台風が過ぎ去り一夜明けた翌日の早朝、私は多摩川河川敷のジョギングコースに様子を見に散歩に出かけました。
すると。。。二子玉川公園から二子玉川駅方面に向かう砂利道の水溜まりには、無数の小魚が打ち上げられているのを発見!
小魚の種類は、ウグイ、シマドジョウ、ハゼ、オイカワ、モツゴなど。また、アユやフナなど中型の魚も打ち上げられていました。
1. 多摩川の氾濫
超大型の台風19号は、非常に強い勢力を保ったまま関東地方を直撃、最大風速61.5km/hを記録しました。
京浜河川事務所ライブカメラの映像
多摩川では、22時過ぎに世田谷区玉川地先(左岸)付近において氾濫が発生しました。多摩川の上流にあたる小河内では12日だけで550ミリを超える大雨となっていて、日降水量の観測史上1位を更新しました。
東京23区西部の世田谷区にも午後10時34分に大雨特別警報が発表されました。
その後は関東を抜けて、風も雨も収まり、明け方4時過ぎには特別警報も解除されています。
一夜明けた朝方7時ごろの多摩川の様子です。
13日早朝の多摩川
2. 二子玉川の河川敷
小魚が打ち上げられていた現地は、二子玉川駅から多摩川沿いの河川敷を200mほど川下に進んだ場所です。ちょうど、二子玉川ライズのマンションの正面あたりの砂利道のランニングコースです。
現地の場所
砂利道と河川の間の芝生の境目にある水溜まりに、たくさんの小魚の群れを発見しました。
小魚の群れ
台風が過ぎて快晴の天気となり、水溜まりが徐々に浅くなり、ピチピチと飛び跳ねている魚もいます。
砂利道の近くに飛び出してしまった小魚はすでに息絶えてしまっているものも多くいました。
既に息絶えた魚たち
昨晩の台風来襲のときはこの辺りはすっかり水没していたのですが、朝方には水位が下がり、残った水溜まりに大量の小魚が取り残されてしまったようです。
なかには大きなサイズの魚も打ち上げられていました。
大きなサイズの魚も
良く見ると、立派な赤いハサミを持ったザリガニまでいます。ちょっかいを出したらハサミを振りかざして威嚇してきました。これはちょっと手出しできない。。。
ザリガニ
水溜まりは100mほどの幅に渡って断続的に続いており、本当に小さな魚は群れを作ってその水溜まりを川下の方向へ泳いでいました。
小魚の群れ
FNNニュースでは、「東急の二子玉川駅から直線距離で100メートルほどの場所では、道路の上に小魚が打ち上げられている」と報じられていたようです。
散歩に来ていた人たちが、その魚たちを救おうと、手元に見つかった容器などを使ってすくっていました。
救出作業
小魚といっても大切な命、見殺しにするわけにはいきません。
私も、近くに捨ててあったペットボトルとビニール袋の切れ端を見つけてきて、小魚救出活動に加わりました。
多摩川の濁流を見物している人たちから、「オヤジさん、そこにも魚がいるよ!」と声がかかります。
すばしこく逃げ回る小魚をすくって、ペットボトルに入れるのはなかなか大変です。
手で握れるくらいのサイズの魚は、そのまま川に向かって放り投げてやりました。
1時間くらいかけて100匹くらいは救いましたが、小魚の数は半端なく多く、きりがありません。。。
弱っているシマドジョウやハゼなどはペットボトルに入れて、急いで自宅に戻りました。
3. 持ち帰った小魚たち
打ち上げられていた小魚は、どれも多摩川に多く生息している種類のものだったようです。バケツにろ過機をセットして、ペットボトルに入れて持ち帰った魚たちを移しました。
小魚は、ウグイやアユ、オイカワを青いバケツに、肉食系のハゼは白い洗面器に、そしてシマドジョウはメダカの水槽に、それぞれ3つの容器に分けました。
青いバケツには、塩をほんの少しだけ加えた真水を投入し、塩浴させると、何匹かはやがて元気に泳ぐようになりました!
特にキンブナは死んでしまったもんだと思っていたら、写真(遺影?)を撮ったときに「ピクッ」とヒレが動いたので、急いで塩浴させたら。。。なななんと!蘇生しました!
(死んだと思って撮影した)キンブナ
フナって生命力が強いのでしょうか。。
しかし、何匹かは治療の甲斐なくひっくり返った状態で死んでしまいました。合掌。。。
青いバケツの水面から飛び出してしまって死んでしまったのは、ウグイ(かスゴモロコ)でしょうか。ちょっと場所を離れた間でした。。。可哀そうなことをしてしまいました。
死んでしまったウグイ(か、スゴモロコ)
白い洗面器に入れた4匹のハゼは非常に耐性の強い魚で、食欲の旺盛な魚なので他の魚とは隔離しました。
ドジョウと違って、水面から勢い良く飛び出すことはありませんが、臆病なので、隠れ家になる石を入れてやると、すぐにその下に潜ってしまいました。
洗面器
大きなヒレのある体長5cmくらいの魚は、マハゼでしょうか、それともヌマチチブ(いわゆるダボハゼ)?
