最近ランニングのスピードがアップして、キロ5分を切って4分台で走れるようになりました。
私が走り始めたのは、今から15年ほど前、健康診断でメタボ寸前になったのがきっかけです。
以来、早朝ジョギングでの10kmを日課として、年間平均1000kmくらいのペースで走ってきました。
しかし、いくら累積距離を増やしても、ランのスピードはそれほど伸びず、最盛期(2009年、フルマラソンのサブフォーを達成した年)の年間ラン平均スピードのキロ5分21秒がベストで、キロ5分を切るのは相当な覚悟が必要でした。
2010年以降は、年間ラン平均スピードは徐々に遅くなり、ついにキロ6分を超えるまでに衰えてしまいました。
それが、昨年ZWIFTをやり出してから、最近になってキロ4分台で走っても、疲労困憊せずに走れるようになったのです。
ZWIFTのおかげで、自転車の脚力と心肺機能がアップしたのは間違いありません。
ZWIFTのトレーニングは、ランニングにも相乗効果があるのでしょうか?
だとしたら、どのようなトレーニングを続ければ良いのか?
ZWIFTのトレーニングとランニングの相乗効果や、体系的なトレーニング方法について調べてみました。
以下の表は、2008年~2020年までの年間走行記録(距離、ペース)を、JogNoteのアプリで記録したものです(JogNoteは2020年3月でサービス終了)。
毎年平均すると、約1000km走っています。
2009年には、フルマラソンのサブフォーを達成したのですが、その年の年間ラン平均スピードのキロ5分21秒がこれまでのベストです。
2007年に走り始めてから10年以上経ちましたが、これまでキロ4分台で10kmを走ったことは数えるほどしかありません。
自分あまり速いランナーではありませんね(笑)
10kmを走ったタイムとしては、2014年10月12日の朝ランでキロ4分44秒で走ったのが最速記録です。
同じ年の第10回駒沢ランナーズフェスタ(2014年12月14日)では、10kmを48分40秒で走りました。
駒沢ランナーズフェスタでは、ゴールした後に、あまりに疲労困憊して、帰宅後に発熱してダウンしてしまいました。
2014年以降は、毎年のようにペースが遅くなり、、直近の2020年では年平均で6分19秒と、キロ6分さえ切れなくなってしまいました。
2019年にラグビーワールドカップ日本チームが初戦のスコットランド戦に大金星勝利した日だけは、感激のあまりキロ4分59秒で激走しました(笑)
このときは死ぬかと思うほどキツかったのを覚えています。
2014年以降、2020年までの6年間で、キロ4分台で10kmを走ったのはこのたったの1回だけでした。
ところが、2020年5月にZWIFTをやり出してから、ランニングスピードに変化が生まれました。
まず、ビルドアップ走(ゆっくりとしたペースから徐々にスピードを上げて最後はハイスピードで長距離を走りきるランニングの練習方法)ができるようになったのです。
ビルドアップ走(2020/05/25)
そして、半年経ってからは、毎月のようにキロ4分台で10kmを走れるようになりました。
2020年10月29日の早朝ランでは、1kmごとに小休止を入れて走ったこともあり、久しぶりにキロ5分を切りました。
ZWIFTを始めて半年が経ったころから、太ももが明らかに太く硬くなり、ランのときには自分の脚に違和感を感じるほどでした。
11月には、ZWIFTのエベレスティングに挑戦したり、レースに出たりとオーバートレーニングのせいで、ランニングで太ももに痛みが出るようになってしまいました。
そこで、走り方を工夫して、着地のときに太ももにできるだけ衝撃を与えないように、ピッチ走法に切り替えたところ、これが意外にスピードが上げられることがわかったのです。
2020年12月25日のランでは、信号待ち以外は小休止を入れずに、このピッチ走法で後半ペースアップすることで、キロ5分を切るペースで走ることができました。
やがて、序盤からキロ5分を切るペースで比較的一定ペースでも走れるようになりました。
キリっと冷えた早朝だったせいか、後半もバテることなくほぼイーブンでキロ4分台です(最後のスプリット区間は急な上り坂でペースダウン)。
にも関わらず、これまでで一番キツくなかった4分台でした。
腕の振りが大きかったせいか、グローブをしている両手がかじかんでしまい、帰宅して指先を湯に漬けたらメチャクチャ痛みました。
この時のランでは、力走するつもりがなかったにも関わらず、折り返し地点でキロ5分を切っていることに気付き、自分でもビックリしたほどです。
ちなみに、「10kmマラソンの平均タイムと初心者の目安となるタイム」によると、男性の10kmマラソンの平均タイムは1時間2分8秒(62分8秒)、10kmを50分以内で走るのは、男性の場合はランナーの上位16.2%だそうです。
これは明らかにZWIFTで脚力と心肺機能がアップしたのが影響しているのではないでしょうか。。。?
