ショパン ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 第4楽章の練習を始めました。
映画「羊と鋼の森」(2018年)で、ヒロインの佐倉和音(上白石萌音)がコンクールの場面で弾いていたのが、ショパン ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調の第4楽章です。
佐倉和音(上白石萌音)
このシーンです。
羊と鋼の森
映画を観て以来、心の声が「弾きなさい」と。。。
ピアノに詳しい人であれば、「ショパン ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調」は、ショパンの膨大なピアノ曲のなかでも、最高難易度の曲であることを知っていると思います。
私はピアノ初心者ではありませんが、正式なピアノ教育を受けていないし、そもそも過去30年の間、ごく一部の時期を除けば、ほとんどピアノを弾いていません。
そんな中年のアマチュアピアニストが、ショパンのピアノ・ソナタ第3番を弾こうというのは、法学知識のない中年オヤジが、いきなり司法試験合格を目指して勉強を始めるようなものでしょう。
あまりに無謀な挑戦であることは重々承知の上ですが、年明けから練習を開始、なんとか序奏までは弾けるようになりました。
1. 私のピアノ歴
ピアノを始めたのは、確か小学1年生のときだったと思います。
ピアノ自体はそれほど好きでもなく、毎週のレッスンはイヤイヤ通うような感じだったと思います。
多くの子供たちと同じく、中学生になって部活や勉強に忙しくなり、ピアノは止めてしまいました。
学生を卒業してから30年間、ピアノを弾くことは(社会人でニューヨーク在住の2年間を除き)ほとんどありませんでした。
以下は、ニューヨーク時代に独学で弾いたショパンのバラード1番を録音したものです。
ショパン バラード 第1番 Op.23
(注:ヒドイ演奏です)
そして、今から5年前、突然思い立って、バッハコンクールというアマチュアピアニスト向けのピアノコンクールに出場、バッハの『音楽の捧げもの』から「6声のリチェルカーレ」という曲を弾きました。
以下はコンクール直前にベヒシュタイン・サロンでの演奏を録音したものです。
J.S.バッハ 『音楽の捧げもの』から「6声のリチェルカーレ」
(注:ヒドイ演奏です)
バッハコンクールでは、緊張のあまり、ミスの連続で予選突破はなりませんでしたが、奨励賞というものをいただきました。
しかし、バッハコンクール出場後は、再びピアノを止めてしまい、現在に至っています。
2. 羊と鋼の森
ショパン ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 第4楽章は、映画「羊と鋼の森」で、ヒロインの佐倉和音(上白石萌音)がピアノコンクールで弾いた曲でした。
羊と鋼の森
ピアノソナタ第3番は、私のお気に入りの曲の一つで、以前から良く聴いていました。特に、第4楽章のダイナミックでドラマチックな展開が好きでした。
映画を観て以来、心の声が「弾きなさい」と。。。
心の声は、何をやっていてもずっと頭から離れませんでした。
5年前のバッハコンクール出場も、この「心の声」がきっかけでした。
詳細は以前ブログ記事に書きましたが、まさかこの曲にチャレンジすることになるとは。。。
3. ショパン ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調
以下はピアノソナタ第3番 (ショパン) Wikiからの引用です。
概要
前作が作曲されてから5年後の1844年に、ノアンにあるジョルジュ・サンドの住居で作曲され、翌年出版された本作は、ド・ペルテュイ伯爵夫人(Emilie de Perthuis)に献呈された。
本作が作曲された年にはショパンの父ニコラが死去し、その訃報に触れたショパンは悲しみのあまり2週間ほど重病人となったが、その約3ヶ月後に完成させている。
ロベルト・シューマンによって「無理やりくくりつけた」と評された前作とは打って変わって古典的構成美を特徴とし、曲想、規模ともに堂々たる大作である。ピアノソナタ全3曲の中、唯一終楽章を長調で締めくくっている(終結部分のみ)。
曲の構成 - 第4楽章
フィナーレ:プレスト・マ・ノン・タント
ロ短調 、8分の6拍子、ロンド形式。
この大曲のしめくくりにふさわしい、情熱的で力強い楽章。ヴィルトゥオーゾ的技巧を要する。主題は序奏和音の後すぐ提示され、ロンド形式の通り繰り返される。エンハーモニックな転調は随所にあるが、終結はロ長調である。
(引用おわり)
第4楽章の演奏時間は5分25秒くらい、楽譜で15ページです。
この曲の名盤は多いのですが、私はウラディーミル・アシュケナージの演奏が最も気にっています。
ショパン ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 第4楽章
(演奏:ウラディーミルアシュケナージ)
また、マウリツィオ・ポリーニの演奏は、楽譜と演奏を連動させた形でYouTubeにアップされています。
ショパン ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 第4楽章
(演奏:マウリツィオ・ポリーニ)
何度聴いても感動する名曲です、が、これを自分で弾くことを考えると、。。。まるで想像ができません(笑)
4. 第4楽章 A(1-52 小節)
第4楽章の構成は以下のとおりです(ピアノ演奏に関する考察 ――ショパン作曲『ピアノ・ソナタ 第三番 ロ短調』より)
FINALE Presto non tanto ロ短調 ロンド形式 8 分の6 拍子
ⅰ A 1-52 小節
ⅱ B 53-99 小節
ⅲ A 100-142 小節
ⅳ B 143-206 小節
ⅴ A 207-253 小節
ⅵ コーダ 254-286 小節
終楽章は力強い和音の序奏の後に、ロンドとエピソードを交互にくり返します。
この序奏からさっそくダイナミックに感情が盛り上がりますね。。。
1-27小節までの3連符のロンド部が、技巧的には最もやさしいと思います。
28小節目から、右手のメロディが単音からオクターブに変わります。
ここから技巧的な難易度も徐々に上がっていきます。
44小節以降は、フレーズが半音階で進行し、ロ短調からの変調でシャープやフラットが目まぐるしく変化するので、楽譜を読み解くのに苦労しました。
最後の49-51小節は、1フレーズ1フレーズで転調するので、まるで起伏の激しい感情を表現しているようです。
1-52小節のフォルテシモで一区切り、楽譜で2ページの分量(第4楽章全体で15ページ)です。
5. 練習記録
第4楽章の練習は、年明けから本格的に開始しました。
最初は週に3~4日で練習時間も30分程度でしたが、2月に入ってからは毎日30分~1時間しっかり練習時間を取るように努めました。
指送りが結構大変なので、譜読みをしながら弾くと音を外してミスだらけになってしまいます。
暗譜して弾くしかないのですが、歳のせいでしょう、昔のようにスラスラと暗譜することができません。
同じフレーズを、何度も反復練習しても、一向に指が無意識に覚えてくれません。。。
結局、1-52小節のパートを暗譜して弾けるようになるまで、まるまる2か月を要しました。
このスローペースだと、第4楽章をすべて弾けるようになるまで、あと10年くらいかかりそうです(笑)
下の演奏は、YouTubeにアップした私の演奏です(2021年4月25日 更新)。
ショパン ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 第4楽章(1-75小節)
ここからが正念場。。。頑張って参ります。
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