拙宅のマイホームも今年で引き渡しから10年経過ということで、先日、三菱地所ホームの建物診断を受けました。
三菱地所ホームの保証については、長期保証システムの「ロングサポート50」というものがあり、最初の10年は無料保証期間です。
幸い、10年点検の診断結果は特に大きな問題もなく、屋根材1枚を補修するだけの簡単な作業だけで済みました。
10年以降は、20年目に向けての延長保証ですが、有料となります。
20年目となると、シロアリ予防石工とバルコニーの再防水工事などに加えて、エアロテックや太陽光発電まわりの点検や部品交換などが最低限出てくるので、それなりの出費を覚悟する必要がありますね。
以下に、10年目の点検結果と、20年目に向けての保証延長についてまとめました。
1. 三菱地所ホームの「ロングサポート50」
三菱地所ホームの「ロングサポート50」とは、構造耐力性能と防水性能で50年間の保証を提供するものです。
拙宅の引き渡しは2011年12月、早いもので入居して10年が経ちます。
先日以下のようなロングサポート50の案内がメールで届きました。
以下、メーカのホームページからの引用です。
お引渡しから、4ヶ月目、1年目、2年目、7年目の合計4回の定期点検「ホームケア」と10年目には建物診断を無償で実施しながら、最長で50年間の保証を提供します。
定期点検は、専門スタッフが行い、建物の不具合をしっかりチェックして、永く快適に住んでいただくための修繕箇所や日常のお手入れについてアドバイスします。
保証の対象は、建物の構造耐力性能と屋根・外壁などからの雨水の侵入防止。耐久性の高い部材を標準採用している三菱地所ホームならではの長期保証システムです。
(引用おわり)
ポイントは、建物診断は10年目は無償ですが、20・30・40年目は有償となる点です。
「ロングサポート50」という名前ですが、50年間無償で何でもやってくれるというわけではありません。
対象部位やメンテナンスの詳細は以下の表のとおりです(有償メンテナンス ○診断結果による/●必須項目)
主なところでは、防蟻処理(シロアリ予防)、屋根(コロニアルグラッサ)、バルコニーのFRP防水といったところです。
特に、防蟻処理については、地域や地質に関わらず10年ごとの施工がほぼ必須と考えたほうが良いです。
そのほかの部位についてはケースバイケースとなります。
今回は、10年目の建物診断(無償)をやってもらいました。
2. 10年目の建物診断(当日)
三菱地所ホームの営業担当の方とは、引き渡し以降もずっとお付き合いが続きます。
入居直後は、いろいろな相談に乗っていただいたり、家具やインテリアを追加発注する際に三菱グループの特別割引価格で提供いただいたりと、大変お世話になりました。
また、定期的に開催される住まいづくりセミナー(旧エアロテック・セミナー)に、オーナーとして講演の依頼を受けたことも何度かありました。
住まいづくりセミナー
さらに、三菱地所ホームを検討されているお客様に対して、拙宅を内覧する依頼を受けたりと、いろいろな形で営業の方とは長い期間お付き合いがありました。
10年目の建物診断については、窓口がこれまでの営業担当からオーナーリフォーム事業部の担当の方に変わります。
ちなみに、オーナーリフォーム事業部の担当者の方は、家についてあらゆる側面に通じていらして感心してしまいました。
10年目の建物診断を迎えるために、施主として事前に準備しておくべきことはほとんどありません。
強いて言えば、屋根裏と床下への入り口を塞いでいる家具があればそれをどけるくらいでしょうか。
私は、床下への入り口は1階の納戸の収納スペース内のため、スペースに詰め込んだガラクタを片づけなければなりませんでした(笑)
床下への入り口
外観検査と内部検査をすべて含めて2時間程度、オーナー立ち合いですが、特に何かをする必要はありませんでした。
3. 家庭用蓄電システムの導入について
10年目の建物診断を行っている時間を利用して、蓄電池設備の導入についてアドバイスをいただくため、スマートエネルギーに詳しい提携会社(南富士株式会社)の専門家を呼んでいただきました。
拙宅は、5kWの太陽光パネルを屋根に設置しており、東電への買取価格は10年固定で42円/kwHなのですが、卒FIT(Feed-in Tariff:再生可能エネルギーの固定価格買取制度)ということで、来年からは12円/kwHまで下がってしまいます。
(出典:タイナビ蓄電池)
そこで、蓄電池設備を新規に導入するべきか、電気自動車に買い替えてV2H (Vehicle
to
Home)システムを導入するか、もしくは何もしないかという選択をしなければなりません。
2021年5月の発電実績は13.3kwH/日ですが、例年5月と9月は発電がピークになるので、年間平均では10.0kwH/日程度です。
卒FITで1年間の収益減額は、売電量を発電量の50%(残りの50%は自家消費)とすると、
(42-12)円/kwH x 10kwH/日 x 365日 x 50% = 54,750円
となります。年間約5万円の収益減。。。
ではどうするか?