2. バイクの記録
私がバイクに乗り出したのは、約12年前の2009年に、通勤用にクロスバイクを買ったのがきっかけでした。
ロードバイクに乗り始めたのは、トライアスロンに向けてトレーニングを始めた8年前(2013年)です。
以来、今日までバイクでは累計で約10,000kmを走っています。
年によって走行距離にムラがあり、2014年から2015年の2年間は7000km以上走りましたが、それ以降は5年間で1000km程度しか走っていません。
2019年からはMTBでオフロードも走るようになりましたが、走行距離はそれほど増えていません。
ZWIFTをやるまでは、定期的なトレーニングによって脚力を鍛えたことはありませんでした。
3. ZWIFTの記録
ZWIFTを始める前は、バイクトレーニングは週末のロングライドなど、外を走るだけで、ローラー台でのインドアトレーニングはやったことがありませんでした。
ZWIFTは、はじめの9カ月(2020年5月~2021年2月現在)で、距離5,676km、獲得標高83,706kmを走っています。
ルートは全76ルート制覇、トロンバイクもゲットして、サイクリングアチーブメントも全155個すべて取得したので、かなり走り込んだと思います。
これまで40回くらいレースやグループライドに参戦したおかげで脚力は向上、始めた当初はPWRは3.0w/kgくらいでしたが、今では3.7w/kg(FTPは223W)にアップしました。
以下がZwiftPowerのレース記録です。
細かくて見にくいのですが、7月ごろは3.4w/kg(200W)くらいだったのが、今年の2月では最大で3.9w/kg(235W)くらいまでアップしています。
脚力のアップに伴い、両脚の太ももが明らかに太く硬くなり、筋肉量も増えました。
4. 相乗効果はあるのか
私はこれまで、バイクとランニングだったら、ランニングのトレーニングのほうが脚へのダメージも大きく、キツイと感じていました。
ランニングは、疲れて脚を休めてしまったら、まったく距離は稼げませんが、バイクは疲れて漕ぐ脚を休めても、惰性で先に進むので、距離を稼ぐことができます。
心拍計をつけて記録を取っても、ランニングでは、平均で170bpmくらいですが、バイクで外を走るときは、平均で140bpmくらいとぐっと下がります。
ところが、ZWIFTのローラー台を使ったトレーニングでは、外を走るのとは全く違い、疲れて脚を休めてしまうとあっという間にローラー台は止まってしまうし、一定の負荷で長時間漕ぎ続けると、心拍数は軽く170bpmを超えてしまいます。
ZWIFTをやってみて、これが本当のバイクトレーニングで、これまで私のバイクのライド(通勤ライドや週末のロングライド)は、脚力アップには大して効果がなかったことを痛感しました。
では、ZWIFTのトレーニングは、果たしてランニングにも相乗効果があるのでしょうか?
最近のランニングでキロ5分を切れるようになったのは、ZWIFTのトレーニングのお陰なのか、もしそうだとしたら、それは、筋肉量増加による脚力のアップによるものなのか、それとも、心肺機能アップによるものなのか?