マハゼ?ダボハゼ?
ハゼの習慣としては、普段は水底に腹をつけてじっとしているのですが、何か変化があると勢いよくバタバタと速いスピードで泳ぎまくります。
メダカの水槽に入れた3匹のシマドジョウは、メダカと混泳させても問題ありません。
シマドジョウ
シマドジョウのほうがはるかに大きいのですが、シマドジョウはメダカを襲いません。以前、シマドジョウを飼っていたことがあるので、それは知っていました。
メダカはシマドジョウには全く興味がない様子で、いつも通り水槽のなかをのんびりと泳いでいます。
それとは対照的に、3匹のシマドジョウは水槽のなかを上へ下へとせわしなく泳いでいます。
シマドジョウは、普段はおとなしい性格なのですが、環境の急変など不安を感じるとこのようにせわしなく動くようです。ちょっと気の毒ですが、辛抱して慣れてもらいましょう。
1時間くらい経過して様子を見ると、案の定、シマドジョウは水槽の底にじっと落ち着いているようになりました(疲れてしまったのかもしれませんが)。
持ち帰った小魚たちは、しばらく観察したあとは、明日にでも多摩川に戻してやる予定です。
(2019年10月14日追記)
昨日の小魚たちを多摩川に帰してやりました。
小魚たちを放流
打ち上げられた場所の近く、電車の高架の下の場所です。
ペットボトルの中身をドボドボと水に流します。小魚たちはあっという間に見えなくなってしまいました。
2本目のペットボトルに入ったハゼを放ったあと、一番大きなサイズのハゼが、少しの間動かずに水面近くに留まっていましたが、やがて泥の底に消えました。
「オッサン、ありがとよ」
と言っているような気がしました。
4. 多摩川に生息する小魚たち
二子玉川周辺の多摩川で良く見られる魚の種類は、コイ
モツゴ
タモロコ
ギンブナ
オイカワ
マルタ
ヨシノボリ
ヌマチチブ
ニゴイ
ナマズ
ドジョウ
マハゼ
ボラ
などです(国土交通省の資料「多摩川は生きている」による)。
川魚の種類を調べるのに重宝しているのが、鶴見川流域センターで無料配布している「鶴見川流域おさかな図鑑」というパンフレットです。
鶴見川流域おさかな図鑑
鶴見川と多摩川は、生息している川魚が似ているので、この図鑑でいろいろ調べることができます。
モツゴとタモロコは多摩川でも良く見かける小魚です。
モツゴは別名「クチボソ」。身体に黒い一本スジが特徴です。
タモロコはモツゴに似ているのですが、モツゴのクチボソに対してタモロコは顔がまるっこいのと、小さなヒゲがあります。
オイカワも多摩川で良く見かけますね。繁殖期には身体に赤と緑の鮮やかな筋が出てくる特徴があります。
モツゴ、タモロコ、オイカワはみなコイ科の淡水魚です。前述のキンブナもコイ科です。
コイ科と並んで種類が多いのがハゼ科の魚たちです。
「マハゼ」「ウキゴリ」「スミウキゴリ」「ダボハゼ」。。。いろいろ種類がありますが、私にはあまり見分けがつきません。
東京都産業労働局の「多摩川の魚たちの現状は?」という資料によると、多摩川中域の魚の種類では、一番多いのが「スゴモロコ」、次は「オイカワ」、「ニゴイ」、「アユ」、「ウグイ」と続きます。
「スゴモロコ」は特定外来種です。近年急激に増加しているようです。見た目が「ウグイ」に似ているので私には区別がつきません。。。(スゴモロコは「東京都の某河川の温排水でスゴモロコ、ウグイ、ニゴイ、オイカワ採集」を参照)
「玉川ねっと」というサイトにも川魚の詳しい一覧が載っていますので詳細はそちらをご覧ください。
下は去年の7月に成城近くの野川で次女と「ガサガサ」をやったときの写真です。
台風一過の河川敷は、まるで水族館のように、いろいろな魚を観察できる貴重な機会でした。
しかし、凄まじいほどの数の小魚たち。。。多摩川に生息する魚はいったい全部で何匹くらいいるのでしょうか。。。?
とっても良い記事ですね。
返信削除災害にあった魚たちを少しでも、守りたいですね。
僕は荒川水系に住んでいるのでの、僕はこの流域の魚たちを少しでも守れたらと思って行動します。
リーマンバサー
リーマンバサーさん、コメントありがとうございます!
削除魚たちも同じ生き物、助け合いですね。
私も多摩川や野川の魚たちを守るために行動します。
今後ともよろしくお願いいたします。