ゴールデンウィーク連休を利用して、宇宙研究の世界的な第一人者アレックス・ビレンケンの『多世界宇宙の探検』をようやく読了しました。
『多世界宇宙の探検』
(アレックス・ビレンケン、2007年)
本著『多世界宇宙の探検』は、インフレーション理論や人間原理など、現代宇宙論のポピュラー・サイエンス書です。
少し前に読んだ『宇宙のランドスケープ』と似たテーマですね。
著者が主張する、永久インフレーション理論によると、量子論の「トンネル効果」によって、宇宙は時間も空間もない「無」から泡のように誕生したのだという。
無限の宇宙では、物理的に可能であれば、どのような稀な現象もいずれは発生するということですが。。。
我々の住んでいる閉じた宇宙が、真空のゆらぎから誕生する確率は、サルがタイプライターをでたらめに叩いてシェイクスピアの『ハムレット』の全文ができる確率より遥かに小さいのです!
「無」からの宇宙創造というシナリオは、神がこの世を創ったという宗教論に科学者としての立場から真っ向から対峙します。
当然、本著をすべて理解することなど到底不可能。。。読み進めるのは容易ではなく、これまでに一体何度寝落ちしたことか 笑
それでも、最新の物理学が描く宇宙論は興味が尽きません。またまた宇宙論の傑作本に巡り合ってしまいました。
0. 『多世界宇宙の探検』
以下はアマゾンの書籍紹介からの引用です。
初期宇宙研究の世界的な第一人者として名高いビレンケンが、現代宇宙論の面白さを語り明かす。アラン・グースのインフレーション理論がなぜ一夜にして大きな成功を収めたのか。当初、そこにはどんな理論的問題があったのか。その問題がどのように克服されて、ビレンケンの「永久インフレーション」モデルやアンドレイ・リンデの「カオティック・インフレーション」モデルに結びついたか。ホーキングやビレンケンの宇宙創成モデルとはどのようなものか。ひも理論のアイデアと現代の宇宙論がどのように関係しているか、といった話がユーモアを交えて語られる。
宇宙は有限であるのか無限であるのか、といった古くからの宇宙の謎の数々に対して、ビレンケンは永久インフレーションの考えに基づいて、驚くべき答えを出す。すなわち、宇宙は無限であると同時に有限、進化しているのに静的、永遠でありながら始まりがあったというのである。
さらに、宇宙の遠く離れた領域に、地球とまったく同じ惑星が無数にあり、そこでは私たちとまったく同じクローンが暮らしていて、その中の何人かは本書とまったく同じ本を手にしている、とビレンケンは予言している。
世界天文年2009日本委員会の公認書籍。
(目次)
第2部 永久インフレーション(反重力の石碑;ランナウェイ・インフレーション ほか)
第3部 「平凡の原理」(宇宙定数の問題;人間原理の論争 ほか)
第4部 始まりに先立つ(宇宙には始まりがあったのか;無からの宇宙の創造 ほか)
Amazonのカスタマーレビューでは、星5つ中4.5という高い評価を受けています。
以下は著者のアレックス・ビレンケンの紹介(本著より抜粋)です。
アレックス・ビレンケン
(出典:「無」からの宇宙創成)
タフツ大学の物理学教授。「永久インフレーション」と呼ばれる宇宙モデルや、「無からの宇宙創生」を提唱したことで世界的に知られている。
旧ソ連に生まれ、動物園の夜間警備員などのアルバイトをしながら、物理学を学んだ。1976年に米国に移住して博士号を取得、タフツ大学の教員となり、それ以来一貫して宇宙論研究に取り組んできた。
元はウクライナ共和国出身の科学者です。
以下に内容を簡単に紹介します(以下太字は本文より引用)。
1. 宇宙創世記
1.1 ビッグバンはどのようにして起こったのか
新しい理論によるビッグバンの説明は、宇宙は、反発力として働く重力によって膨張した(アラン・グース)
この奇妙な反重力物質は、膨張しても物質の密度が常に同じである
重力エネルギーは負なので、物質の正のエネルギーが大きくなるにつれて、負の重力エネルギーの大きさも大きくなるので、平衡が保たれてエネルギー保存則が保たれる
