映画『スリー・ビルボード』:ヒューマンドラマの傑作、2018年公開のイチオシ映画

映画『スリー・ビルボード』は、2018年に最も話題になった映画の1本です。



2018年のアカデミー賞で作品賞、脚本賞、作曲賞、編集賞など6部門で計7つのノミネート(受賞は主演女優賞と助演男優賞)作品だけあって、期待通りの名作でした。

田舎町で起きたレイプ殺人事件の犠牲者の母親が、事件を解決できない地元警察官に対する不信感から、郊外のビルボード(広告板)を借りて、そこに「娘はレイプされて焼き殺された」「未だに犯人が捕まらない」「どうして、ウィロビー署長?」というメッセージを張り出したことで、街を巻き込む騒動に発展する。。。というあらすじです。

まず、脚本と登場人物の描写が素晴らしいです。

周囲との協調を拒絶して復讐に燃える母親のミルドレッド、人格者であるがゆえに悩み苦しむウィロビー署長、独善的で暴力的な警官のディクソン、皆それぞれが正しい大義を信じるがゆえに衝突し、暴力に発展してしまう。

窓から突き落とされて入院中のレッドが、病院で(相手が自分に重症を負わせた張本人とは知らずに)オレンジジュースを差し出すシーンは、映画史に残る名場面だと思います。

最後にレイプ犯が判明しそうな流れになりますが、結局それも人違いだったという展開も。。。巷に溢れる陳腐なドラマのようなストーリー展開とは次元の違う脚本の良さが際立ちます。

一見救いようがない結末ですが、犬猿の仲であるミルドレッドとディクソンが最後はお互いに(僅かではあるが)歩み寄るシーンを観ると、「価値観のまるで違う人間同士も捨てたものじゃない」と思わせます。

人間ドラマとして本当に良く作られており、尚且つエンターテインメント性も高く、過去に観た映画のなかでも最も感銘を受けた作品の一つです。

『スリー・ビルボード』は、私が2019年に観た100本の映画のベスト10のひとつです。

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