映画『ドッグヴィル』は、普通のスタイルの映画に飽きた方にお勧めします。
映画は全編を通して通常のセットではなく、黒い床に白線が描かれただけで壁も扉も屋根もない場所で、ナレーターが状況を解説するという形で延々と3時間近くも続くのです。
ストーリーは、アメリカの片田舎の町(ドッグヴィル)に追手から?逃れてきたグレースという若い女性と、村の住民たちの交流と対立、そして破滅を、ショッキングに描いたものです。
舞台のような映画セット
グレースの復讐で7人の子供が(親の目の前で)次々に殺されゆくシーンは確かに怖ろしく、因果応報とはいうものの、人間の復讐心とは怖ろしいものです。
私たちは普段の生活では、性善説に基づいた行動で社会生活をしているのですが、それは個人レベルから集団レベルになると、「掟」や「しがらみ」といった制約によって、性悪説をベースに対人関係を変えなければならないというジレンマに陥っています。
物語は意外な結末へ
この作品は、個人ではない、集団としての社会現象や社会行動が必ずしも個人のためにならない悲劇に繋がってしまうというジレンマを鋭く指摘しているのではと思います。
『ドッグヴィル』は、私が(2000年以降)観た映画のベスト10のひとつです。
コメント