LP-2020A+というモデル名にあるとおり、オーデイオマニアには有名な伝説のTripath TA2020 というデジタルアンプ用チップを搭載しています。
残念ながら既に生産終了品なのですが、市場にはその類似品が大量に供給されており、なかには正規品と見分けがつかない精巧な偽物も出回っています。
私は、数年前に購入したLP-2020A+の正規品(シルバー)を愛用しているのですが、最近もう一台(ブラック、中古品)をAmazonで購入しました。
しかし、届いた製品をさっそく試聴してみると、何だかごく普通の音しか出ません。LP-2020A+正規品の朗々たる感動的なサウンドとは違うような。。。
数日間我慢して聴き続けましたが、どうしても納得できず、ついに分解して内部を確認してみることに。
すると。。。なんと中古品で購入したものは、内部の回路基盤が「Lepai」ではなく「LEPY」のブランドでした!
購入したものが純正のLepaiではなかったのは残念でしたが、ブラインドテストで聴き分けることのできた自分の音感の鋭さには我ながら感心してしまいました。
1. 外観
外観は一見全く同じように見えます。左側のシルバーが正規品、右側のブラックが最近購入したものです。Amazonの出品者(大阪のマルベルというストア)から中古品で3,780円で購入しました。
元々、正規品にもカラーはシルバーとブラックの2種類が存在していたので、ブラックだから偽物というわけではありません。
正面
背面
上面
筐体のサイズやモデル名表記、ブランドロゴなどは皆同じ、造りも全く同じようです。
背面のプリントをよくよく比較してみると、文字フォントが微妙に異なることがわかりました。
裏面の文字
ブラック(今回購入)の文字フォントのほうが、シルバー(正規品)より、ほんの少しだけ太いフォントです。
電源入力部は
ブラック(今回購入):POWER INPUT
シルバー(正規品):DC12V2A
と明白に異なる表記となっています。
電源入力部
また、写真ではちょっとわかりにくいのですが、ケースを固定している四辺のネジが、ブラックではトルクスのT8(星型)に対して、シルバーでは通常のミニドライバーのプラスネジとなっています。
2. 内部
製品を分解して内部を確認しました。背面パネルを固定している4か所のネジと、3か所のやや大きいネジの合計7か所のネジを外すと、背面パネルが取り外せます。
背面と同様に前面パネルを固定している4か所のネジも外して、内部の基盤を背面方向にスライドさせると、内部の基盤がケースから取り出せます。
シルバー(正規品)
中央にヒートシンクがあり、そこに搭載されている黒いチップの表面には、
TRIPATH
TA2020-020
HAAF0221
KOREA
の文字が辛うじて読み取れます。これは紛れもなく、TripathのTA2020チップ正規品です。
チップ
TripathのTA2020は、初期ロットは米国製造で、USAと刻印されていますが、その後は製造ラインを韓国に代えたということで、このロットは韓国製で辻褄が合います。
一方、ブラックも分解してみました。
パネルのネジがトルクスのT8(星型)なので、専用の工具が必要です。
ブラック(今回購入)
シルバーと同様に、中央にヒートシンクがあり、そこに搭載されている黒いチップの表面には、
TRIPATH
TA2020-020
HGBA0209
KOREA
の文字が辛うじて読み取れます。こちらもTripathのTA2020チップ正規品です。
チップ
分解する前は、ひょっとしたらTripathのTA2020チップ正規品ではない石が搭載されているのでは?とも勘繰りましたが、チップ自体は正規品でした。
シルバーとブラックの内部回路を並べて比較してみます。
まず大きな違いが、チップ横の電解コンデンサの容量です。シルバーが3300μFに対して、ブラックは2200μFと小容量になっています。
電解コンデンサの容量の違いは、音質に大きな影響を与えるので、これが聴覚上の違和感に繋がっているのでしょうか。。。
また、スピーカー端子近くのパワーリレーも、シルバーが青色のボックス(タイコ製OSA-SS-212DM3)であるのに対して、ブラックはオレンジのボックス(HUI KE製 HK4100F-DC5V-SHC)です。
メインボリュームのオペアンプはどちらもJRC 4558Dとプリントされている同一品のようです。
オペアンプ(シルバー)
オペアンプ(ブラック)
それ以外にも細かいパーツが違いますが、これはロット毎に違うのは良くあることです。
ところが。。。赤い基盤にプリントされた部分を確認すると。。。
シルバー
シルバーの製品は、「Lepai LP-2020A+」と明記されているのに対して。。
ブラック
ブラックの製品は、「LEPY LP-2020A+」と、なんとケースに書かれているLepaiではなく、基盤はLEPY製でした!