以前、マラソンの最大心拍数と最大酸素摂取量(VO2max)について調べたことがあります。
マラソンの最大心拍数と最大酸素摂取量(VO2max)について
ランナーの最大心拍数は、
最大心拍数=210-年齢/2
で簡易計算できるので、私の現在の年齢では、最大心拍数は182.5となります。
最大心拍数182.5は、ランやZWIFTの実測値とかなり一致しています(上記ZwiftPowerの過去30レースでの最大心拍数平均が181.0)。
安静時心拍数は58で、これは昨年の健康診断で洞徐脈(心拍数 60拍 /分未満)」と診断されています。
したがって、最大酸素摂取量(VO2max)は、
最大酸素摂取量(VO2max) = 15 ☓ 最大心拍数 / 安静時心拍数
より
VO2max = 15 X 182.5 / 58 = 47.2 [mL/kg/min]
と簡易計算されます。
「マラソンの重要指標VO2MAXの年齢別の平均値と測定方法」によると、50代の男性のVO2max平均が34で、49を超えると「極めて優秀」だそうです。
また、「最大酸素摂取量を測定してみよう!簡単に実践できる方法を紹介」によると、フルマラソンを4時間程度で走ることができるVO2max値は、約48という事なので、私の場合、上記の簡易計算値は実測値に近いのではないでしょうか。
ただし、上記の数値はあくまで簡易計算なので、正確なVO2max値は、実際に呼気ガス分析ができる装置を用いて計測しないとわかりません。
VO2maxは、サイクリング、ランニング、トライアスロン、ボート、水泳といった持久系スポーツで重要になります。
VO2maxを向上させるために効率的なトレーニングは、90%以上の心拍数状態で、どれだけトレーニングを続けられるかが肝になります。
ZWIFTは、自分のFTP値に対して、Zoneという概念があります。
Zone 1 (Grey, Recovery): below 60%
Zone 2 (Blue, Endurance): 60-75%
Zone 3 (Green, Tempo): 76-89%
Zone 4 (Yellow, Threshold): 90-104%
Zone 5 (Orange, VO2 Max): 105-118%
Zone 6 (Red, Anaerobic): above 118%
FTP値と最大心拍数を同じに考えれば、このZone4以上でのワークアウトを続けることで、VO2maxを向上させることができます。
私は、MTB向けのAbsa Cape Epic Workout(全16回)をやってみましたが、どれもZone4以上のインターバルが組み込まれており、かなりキツイワークアウトでした。
[Zwift - Absa Cape Epic Workout 1-12] 全16回のマウンテンバイク向けワークアウトをAlpe du Zwiftで(前半)
[Zwift - Absa Cape Epic Workout 13-16] 全16回のマウンテンバイク向けワークアウトをAlpe du Zwiftで(後半)
ZWIFTのインターバルワークアウトによって、心肺機能が鍛えられ、結果的にVO2max値が向上したのではと思います。
また、ZWIFTのレースでは、集団に千切られないようZone4~6でひたすら走るので、こちらも心肺機能が鍛えられ、VO2max値の向上につながったのでしょう。
私は、ZWIFTを始めた当初は、ルートコンプリートを目指して、長い距離をチンタラと走ることが多かったのですが、最近は、前述のインターバルワークアウトや、レースに出ることが多く、かなり負荷のかかるトレーニングが多かったと思います。
おそらくそれでVO2max値が向上し、結果的にランニングに相乗効果があったのではないでしょうか。
実際、心拍数の上昇を伴うピッチ走法でスピードアップしたのが、VO2max値の向上で心肺機能が鍛えらえた証拠です。
VO2maxは、バイクでもランニングでも同じように重要なので、VO2maxの向上すなわち、Zone4~6のインターバルトレーニングを続けることによって、相乗効果でスピードアップにつながります。
今回の私のケースでは、ZWIFTでのVO2maxの向上が、ランニングのスピードアップにつながったのですが、逆のケースで、ランニングのインターバルトレーニング(ウィンドスプリントなど)でVO2maxを向上させれば、バイクのスピードアップにもつながりそうですね。
5. 効率的なパフォーマンス向上のために
VO2maxを向上させれば、ZWIFTだけでなくランニングのパフォーマンス向上にも繋がることはわかりましたが、ではどうすれば効率的にVO2maxを向上させることができるのでしょうか?