まず蓄電池システムですが、太陽光パネルで発電した電気を、電力会社に売電する代わりに、蓄電池に蓄えて自家で消費することによって、卒FITによる買取価格の低減の影響をなくしつつ、電力会社への支払も抑制するものです。
(出典:タイナビ蓄電池)
蓄電池メーカーはニチコンが市場を寡占しているようで、三菱電機など他社は実質的に撤退してしまったそうです。
ニチコンの6kVAのプレミアムモデルで約80万円です。
拙宅の電力消費量は、エアロテック(500w)と冷蔵庫(60w)、大型TV(100w)を含めておおよそ750wなので、ニチコンの蓄電池は2台必要となります。
これに、パワーコンディショナーの交換なども含まれるので、総工費はおよそ200万円~といったところでしょうか。
蓄電池への補助金ですが、東京都が42万円(2021年)の補助金を出しています。2020年は60万円だったのでやや減額ですね。
つまり、200万円の出費で蓄電池システムを導入すれば、太陽光パネル発電の電気を貯めるだけでなく、非常時の電源断であってもエアロテックを含めて数日間は稼働させることができます。
200万円の投資で年間約5万円の収益減を補うとすると、元を取るためには40年かかる計算になりますね。。。経済的な損得だけを考えると成立しません。
次に、電気自動車によるV2Hシステムの導入について。
(出典:ゴウダのV2H)
日本のV2Hシステムは現在では国内自動車しか対応していないそう(例外はベンツのEQS
107kwH/日、1300万円!)なので、プリウスPHV(8.8kwH/日)やリーフ(62kwH/日)などが候補となります。
リーフの車両価格は約320万円、それなりの出費が必要ですね。
V2Hへの対応のためには、電源まわりの工事(200V電源の引き込み、パワーコンディショナーの交換)が必要となるため、総工費は(車両購入を除いても)およそ100万円~といったところでしょうか。
蓄電池システムの導入よりも経済的には遥かに不利です。
いろいろと話を聞いた結果、卒FITで経済的に最も有利なのは、間違いなく「現状維持」で「何もしない」です。
年間約5万円の収益減はやむを得ないでしょう。
蓄電池システムやV2Hを導入するのは、緊急時の電力確保という目的がほとんどであり、我が家の場合は、そこまでのニーズはないということで、蓄電池設備の導入は見送ることになりました。
4. 10年目の建物診断(後日報告)
10年目の建物診断日から約1か月後、報告書が出来上がったということで、再度打ち合わせをしました。
拙宅の場合、唯一の不具合箇所は屋根材の脱落(ずれ)で、打ち合わせの日に補修してもらいました(無償補修)。
屋根材の脱落
北側の屋根の1枚が脱落していたのですが、元の位置に戻して固定させて終了となりました。
以下は、建物現況診断シート≪10年目≫の内容です。
外壁は、経年による汚れの付着がごく一部ありましたが、全く気にならないレベルです。
バルコニーや屋根裏、床下いずれも問題ありませんでした。
拙宅の屋根の形状は極めてシンプルな切妻型ですが、屋根の形状を複雑にしたり、ルーフバルコニーを設置した場合には、経年とともに雨漏れなどいろいろなトラブルの元になるようです。
屋根(コロニアルグラッサ)のカラーはグリーンなのですが、経年で元の色はまるでわからなくなっています。
注文時に、屋根のカラーをグリーンにするかワインレッドにするか、散々悩んだのですが、結局どんなカラーでも大差なかったと思います。
外構はほぼノーメンテナンスで行けそうです。
玄関まわりも問題なし。
一部外壁にヘアークラックが見られるということですが、補修の必要はなく、気にならないレベルです。