ちなみに、LEPYはLepai社の新しいブランド名です(中国でLepaiが登録商品として既に存在していたので、米国向けにLEPYに変えたそうです)。LEPY社のLP-2024A+という後継機種は市場に多く出回っていますが、LP-2020A+のような高い評価を得ていません。
このあたりの事情は、「craftな毎日」というサイトの記事に詳しく載っています。
今回購入したブラックの製品は、外見ではLepaiブランドなのですが、中身は製造時期も遅いLEPYブランドだったのです!
これはあくまで想像ですが、Lepaiブランド製品のなかには、パッケージだけ従来の評判の高いLepaiを流用して、中身は新しいLEPYを(ひょっとしたらTripathのTA2020チップだけ流用して)入れて販売しているのではないでしょうか??
いずれにせよ、最近購入したブラックの製品が、LP-2020A+正規品の朗々たるサウンドとは違う音だったことはこれで説明がつきます。
TripathのTA2020チップを使っているアンプだからと言って、必ずしもチップの高性能を引き出せるわけではなく、周辺回路によって最終的な音は大きく変わるということを改めて痛感しました。
3. ACアダプター
シルバーの正規品に付属していたACアダプター(写真左)と、今回購入したブラックに付属してきたACアダプター(写真右)は別のものでした。
ACアダプター
シルバーのほうは定格が12V/5Aに対して、ブラックのほうは、定格が12V/1Aのアダプター(Doshisha製:トランス方式)でした。
LepaiのLP-2020A+のパッケージには、定格入力DC9-13.2V/4Aと明記されているので、これは一体どういうことでしょうか。。おそらく12V/1Aで駆動可能ということなのでしょう。
電源の品質は、出力される音質に決定的な影響があるので、本来であれば、このようなACアダプターのスイッチング電源ではなく、直流安定化電源を使いたいところですね。。。
ACアダプターは、従来の正規品のACアダプターを流用していたので、付属ACアダプターの違いが音の違和感の原因ではありませんでした。
4. 返品は可能か
今回購入した製品が、パッケージ上はLepaiにも関わらず、内部の回路基板はLEPYという別ブランドだったことが判明しました。LepaiとLEPYは、製造元は同じ会社なので、偽物として返品することは厳しいと思います。
しかし、オーディオ製品は、機能よりも音質に対価を払っているという点で、一般の民生家電製品とは違います。同じ会社の製品だからといって多少仕様が異なっているのは果たして販売元の許容範囲なのでしょうか?
今回購入した製品は、本体とACアダプターのみで、外箱は付属していませんでした。
Lepaiの正規品かどうか、外見からでは見分けがつかないとすると、正規品の外箱が付属するかどうかが大きなチェックポイントになると思います。
正規品の外箱
外箱が付属して販売されていれば、ACアダプターも含めて正規品の可能性がぐっと高くなります。
今回購入したブラックのLEPYブランド品は、使用用途がないので、残念ながらお蔵入りとなります(3,780円は良い勉強代ということで)。
パーツを交換するなどして音づくりを追求することもできるかもしれませんが、残念ながらそこまでの電子回路の知識がありません。。。
もし、中古品のLepaiのLP-2020A+を購入する場合は、以下の点に注意しましょう(必ずしも該当するかは不明ですが)。
- 元箱は付属するかどうか
- 本体背面の電源入力部に「DC12V2A」と明記されているか
- ケースのネジは、プラスネジで、トルクスのT7(星型)のネジではないか
ケースの中身を分解して、回路基板を確認するのが最も確実ですが、許されるケースはほとんどないですね。。。
しかし、アンプをブラックのLEPYから元のシルバーのLepai正規品に戻して音楽を聴いてみると、感動的なほどに音が劇変!あまりに素晴らしい音で死にそうになりました。
Lepaiのデジタルアンプ、本当に凄まじいです!
スピーカーケーブルやDACの違い、ハイレゾか圧縮音源といった音源の違いなど凌駕してしまうほどの激変です。
このアンプの凄まじさもブログ記事にしました。
[LepaiのLP-2020A+デジタルアンプとRasPiのI²S接続] は本当に神オーディオだった
しかし、アンプをブラックのLEPYから元のシルバーのLepai正規品に戻して音楽を聴いてみると、感動的なほどに音が劇変!あまりに素晴らしい音で死にそうになりました。
Lepaiのデジタルアンプ、本当に凄まじいです!
スピーカーケーブルやDACの違い、ハイレゾか圧縮音源といった音源の違いなど凌駕してしまうほどの激変です。
このアンプの凄まじさもブログ記事にしました。
[LepaiのLP-2020A+デジタルアンプとRasPiのI²S接続] は本当に神オーディオだった
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