反重力物質が崩壊するにつれて、そのエネルギーが放出されて、素粒子の熱い火の玉を生み出す(インフレーションの終わり)
反重力物質などというものからいきなり始まるので、面食らってしまいます。。。が、反重力物質を最初に考えたのはアルバート・アインシュタインだったそうです。
1.2 反重力の栄光と凋落
宇宙定数 = 真空の張力(空間を縮ませる方向の働き、真空のエネルギー密度と同じ)
張力とは引き伸ばされた輪ゴムが縮むのと同じ(風船を膨張させる圧力の反対)
張力 = 負の圧力
物質を限りなく膨張させると、重力がゼロを通り越してマイナス(反発力)になる
アインシュタインのこの宇宙定数は、その後、宇宙が膨張していることが発見されて、間違いであったと後悔することになるのは有名な話ですね。
ところが。。。どうやら反発力としての重力が、その後に復活するという話のようです。
1.3 宇宙創造をめぐる問題
フリードマンの解(ビッグクランチとビッグバン)は、宇宙が開いているか閉じているか、論文の中でどちらのモデルにも優先権を与えなかった
宇宙の曲率がプラス(閉じている)かマイナス(開いている)かで、宇宙の運命が決まるというヤツですね。
ごく小さくマイナス(開いてる)ので、宇宙は永遠に膨張を続けるというのが定説になっていると記憶しています。
1.4 現代版宇宙創成の物語
どんな種類の粒子にも、まったく同じ質量と反対の電荷を持つ反粒子が存在する
W粒子とZ粒子は現在粒子加速器の中で作り出せる最も重い粒子(電子より30万倍重い)
1.5 インフレーション宇宙
ビッグバン以後光が進んだ距離は約400億光年で、これは地平線距離と呼ばれる
ビッグバンが約137億年前なのに、なぜ400億光年なのか?
ChatGPTにきいてみました。
Q
ビッグバンが37億年前なのに、なぜビッグバン以後光が進んだ距離は約400億光年なのですか?
ChatGPT
ビッグバンが約137億年前(13.8 billion years
ago)に起こったとされていますが、それなのにビッグバン以後光が進んだ距離が約400億光年(40
billion light
years)に達している理由は、宇宙の膨張によるものです。以下に詳しく説明します。
1. ビッグバンと宇宙の膨張:
ビッグバンは宇宙が非常に高温高密度の状態から急激に膨張した出来事です。その後、宇宙は冷却され、現在のような宇宙が形成されました。
宇宙はビッグバン以来、常に膨張し続けています。この膨張は、空間そのものが拡大することを意味します。
2. 観測可能な宇宙のサイズ:
私たちが観測できる宇宙の範囲(観測可能な宇宙、observable
universe)は、光がビッグバン以来進んだ距離に基づいて決まります。しかし、これは単純に光が進んだ距離だけではありません。
宇宙が膨張しているため、光が出発した地点と現在の位置の間の距離は時間と共に拡大しています。これにより、光が進んだ距離以上に遠くの天体からの光を観測できるのです。
3. 膨張率の変化:
宇宙の膨張速度は時間と共に変化しています。特に、初期宇宙の膨張は非常に速かった(インフレーション理論による急激な膨張期)ため、短時間で非常に遠くまで光が到達できました。
現在でも、宇宙の膨張は加速しています。これにより、遠くの天体からの光が地球に届くまでの間に、空間がさらに膨張してその距離が拡大します。
4. 光の距離と宇宙の膨張:
現在観測される最も遠い天体(例えば、宇宙背景放射や初期銀河)の光は、出発時点では比較的近くにありましたが、その間に宇宙が膨張したため、現在ではその距離がはるかに遠くなっています。
このため、ビッグバンからの時間が137億年でも、観測可能な宇宙の端までの距離は膨張の影響で約400億光年に達しているのです。
つまり、ビッグバン以後光が進んだ距離が約400億光年に達している理由は、宇宙の膨張によるものであり、空間そのものが時間と共に拡大することで、光が進む距離以上に観測可能な範囲が広がるからです。
なるほど~
宇宙の膨張のスピードって、光速を超えているんですね。。。スゴイ
