自転車通勤中に、無理して急旋回を試みたところ、自転車がバランスを崩してしまい、その勢いで腰をグキッと激しくやってしまったのがきっかけでした。
これまでさまざまな療法を試しました。マッサージ、体操、体幹トレーニング等々。。。これらはある程度の効果はあるものの、完治には至っていません。
10年以上続けている早朝ジョギングが腰に負担をかけており、腰痛の原因になっているのは間違いありません。
最近、腰痛は身体を動かさずにじっとしているより、スイムの力泳などである程度運動負荷を高く筋肉を動かしたほうが一気に回復することがわかってきました。
果たして参考になるかどうかわかりませんが、腰痛に最も効果的と思われる従来療法と運動負荷の高いスイムの組み合わせについて、10年間の腰痛闘病記とともに記すことにします。
1. 腰痛について
日本整形外科学会の調査では、日本全国に腰痛のある人は3,000万人いると推計されています(「3,000万人が悩みを抱える腰痛。原因は?」より)。腰痛の原因が特定できる場合が約15%、腰痛の原因が特定できない非特異性腰痛といわれる場合が約85%もいるのです。
現在、腰痛治療として一般的に知られているものは以下の通り。
- 安静
- 手術
- 温熱療法
- 電気治療
- 牽引療法
- コルセット
- マッサージ
- 整体
- 鍼(はり)治療
- 運動療法
- 認知行動療法
しかし、腰痛の実に85%の原因が不明ということは、腰痛の治療方法も果たして有効なものかどうか誰にもわからないのが実情です。
実際には、いくつかの手法を組み合わせて、自分の腰痛をコントロールするしか解決法はありません。
また、腰痛対策には、体幹を鍛えて背骨を支える筋肉を作れば良い、という話を聞きますが、それも必ずしも正しくありません。
現に、トライアロンをやっていて日頃からトレーニングをしている私自身、体幹は人並み以上に鍛えていると思いますが、それでも腰痛は一向に治らないどころか年々悪化しているのです(もしかしたら体幹トレーニングのやり方が間違っているのかもしれませんが。。)
これは私の従兄弟の整形外科医に聞いた話ですが、極論を言えば、二足歩行というのは生物学的に無理があって、腰痛を根絶するためには、四足歩行(もしくは常に両手を使って体重を支える)をするしかないということです。
以下は、私のこれまでの腰痛闘病記のまとめですが、アイシングや整体といった従来療法と、運動負荷の高いスイムを組み合わせることで、最も効果的な腰痛治療に繋がることがわかりました。
2. ギックリ腰のきっかけ
前述のとおり、私が初めてギックリ腰になったのは、今から10年前の2008年12月15日のことでした。自転車に乗っていて腰を強くひねったのが原因でした。そのときは、あまりの痛さにその場でうずくまってしまいしばらく動けませんでした
。やがて何とか自転車にまたがって会社まで出勤しましたが、帰りに病院に立ち寄る際も、苦痛で自転車からなかなか降りることさえできず、相当な重症でした。
翌日からはベッドから起き上がることさえできずに、会社を3日間休みずっと寝たきり状態でした。寝返りはもちろん、日常生活は何一つ自分でできずに妻に介護してもらいました。
少しでも動こうとしようものなら、腰にズキーッという稲妻のような激痛が走り、息もできない程でした。
整形外科でのレントゲン結果では、異常なしということで、その後は行きつけの近所の整骨院に通いましたが、当時は腰痛の知識が全くなかったため、発症直後に患部を冷やすという大事な応急処置もしませんでした。
結局、そのギックリ腰は完治まで数か月もかかってしまい、その間は普段の歩行もペンギンのようなよちよち歩きしかできず、大変な苦労をしました。
不思議なもので、ギックリ腰のときは、どんな姿勢よりも、自転車に乗っている姿勢が一番ラクでした。なので、自転車通勤はラッシュ混雑の電車を利用するよりもはるかに助かります。
自転車でギックリ腰になった時期は、ちょうど人生初のフルマラソン(第3回湘南国際マラソン)を完走した翌月のことでした。
