プロコフィエフ ピアノソナタ第7番 変ロ長調 第1楽章の練習に取り掛かりました。
目下、ショパン ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調の第4楽章に取り組んでいるのですが、他の曲を同時並行して練習するのも悪くないのでは、と。
では、なぜプロコフィエフのピアノソナタ第7番なのか?
それは、古い楽譜が偶然に出てきたからです(笑)
最近、私のクラシック音楽の嗜好が、プロコフィエフや、バルトーク、シェーンベルクといった近代・現代音楽に傾倒するようになったこともあり、丁度良いかと。。。
技巧的にも決して簡単ではないピアノソナタ第7番ですが、果たしてどうなることやら。
1. 私のピアノ歴
以前のブログでも書いたとおり、私はピアノ初心者ではありませんが、正式なピアノ教育を受けていないし、そもそも過去30年の間、ごく一部の時期を除けば、ほとんどピアノを弾いていません。
これまで弾いてきたレパートリー(というほど広くはないのですが)は、ほぼすべて古典派やロマン派の作曲家の作品ばかりで、近代・現代音楽を弾いたことはありません。
5年前に、突然思い付いて30年ぶりにピアノを再開したときに弾いたのは、バッハの「音楽の捧げもの」でした。
第6回日本バッハコンクールに出場、「6声のリチェルカーレ」で奨励賞をいただきました
また、最近練習をしているのも、ショパン ピアノ・ソナタ 第3番です。
[ショパン ピアノソナタ第3番を弾く] 練習奮闘記:第4楽章75小節までなんとか到達しました
ピアノでクラシック音楽を弾くんだったら、古典派やロマン派の、バッハやベートーヴェン、ショパンが当たり前という常識に囚われていたような気がします。
自分が近代・現代音楽のピアノ作品を弾くなんて発想は、まるで頭に思い浮かびませんでした。
2. 近代・現代音楽への傾倒
ところが、最近Apple Musicのサブスクリプションを聴き始めるようになって、プロコフィエフや、バルトーク、シェーンベルクといった近代・現代音楽を聴くようになりました。
特に、プロコフィエフのピアノ協奏曲は、以前はアシュケナージの全集CDをほとんど聴かないので手放してしまったのですが、改めて聴き直して、特に第3番がすっかり気に入ってしまい、ヘビーローテーションになりました。
また、「十二音技法」で有名なシェーンベルクも、以前から「浄夜」の良さがサッパリ理解できず、聴かず嫌いでしたが、ポリーニ演奏のピアノ作品集を聴いて以来、すっかりお気に入りになりました。
シェーンベルクは、Piano Piece Op.33を良く聴いています。
対照的に、ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、モーツァルト、チャイコフスキーといった、これまで定番だったクラシック音楽の作品は、すっかり頻度が低くなってしまいました。
3. プロコフィエフ ピアノソナタ第7番
そんなある日、昔の楽譜を整理していたら、ひょんなことでプロコフィエフ ピアノソナタ第7番の楽譜が出てきたのです。
プロコフィエフ ピアノソナタ第7番
楽譜はレターサイズのコピーだったので、おそらく30年近く前の留学時代に入手したものでしょう。
もちろん、プロコフィエフを弾いたことはこれまで一度もないので、おそらく、ピアノで弾くためではなく、CDを聴くときの参考のためにどこかでコピーしたもののようです。
プロコフィエフ ピアノソナタ第7番は、学生時代にガブリーロフ盤を良く聴いていました。
また、プロコフィエフが初演を任せたスビャトスラフ・リヒテルの鋼鉄のような演奏も素晴らしいですね。
プロコフィエフのピアノ作品の特徴は、ピアノを打楽器のように叩く鋭くかつ強烈なタッチだと思います。
これは、ショパンのような抒情的なピアノ作品とは対極のスタイルです。
特に、このピアノソナタ第7番は、第2次世界大戦中に作曲された「戦争ソナタ」と俗に呼ばれている第6番~第8番のなかでも際立って不協和音や強打が多く、まるでピアノと格闘しているかのようです。
このような、ピアを打楽器のように演奏するスタイルというのは、キース・エマーソンに通じるものがあります。