外壁の周囲は、防草シートを張っているのですが、雑草だらけになっているのが悩みの種です。
サッシ下部に一部雨筋汚れが確認されましたが、こちらもほとんど気にならないレベルです。
浴室も問題ないのですが、敢えて言えば、入居時の防カビ性能が低下してしまい、頻繁に赤いカビが発生してしまいます。
これは仕方ないことですが、赤いカビのうちはまだ大丈夫で、黒いカビになると根が深いので完全除去が難しくなるとのことでした。
配管も目詰まりはないのですが、2階に浴室や洗面所、キッチンがある場合はどうしても配管が長くなって詰まりやすくなるということです。
配管洗浄は、一括洗浄作業(キッチン、風呂、洗濯器、洗面、トイレ)が通常は6万円程度かかるとのことですが、三菱地所ホームのキャンペーン地域対象で大幅な割引が可能ということで、早速お願いすることにしました。
床下のスペースは、2x4の特徴でもある密閉性が高いこともあり、ほとんど汚れもなく乾燥しています。
最後に、ロングサポート50の保証延長工事提案書です。
床下の防蟻剤処理と、バルコニーのFRP防水トップコート仕上げは、かなり強く推奨ということで、この2か所を延長保証してもらうことになりそうです。
2か所の延長保証を見積もってもらいましたが、ナカナカのお値段です(笑)。
2か所の延長保証をすれば、その他の箇所の保証も自動的に10年間延長になるというサービスの仕組みです。
あとは、オプションとして、外装リフレッシュ工事があります。
こちらは外装塗装、屋根塗装など含めて足場の工事も必要となるため、金額的には桁が上がります(笑)
保証延長は、10年目の保証が切れる前に契約する必要があるため、10年前を迎える今年の12月までに決めなければなりません。
5. エアロテックと太陽光パネル
20年目までに避けて通れないのが、エアロテックの交換です。
どうやら、エアロテックの寿命は15年くらいが現実的ということで、担当者の方の話では、最大でも21年が実績の限界だそうです。
エアロテック本体の交換と、ルームコントローラ(9か所)の交換が必要になるとのことで、総額約170万円程度だそうです!
太陽光パネルに関しては、20年目まではパネル交換の必要はないとのことです。ただし経年によって出力が低下するのは避けられないとのこと。
また、もし屋根の葺き替えを行う場合は、太陽光パネルを一時的に撤去する必要があるとのことで、そのタイミングで最新の高効率なパネルに交換するという手もあります。
5.7kWの太陽光パネル交換で、だいたい220万円くらいだそうです。
屋根の葺き替えは当面は行う必要もないので、20年目までは少なくとも太陽光パネルを交換することはなさそうですね。
ただし、パワーコンディショナーは15年くらいが寿命ということで、こちらは交換の必要があります。
以上、10年目の建物診断の点検結果と、20年目に向けての保証延長でした。
マイホームを建てたあとの10年は、新居ということで大きなトラブルもなく、エアロテックは無償点検だし、売電価格は高いし、固定資産税も減額され、おまけに住宅ローン控除の60万円が10年間で合計600万円の節税にもあり、いいことずくしでした。
しかし、10年目以降はいろいろな項目で維持費が増えることになります。
家を建てるのも大きな出費でしたが、住み続けるのもなかなか大変なことですね。
私も三菱地所ホームで10年目を迎えサポート継続に悩んでいる身です。非常に参考になりました。床下の防蟻剤処理と、バルコニーのFRP防水トップコート仕上げなど同じ提案を受けました。
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