私は社会人になってからはろくにスポーツをせず、不摂生な生活もたたって、メタボ直前のBMI値が25近くまで肥満が進行してしまい、これではマズイということで一念発起でジョギングを始めたのでした。
ジョギングを始めてからは、みるみるうちに体重が減り、同時に走る楽しみにも目覚めてしまい、1年間で1,000kmを走り込みました。
そんな状況だったので、自転車でギックリ腰になったときは、身長168cm、体重60kg、体脂肪率も12%台と、適度に痩せて筋肉質な健康体でした(当時43歳)。
しかし、突然のジョギングで走り込みを続けていたので、身体に相当な負荷がかかっていたのかもしれません。
ちなみに、私は人一倍身体全体が硬く、関節の動く可動域が極めて狭いというハンデがあります。
整骨院でのマッサージは、ギックリ腰発症のはるか以前、ジョギングを始めるようになって以来ずっと定期的に通っていました。
私の身体の硬さは整骨院でも有名で、これまでたくさんの整体師さんに「こんなに関節の硬い患者さんはなかなかいない」と言われました。
出勤前にほぼ毎日のように整骨院に通って、電気治療と、整体師さんにマッサージをしてもらった結果、3週間ほどでようやく痛みが収まって、普通に歩行できるようになりました。
3. 腰痛の慢性化
このギックリ腰が、その後ずっとクセになってしまうとは当時は予想もしませんでした。今から思い返すと、あのとき、自転車でギックリ腰にならなかったら、どれだけラクな人生だったろうか、と後悔することもあります。
最初のギックリ腰が完治した後は、早朝のジョギングや自転車通勤も再開したのですが、年に数回は、何の予兆もなしに突然ギックリ腰が再発することがあり、その後もずっと苦しめられることになります。
酷いときは、会社に出社することができない程のギックリ腰でした。
腰にズキーッという稲妻のような激痛はありませんでしたが、腰が曲がった状態から延ばすことができず、歩くのが精一杯という状況でした。
ギックリ腰発症のたびに、まずは保冷剤などでアイシング、そして整骨院でマッサージ施術というパターンの繰り返しでした。
以下はその後のギックリ腰発症の履歴です。
2009年6月:朝ギックリ腰が再発。整骨院でマッサージ施術してもらうも、回復せず、その日はずっと腰が曲がった状態でした。運悪く、夜に取引先の社長との会食があり、デモ機材の持ち運びもあったのですが、社長に機材の搬出入を手伝ってもらうという情けない状況でした。。。
2010年4月:会社のゴルフコンペの翌日にギックリ腰が発症。慣れないゴルフで腰を酷使しただけでなく、往復の長時間の運転も発症のきっかけとなったようです。
2012年3月:ギックリ腰が再発。新居への引っ越しで重い荷物を運ぶなど、過労が蓄積したのが原因でした。
2016年4月:職場が変わってギックリ腰が発症。業務が多忙でストレスが溜まったのが原因でした。
2018年4月:早朝にジョギングに出たところ、わずか数分走ったところで腰の痛みで断念。前日にキツめのジーンズで一日中外出して出歩いていたのが原因です。
2018年10月:月曜日朝にギックリ腰発症。前日に子供とドッジボールをやったのが腰に悪かったようです。
不思議なもので、これだけ酷い腰痛持ちであっても、トライアスロンをはじめ、100kmを走るウルトラマラソンや、600kmを自転車で走破する超ロングツーリングなど、耐久系のスポーツを続けることには何ら障害になりません。
これまで20レース以上の耐久系スポーツの大会に出場しましたが、腰痛がレースの途中で発症したことは一度もありません。
4. 症状の急激な悪化
2018年の秋頃(腰痛発症から9年目)から腰の状態が急激に悪化しました。毎朝ベッドから起き上がるときに腰が痛く立ち上がれない日々が続きました。これまで何年も変わらず使ってきたベッドが硬く感じるようになりました。
原因は不明です。特に生活面で何かが変わったわけでもありません。
不思議なことに、朝は腰の調子が最悪なのですが、いったん起き上がって日常生活をしていると、夜まで全く痛みも感じずに腰の状態も回復する毎日でした。
そして、11月のある夜。。。
夜中にぐっすりと眠っていたところ、明け方に突然腰に激痛が走って目が覚めました。