キース・エマーソンとは、(私が陶酔して止まない)プログレバンド御三家のひとつエマーソン・レイク&パーマーのキボード奏者です。
彼のピアノを打楽器のように弾きこなす独自の演奏スタイルは、まさにプロコフィエフの作品を彷彿とさせますね。
実際、エマーソン・レイク&パーマーの作品には、プロコフィエフの「スキタイ組曲」の一部が収録されているので、影響を受けていたのは間違いありません。
私は、以前、キース・エマーソンのピアノ協奏曲第1番を弾けるようになりたくて、第3楽章を練習したことがあります。
。
が、あまりの技巧的難しさ(とオケを伴う演奏の非現実さ)に挫折してしまいました。
キース・エマーソン ピアノ協奏曲第1番第3楽章のスコア
しかし、ピアノという楽器を、従来の奏法だけではなく、打楽器のように指でアタックをつけて叩きつけるように弾くスタイルは、個人的には好みでもあります。
Emerson, Lake & Palmer - Piano Concerto No. 1, 3rd Movement
- Live In Montreal, 1977
上のYouTubeは、キース・エマーソンがピアノを打楽器のように演奏している貴重なライブ映像です。
こんなふうに弾けるようになりたい。。。
そういうわけで、たまたま掘り出された楽譜だったいうことと、キース・エマーソンのような演奏スタイルを自分でもやりたくて、プロコフィエフ ピアノソナタ第7番に取り組むことにしました。
プロコフィエフのピアノソナタ第7番については、PTNAの「プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 作品83の研究」というレポートに詳しく解説されています。
4. 第1楽章
第1楽章は、いきなり不穏な雰囲気が満載の第1主題が現れます。
その後に続く旋律は、弾いてみて気が付いたのですが、右手(赤の囲い)と左手(青の囲い)が、1拍子ズレて全く同じなんですね!
不思議な感覚です。。。
その後は不協和音のオンパレードですが、24小節目で叩きつけられる様なリズム・パターンが出現します。
もうこの箇所だけで鳥肌モノです。
実は、出てきた楽譜は第1楽章の途中までしかコピーがなかったのですが、ネットから入手できるので心配はありません。
プロコフィエフのピアノ・ソナタなんて、全音から楽譜も出ていなかったので、昔は入手するためには海外版の(バカ高い)楽譜を買うしかなかったのですが。。。良い時代になったものです。
(2021年5月10日 追記)
プロコフィエフのピアノ・ソナタなんて全音から楽譜も出ていなかった、と思っていましたが、調べてみたら2000年に出版されていました。
時代は変わりましたね!(追記おわり)
間奏部は、導入部の激しいリズムと対照的に、静けさが支配する不穏な雰囲気のなかで進みます。
そして。。。終盤に向かって再びピアノが激しくなったあと、静かに終わる構成になっています。
5. 第3楽章
平穏な第2楽章は割愛して、おそらくプロコフィエフのピアノ曲のなかで最も有名な第3楽章です。
第3楽章の演奏難易度は非常に高く、指が届かないと思われる箇所も多いので、おそらく私には弾けないでしょう。
ちなみに掘り出された楽譜には、第3楽章だけがフルページでコピーされていました(笑)。
いつかはこの第3楽章にも挑戦してみたいです。
プロコフィエフ ピアノソナタ第7番 第1楽章
ピアノの鍵盤を打楽器のように弾く(というか叩く)のは、アタックが命ですね。
基本はスタッカートなのですが、立て続けに力任せに叩いてしまうと、単なる乱暴な演奏にしか聞こえないし、そもそも腕が持ちません。
叩いたあとに適度にスッと力を抜くのがコツなのでしょうか。。。試行錯誤を繰り返しているところです。
まだ弾き始めたばかりなので、演奏をアップしていませんが、今後、(恥を承知で)逐次アップしたいと思います。
ショパンのピアノ・ソナタ第3番を練習しながら、プロコフィエフ ピアノソナタ第7番も練習している物好きなアマチュアピアノ愛好家なんて、私以外にはいないでしょうね(笑)。
[ショパン ピアノソナタ第3番を弾く] 練習奮闘記:第4楽章75小節までなんとか到達しました
コメント