「サイクリストとして知っておきたい、VO2maxを強化する方法」という記事には、VO2maxインターバルのテストと具体的なトレーニング方法が紹介されています(以下一部引用します)。
VO2maxトレーニングを始める前に、最大酸素摂取量での平均パワー出力(W:ワット)を推定するために、5分の全力テストを行ってください。他のテスト方法もありますが、この方法はシンプルで取り組みやすく、信頼性も高いといえます。
手短にウォーミング・アップをしてから、ステーショナリー・バイク(固定自転車)か、パワー・メーターを装着したバイクでテストを実施しましょう。重要なのは、5分間のオールアウト・テストでの平均パワー出力を確認することです。一度テストを実施しておけば、2~3週間後に再度テストを実施することで、進歩の度合いを簡単にチェックできます。テストを完了したら、いよいよトレーニング開始です。
・12~20×(30秒+30秒):100%/50%
これも私のお気に入りのメニューで、皆さんが「速やかにVO2maxを向上させたい」と思っているのであれば、現時点でいちばんおすすめのメニューです。このインターバルは理論的にもベストのものです。ただし、その他のトレーニングに取り組む時と同様に、やる気を持って臨み、きつい時でも練習計画をやり通すことが重要です。12~20×(30+30秒) 100/50% の意味は、「30秒間・最大の努力度のインターバルを30秒間の回復走を挟んで12~20回行う(30秒間ハード、30秒間回復走、30秒間ハード等)」という意味です。
・クリテリウム
ロード・レースやクリテリウムに出ることは、特定のインターバル・トレーニングとはいえません。しかし、それでもすばらしいトレーニングといえます。「パワー・メーターとにらめっこしてインターバルに取り組むよりも、クリテリウムで走る方が気合が入る」という人も多いでしょう。レースに出ることで、簡単に体を鍛えることができます。レースは楽しいですし、同時に複数のスキルを磨くことができるというおまけの効果も期待できます。
(引用おわり)
なるほどクリテリウムは、それ自体が素晴らしいトレーニングなのですね。
クリテリウム・レースは私も大好きで、これまでも何度かZWIFTで参戦したことがあります。
他にもいろいろ調べてみると、どうやら、ただがむしゃらに負荷の高いインターバルトレーニングをやれば良いというわけでもなさそうです。
効率的なトレーニングのためには、個人に適した体系的なトレーニングプランを組む必要がありそうです。
「トレーニングしているのにロードバイクの出力(FTP)が伸び悩む理由」という記事では、「体系的な」トレーニング計画を立てて実行することが一番大切とあります(以下一部引用します)。
体系的なトレーニング計画を作成する際の期分け方法は色々とありますが、TRAINERROADが推奨しているのは
- 基本的なサイクリングスキルやエンデュランス能力、強固なフィットネスの基盤を構築する基礎期(Base Phase)
- 筋肉の持久力と機能的閾値パワーを高めることに注力する強化期(Build Phase)
- 参加するレースに合わせて能力を微調整、ピーキングしていく専門期(Specialty Phase)
の順番にトレーニングするような計画を作成する方法です。
(引用おわり)
TRAINERROADというのは、体系的なトレーニングプランを作成してくれる、サイクリスト向けのオールインワントレーニングシステムを提供するアプリです。
私はさっそくTRAINERROADをダウンロードして使うことにしました。
TRAINERROADには、なんとパワーメーターやスピードメーターの情報をもとに、個人に最適なトレーニングプランを自動生成する機能がついています。
これは便利そうですね!
いろいろ書きましたが、要は、本気でVO2maxを向上させたいのなら、ダラダラとしたトレーニングをいくら続けてもダメで、高負荷トレーニングを、(根性だけではなく)効率良くこなす必要がある、ということに尽きるようです。
つまり、あまりにも心拍を限界まで上げてしまうド根性トレーニングでは、必要なトレーニング時間が確保できない、ということですね。
なるほど。。。
これからしばらくはTRAINERROADを使って、VO2maxの向上と、FTP値のアップを狙いたいと思います。
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