映画『キャビン』は、衝撃的でかつ独創的なSFホラー映画です。
あらすじ:大学生のデイナ、ホールデン、マーティ、ジュールズ、カートは週末を近郊の森にある小屋(Cabin)で過ごそうと計画していた。道中、行き先を尋ねたガソリンスタンドの男から小屋にまつわる不吉な話を聞きつつも、彼らは到着。週末を楽しむ彼らであったが、その夜、突如として地下室の扉が開く。薄暗い室内には物が散乱していたが、デイナはその中からある日記を発見する。。。
監督:ドリュー・ゴダード
出演:クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、シガニー・ウィーバー
映画『キャビン』予告編
この映画を今年のベスト1位にしようかと思ったほど、衝撃的でかつ独創的なSFホラー映画でした。
とにかく着想がユニーク過ぎて、よくもこんなアイデアの脚本を思い付いたと感心してしまうほどです。
個人的にはSF映画は最も好きなジャンルなのですが、70年代の『猿の惑星』『2001年宇宙の旅』や、80年代の『スターウォーズ』『エイリアン』『遊星からの物体X』『トータル・リコール』あたりでネタは出尽くした感があり、ここ30年ほどのSF映画は、『スターウォーズ』シリーズに象徴されるように、単なるアクションや派手なCGがウリだけの俗物化が著しく、サイエンスの不可思議な世界を感じることができる作品は皆無でした。
そんななか、何の期待も抱かずに観たこの映画は、間違いなく、個人的なSF映画のトップ10に入る大傑作でした。
とくかく、少しでも多くの映画ファンの人に先入観なしで観てもらいたいと思います。
ほんの少しネタバレすると、「古代の神」が映画のテーマです。主人公が逃げ惑うだけのホラー映画とは明らかに一線を画している、ホラー系SF映画というところでしょうか。
後半は特に残虐なシーンのオンパレードですが、ここまで徹底的にやられてしまうと、むしろ良く出来たブラックジョークのようで笑ってしまいました。
主役のクリステン・コノリーは、シャマラン監督の『スプリット』で印象的だったアニャ・テイラー=ジョイのような、不思議な魅力の女優で特に印象に残りました。
クリステン・コノリー
『エイリアン』のシガニー・ウィーバーが出演しているのもご愛嬌。
ラストでクリステン・コノリー演じる主人公が、こうつぶやきます。。。
「人間は、他の種に道を譲る時よ。。。」
主人公は、なんと、あっさりと人類滅亡の選択をしてしまうのです。友人を撃ち殺しても殺さなくてもどうせ死ぬにも関わらず。。。
こんな結末の映画は他にあったでしょうか??
世の中のすべての映画のストーリーは、如何にして人類を滅亡から救うかというのが共通した普遍のテーマでした。
同じ人間から暴力の限りを尽くされて、主人公はつくづく人間の本質である暴力に嫌気がさしたというのが妥当な解釈でしょう。
しかも、映画のラストシーンで地上に巨大な手が現れるシーンは、『創世記』に記述されている巨人ネフィリム(堕天使と人間の女性の間に生まれた人食い巨人たち)だとすると、人類滅亡のあとには、悪が蔓延る世界が再来するという暗示とも取れます。
この映画には、人類の暴力性が世界を破壊するという痛烈な批判と、悪はいずれ再来するという物議を醸すようなメッセージが込められているのではないでしょうか。
『キャビン』は、私が2020年に観た100本の映画のベスト10のひとつです。
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