映画『ゴーン・ガール』は、結婚生活を極限までに皮肉ったサスペンス映画です。
あらすじ:5回目の結婚記念日の朝、ニック・ダンは妻のエイミーが失踪したことに気づく。父親の書いた児童文学のモデルとして、子供時代から有名だったエイミーの失踪でメディアは過激化し、夫ニックは、不幸な被害者から次第にの妻を殺した加害者として世間から見られるようになっていく。
一方、回想シーンではエイミーの視点から幸せだった結婚生活が崩壊していく様が、後に発見される日記を引用しつつ描かれる。夫妻は不況の影響で仕事を失い、ニックの母親がガンになったため、エイミーが愛するニューヨーク市から夫の地元である片田舎ーサジへ引っ越さなければならなかった。母親が亡くなった後も、ニックは地元に残り、妻に出資させて妹とバーを経営し、地元の短大で講師を始める。エイミーは、ニックが仕事と偽って出かけ、隠れて元教え子と浮気をしているのを見つけ、彼が自分と出会ったころと同じしぐさを浮気相手にしているのを見て怒りに震える。。。
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク
これは文句のつけようがない傑作です。
結婚生活を極限までに皮肉ったサスペンス映画、最後まで展開が読めません。2時間半の長尺にしてはムリな展開や無駄なアクションもなく脚色も見事です。
浮気をした夫への復讐で、偽装殺人をこれほどまでに用意周到に仕掛ける妻もオソロシイですが、記者会見の姿勢ひとつで簡単になびいてしまう大衆心理のほうがゾっとしました。
映画の後半では、憎い存在だったニックのほうに、観ている側の情が移ってしまうのも実に緻密に計算された脚本だと思いました。
俳優陣も見事な演技力。どの登場人物も丁寧に描写されており、アメリカ社会の典型的なステレオタイプが総出演で、アメリカ社会の縮図を見ているようです。
国内でも、夫の不倫がバレて夫婦仲がどうなるかという犬も食わないような話題ばかりがワイドショーを賑わせていますが、この映画の結末のように、夫婦仲というのは決して単純な決着がつくものではなく、愛憎交えて矛盾だらけなのが現実だと痛感させられました。
『ゴーン・ガール』は、私が2020年に観た100本の映画のベスト10のひとつです。
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