映画『潜入者』は、麻薬潜入捜査官ロバート・メイザーの回顧録をベースにした事実に基づく犯罪映画です。
「潜入者」という何の魅力も感じない映画タイトルで、この映画を観ようと思う人は少ないでしょう。でもこの作品は観て絶対損はないです。
正体が知られれば自分ばかりか家族も無残に殺されるリスクを負って、それでも国家のために使命を尽くすというのは、個人的には(そしておそらくほとんどの日本人にとっても)想像もできない世界観です。
メデジン・カルテルに潜入した捜査官が、マフィアとあまりにも生活を共にして親密な交際を続けた結果、マフィアの人情深さに感情移入してしまいそうになるくだりは、なかなかグッとくるものがあります。
最後に裏切られたマフィア側が潜入捜査官を睨み付けている凄み(家族もろとも必ず復讐してやるという)も迫力がありました。
実在のロバート・メイザーは、マフィアに復讐されないように、名前も何もかも変えてカナダ(だったか)に移住して、家族と平和に過ごしているそうです。
これまでにも、捜査官を主人公にしたマフィア映画の名作はありました。
ジョニー・デップとアル・パチーノが共演した『フェイク』は正統派の名作でした。
フェイク
狂暴なマフィアのニッキー役を演じたブルーノ・カービーの印象があまりに強烈過ぎて、すっかり主役の二人を食ってしまいましたが(笑)
潜入捜査官のドニー(ジョニー・デップ)が、マフィアと一緒に日本の料亭に行き、そこで(録音機を隠している)ブーツ靴を脱がなければならなくなり、太平洋戦争で戦死した父のせいで孤児になったと、何の罪もない日本人店員をボコボコに殴る蹴るの暴行を加えるシーンがあります。
これは、『潜入者』でも非常に似たシーンがあります。
マフィアには「婚約者がいる」と言っておいて、自分の妻との結婚記念日にレストランでマフィアと鉢合わせしてしまい、レストランの店員が、「妻との結婚記念日」とプレートの乗ったケーキを持ってきて、「こんなものを注文したんではない!」と、その何の罪もない店員の首を掴んでケーキのなかに顔を突っ込ませるシーンです。
異色なところでは、タランティーノ監督の初期の名作『レザボア・ドッグス』が強烈に印象に残っています。
レザボア・ドッグス
バイオレンス盛沢山の血しぶきが噴き出しまくる残酷な映画なので、万人にはおススメできませんが。。。
詳しくは、「極限の緊張感がたまらない潜入捜査映画10選」を参照ください。
『潜入者』は、私が2019年に観た100本の映画のベスト10のひとつです。
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