旗の下に国として団結してまとまっているのも事実です。
中国で印象に残るのは、中国国民は日本に対して反感感情を持っていることはなく、むしろ隣人として親しみを感じているということです。
尖閣諸島問題や、靖国参拝問題など、国家の歴史認識では、反日・抗日であっても、個人の人間関係は、金儲けや安全といった人間の欲求が原動力となっていれば、日本人だからという制約を外して、国家と切り離してしまえばよいという考えです。
こうして考えてみると、中国の推進する国家資本主義というのは、中国と国民の双方にとって実に正しいイデオロギーではないかという気がしてきます。
実際に、中国で出会った人たちは、中国共産党に感謝しているのではないかと思えるほど現状に満足している人たちばかりでした。
これまで私は、民間資本主義こそ国家政策のあるべき姿と一元的に信じて疑いませんでしたが、イラクやアフガニスタンの民主化の失敗や、現在の米国が抱えている格差問題や保護主義政策などを見ると、先入観を捨ててもう一度考え直すべきではと感じました。
7. 中国を見て現代の日本を振り返る
日本がすべきことは山積ですが、「ありのままの中国を知ること」がスタートだと思います。そのためには、中国の現実を知ること(実際に訪問して自分の眼で見るのがベスト)、そしてマスメディアの偏重報道からウソやフェイクを見抜き、中国に対するもっと寛容な姿勢を、歴史から真摯に学ぶことだと思います。
具体的な例を一つ挙げます。
以下は、以前のブログにも書いたのですが、昨年(2018年8月31日)にテレビ東京のWBS(ワールドビジネスサテライト)というニュース報道番組で流されたものです。
「日本のメディアの中国に対する偏見について」
中国から帰国した日の夜のニュースで、中国人の話題が取り上げられていました。
8月31日放送のWBS
中国の出生率が低下していると紹介
でも待ってください。
2019年現在、日本は出生率1.42で世界最低レベルとなっています(世界187ケ国中171位、ランキングはこちら)。一方、中国は出生率1.7でこれは先進国では平均レベルです(152位、米国やイギリスより下でドイツやカナダより上)。しかも過去10年の人口増加の推移からすれば、「止まらぬ少子化」どころか、長年の一人っ子政策にも関わらず14億人に迫る勢いで人口増加が続いてきたことがわかります。
中国の人口推移(こちらのサイトより)
こんなことは、わざわざグラフや統計を使って調査しなくても、中国の主要都市を訪ねてみればそこに暮らしている若者の多さから一目瞭然のことです。
世界最低レベルで超高齢化社会で疲弊する日本がニュースでは「老いる中国」とネガティブに報道しているのは、滑稽としか言いようがありません。
このようなフェイクニュースや偏重報道は他にもたくさんあります。
1.中国人は教育レベルも低くマナーが悪い → ウソ
2.中国製のモノは品質が悪いコピー商品ばかり → ウソ
3.中国の都市は空気が汚い → ウソ
4.貧富の格差が社会に歪みを生じている → ウソ
5.中国人は日本人を嫌っている → ウソ
どういうわけか、このような中国のここ数年の躍進を、日本のメディアは一切取り上げず、相変わらず中国の悪い点ばかりを誇張して報道しています。
「ひとは誰でも、自分の見たいものしか見ないし、自分の理解したいものしか理解しない」
歴史を学べば、日本という国が如何に中国の影響を受けて発展してきたか(と同時に、近代中国が如何に日本を手本に発展してきたか)を知ることができます。
そうすれば、現在日本に蔓延する「中国は理解できない」「中国は信用できない」といった先入観と上から目線の視点から脱却できて、中国と建設的な信頼関係を結べるのではと思います。
個人的には、欧米流の民間資本主義は日本では限界に来ていると考えています。なぜなら、欧米の資本主義というのは、キリスト教の信仰に深く基づいているのですが、日本にはキリスト教の信仰がないからです。
最近の老後資金2000万円と年金問題のニュースを見ていても、(マスメディアの不要な扇動は相変わらずとしても)日本国民の資産運用に対する認知度の低さに驚きました。
以下は「残念ながら「老後資金2000万円必要」は歴然とした現実である」の記事からの引用です。
20~60代の勤労者(会社員・団体職員)の男女に聞いたアンケート(有効回答1101名)で、「あなたは将来の自分の生活において、どの程度お金が必要か計算したことがありますか」という質問に対し、回答は次のようなものだった。
(1)「計算してみたいが、やり方がわからない」32.5%
(2)「考えたことがない」32.3%
(3)「計算したことがある」23.5%
約3分の2の人が「考えたことがない、計算の仕方がわかない」、約4分の1の人が「計算をしたことがある」という結果に(アンケートは、SOMPOホールディングスによる「人生100年時代の働き方に関する意識調査」2018年12月実施より)。
自分で将来必要になるお金の計算もしていないで、政府に「年金での安心な老後を保障しろ」と要求しているのです。
どうやら日本国民の大多数は、政府が国民の老後の豊かな生活を保障すべきと考えており、そこには、欧米で当然視されている個人のリスクを取るという概念が欠如しているように思えます。
むしろ、中国のような国家資本主義で大きな政府が強力なリーダーシップで長期的なビジョンの下、国の施策を(たとえ腐敗政治が続いたとしても)推進するほうが、日本はもっと経済成長して平和な国になるのではと思えてなりません。
コメント