寝返りをして痛みを和らげようと試みましたが、痛みは収まるどころか、激痛が続いて息ができないほどです。額からは脂汗がしたたり落ちます。
あまりの痛みに隣で寝ていた妻を起こして、助けてもらいます。
とにかく、どんな態勢になっても痛みがひかず、あまりの痛さに気を失いそうに。。。
こんなことは初めてでした。
必死の思いでうつ伏せになって、身体を突き刺すような激痛が収まるのをじっと我慢して耐えるほかありませんでした。
やがて、ようやく痛みが収まりました。
翌朝になって整骨院に行き、診察してもらいますが、特に異常は見つかりません。
腰痛の痛みはすぐに消えましたが、毎朝ベッドから起き上がるときに腰が痛く立ち上がれない日々はその後も続きました。
知り合いに寝る前のストレッチ体操を教えてもらいました。
寝た態勢で、腰をひねって右腕と左脚(もしくは左腕と右脚)をクロスさせるようにストレッチするのです。
ストレッチ体操で腰が延ばされたような感覚はありましたが、朝の腰痛にはあまり効果はありませんでした。
5. 壁反らし体操
2019年、4年振りにトライアスロン大会に出場を決め、準備のためのトレーニング(スイム、自転車、ジョギング)を始めました。トライアスロンは、2014年~2015年の2シーズンの間に合計4レースほど出場したことがあります。
その後、ジョギングは継続していたのですが、体重はみるみるうちに増えてしまい、2018年の夏休みにはついに大台の70kgを突破してしまいました。
体重増加が腰痛の急激な悪化を招いた要因ではないかとも考え、トレーニングを重ねて減量を目指すことに。
半年後には、体重は5kg減量して、身長168cm、体重63kg、体脂肪率も15%台とまずまずの数値まで改善しました(この時点で53歳)。
8月。朝プールで泳いだあとに、テニスのシングルスをやり、その後、1時間ほどジョギングしたところ。。。久しぶりにギックリ腰を発症。
プール、テニス、ジョギングと連続の運動のやり過ぎ、特に、慣れないテニスのシングルスで腰に負担がかかり過ぎたのが原因でした。
4年ぶりのトライアスロン大会の直前だったので焦りましたが、以前通っていた整骨院で3回ほど施術をしてもらった結果、無事に回復。トライアスロン大会では全く問題ありませんでした。
9月。続いて2度目のトライアスロン大会に出場しました。この大会はオフロードトライアスロンとういう過酷な競技でしたが、無事に完走。
完走後も、体調は絶好調で、腰痛は一切感じることなく、かつてないほど体調も好調でした。
ところが。。。
大会の2週間後に、朝ジョギングをしたあとに、みるみる腰が悪化して、夜には歩けないほどに悪化してしまいました。
発症当日に患部を冷やさなかったのがいけなかったのか、その後整骨院マッサージを何回受けても一向に回復しません。
結局、発症から5日経過しても痛みが引かず、長期間安静にしていたせいで脚腰や背中の筋肉もカチコチに固まってしまいました。
ここまで回復の遅い腰痛は初めてでした。
図書館で腰痛に関する本を何冊か借りてきました。
そのうちの一冊が、「どこでも腰痛体操」という本でした。
この本に載っている、痛みナビ診断の結果、私は後屈改善タイプということで、それに効果のある「壁反らし体操」というものを試してみました。
壁反らし体操
後屈改善タイプというのは、腰痛患者の60%が該当するそうです(前屈改善タイプは25%、側方改善タイプは10%)。
「壁反らし体操」は、腰痛の患部の炎症が収まっていれば、なかなか効果的な体操でした。
しかし、痛みの軽減にはなるものの、時間が経つと再び腰が曲がってきてしまい、痛みも復活してしまいます。。。
6. 電動リクライニングマットレスの活用
そんなある日、ふと思い付いて、使っているベッド(フランスベッドのRP-1000)が電動リクライニング機能が付いていることを利用して、ベッドを水平状態から、下半身と上半身を少しだけ起き上がらせた状態で使用することにしました。毎朝ベッドから起き上がるときの腰の痛みは随分と軽減され、やがて、以前のように普通に起き上がれるようになりました!
どうやら、寝ている間に寝返りを打つことが重要らしく、ベッドのリクライニングで角度をつけてやると、その寝返りがしやすくなるようです。
電動リクライニングは、当初は寝ながら寝室のテレビをながら見しようと思って購入したのですが、まさか、腰痛対策に効くとは思いもしませんでした。
7. ジョギングと腰痛の関係
1年前からの症状の急激な悪化は、ジョギングの頻度(と強度)が一つの原因だと考えています。ジョギングを始めた当初は、ハーフマラソン大会を完走した直後に、腰がグラグラしていまい、結局ギックリ腰に繋がったこともあります。まだ身体ができていなかったのに無理をしたことも影響したのでしょう。
以下は、私の過去10年間のジョギング記録ですが、2014年に年間1200kmをキロ平均5分30秒ペースで走ったのを最後に、ここ数年はキロ平均は6分を超えてスローペースで走っていました。また、年間走行距離も600~700km程度でした。
過去10年間のジョギング走行記録
それが、1年前から、トライアスロン復帰を目指して、年間走行ペースを4年振りに1000kmに戻し、走行ペースもキロ6分を切るまでペースアップしています。併せてビルドアップやダッシュなど運動負荷の高いものを積極的に取り入れるように強化しました。
1年前からジョギングの頻度と運動強度を上げた時期と、腰痛の急激な悪化の時期はちょうど重なるのです。
また、ジョギング中に腰痛を覚えて、その後急速に症状が悪化してギックリ腰が発症したケースも何度かありました。
これまでレース中の発症はありませんが、トレイルランやウルトラマラソンなど運動負荷の極めて高いレースの直後は、ほぼ必ず腰が曲がらない状態となってしまいます。
私はジョギングは早朝、朝起きてすぐに外に走りに行くことがほとんどなのですが、運動前後のストレッチもやっているつもりでしたが、そのストレッチのやり方もまずかったようです。
生来身体の関節が非常に硬いので、無理やり腰に負担のかかるような前屈をやってみたりした結果、かえって腰痛の原因を作ってしまっていたようです。
ジョギングでの腰への負担は、ジョギングシューズや柔らかいソール/靴下の選択など、いくつか工夫ができますが、やはり、負担がかかるのは避けられません。
8. スイムによる腰痛対策
最近の腰痛の話に戻します。腰痛がなかなか回復せず、発症から6日目に、いい加減しびれを切らしてしまい、半ばヤケになって思い切ってプールに行って1時間ほどノンストップで泳ぐことにしました。
安静にしていてもダメならば、逆にショック療法で刺激を与えてやろうと考えたのです。
その結果。。。
久しぶりのノンストップ1時間のスイムがハードだったこともあり、プールから上がったときには腰痛の痛みは不思議と消えていました!
調子に乗って、翌日もプールに行って、今度は2,000mをノンストップで泳いでみました。2,000mという距離は、普段泳ぐ距離より長く、プールから上がったときには相当の疲労を感じました。
疲労感があまりに強かったからか、腰痛の痛みは不思議なほどすっかり消えてなくなってしまったのです。
どうやらスイムでのショック療法が効くということがわかりました。
確かに、スイムでは、3kmを超えるような長距離を泳いでも、それが原因で腰痛が発症することはこれまで一度もありません。
マラソンやスポーツバイクなどとは違い、スイムは腰に負担をかけずに、腰痛で凝り固まった筋肉を適度にほぐすのに最も理想的なスポーツなのかもしれません。
もちろん、ギックリ腰発症直後には、無理してスイムをやっても症状を悪化させるだけですので、ある程度症状が落ち着いてからの話となりますが、スイムが腰痛改善には効果的なのは間違いないと思います。
6. 従来療法とスイムの組み合わせ
以上の経験をまとめると、私の場合は次のような療法が最も効果的という結論になりました。6.1 腰痛予防
- ストレッチ体操は、前屈は避けて、後屈を中心に無理しない程度に行う
- ストレッチポールの上に仰向けに寝て、鳥の羽ばたき運動で肩や肩甲骨周りをほぐす
ストレッチポール
- ソファにもたれるなど腰に負担のかかる姿勢を避ける
- ベッドのリクライニング機能を使って上体と脚を適度に傾ける(寝返りが打ちやすくする)
- テニスやゴルフといった普段やらないスポーツは、クッション性の高いシューズを履くなどして負荷を軽減する
6.2 腰痛治療(発生直後)
- とにかく一刻も早く保冷剤などで冷やす(10分冷やしたら50分間隔を空けて血行を確保する)
保冷剤とガーゼ
- 整骨院でマッサージ施術を受ける
- コルセットで固定させる
- 椅子の背もたれにクッションを入れる
6.3 腰痛治療(一定時間経過後)
- なるべく普段と同じ生活で身体を動かして筋肉が固まるのを防ぐ
- 壁反らし運動を継続する
壁反らし運動
- スイムで通常以上の負荷(例えば2,000mをノンストップで力泳)をかけて、腰痛が気にならないくらいまで追い込む
腰痛とは一生の付き合いになるかもしれないので、これからも工夫して自分なりの予防法と治療法を探りたいと思います。
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