ビッグバンの1秒後に、宇宙の物質の密度が臨界密度よりも1パーセント高い値を持っていたとすると、1分もしないうちに臨海密度の2倍に達し、3分ちょっとで宇宙は収縮に転じているでしょう。
同じように、臨界密度の1%低い値を持っていたとすると、1年後に宇宙の密度は臨界密度の30万分の1にまで小さくなり、星と銀河は決して生まれない
計算すると、ビッグバンの1秒後に宇宙の密度は、臨密界度の1パーセントの十兆分の1以内の精密さで、臨界密度に一致していなくてはならない
これが人間原理に繋がるわけですね
臨界密度を上回っている → 宇宙は閉じている(収縮)
臨界密度とぴったり一致している → 宇宙は平坦
臨界密度を下回っている → 宇宙は開いている(膨張)
偽の真空
日常的な真の真空のエネルギーは極めて小さいが、正のエネルギー(1立方メートル当たり3個の水素原子の質量に相当)を持っている
アラン・グースの提唱したインフレーション理論は、地平線問題と平坦性問題を解決したかに見えたが、この理論はうまくいかませんでした。。。
1.6 捨て去るには美しすぎる
詳しく検討してみると、偽の真空は予想していたほどスムーズに崩壊しない → 泡の形成
スカラー場は素粒子物理学で重要な役割を果たしている
スカラー場の振る舞いは、エネルギー・ランドスケープの傾斜に沿って転がるボールの動きと非常によく似ている
平坦な領域ではスカラー場は非常にゆっくりと転がるので、スカラー場が子の平坦な領域を横断するのには長い時間がかかる
場が最終的に最小値に達すると、振動して、場に蓄えられていたエネルギーが粒子の熱い火として放出され、ひとつの巨大で熱い膨張する宇宙が生まれる
これでインフレーション理論は無事に救われました
スカラー場のランダムなゆらぎが、物質密度の不均一性となり、銀河や銀河団の形成に結び付いた
インフレーション膨張する風船は、狭い「ワームホール」によって外部の宇宙とつながっている
ワームホールは外からはブラックホールのように見える
ブラックホール内のワームホールで我々の宇宙は外部の別宇宙と繋がっている。。。何とも想像力を掻き立てられる話ですね!
偽の真空の球面がたどる運命は、その半径が臨界サイズ(真空のエネルギー密度、臨界半径は10兆分の1ミリメートル)より大きいかどうかに決定的に依存する
第1部の内容をまとめると。。。反重力物質の張力と、偽の真空、そして量子トンネル効果によって、インフレーション理論が確立し、臨海密度の絶妙な数値設定とスカラー場のランダムなゆらぎによってビッグバンで銀河や銀河団の形成につながった。
という感じでしょうか。。。
2. 永久インフレーション
1.7 反重力の石碑
1.8 ランナウェイ・インフレーション
インフレーションの場合には、互いに競い合うふたつの過程とは、偽の真空の崩壊と、インフレーション状態の領域の急速な膨張による「複製」である
崩壊の進行の速さ:半減期 > 複製の速さ:インフレーションの「倍増時間」
インフレーションが宇宙全体で決して終わらず、インフレーション状態にある領域の体積は、際限なく増大し続ける!
インフレーションの終わりがビッグバンの役割を果たすので、ビッグバンとは、過去にただ1度だけ起きた出来事ではなく、それ以前に宇宙のはるか遠い場所ではビッグバンが何度も起こった
1.9 空が語った
宇宙の観測可能な領域が平坦なユークリッド幾何を持つ
平坦であるということは、宇宙の平均密度が臨海密度と高い精度で等しくなくてはならない
普通の物質と暗黒物質をすべて足し合わせても、宇宙の質量密度の合計は臨海密度の約30パーセントにしかすぎず、目標には70パーセントも足らない
膨張の速度は重力によって遅くなるのではなく、実際には加速している
真の真空がゼロではない質量密度(=アインシュタイン定数)を持っている
1.10 無限の島
星は、私たちの近くの宇宙では、死滅するでしょうが、永久インフレーションの将来のビッグバンで無数の新しい星が形成されるだろう
島宇宙のなかでメッセージを送ることができるか?
ふたつの事象に「空間的な」間隔があると、一方の事象がもう一方の事象を引き起こすことは不可能
ひとつのビッグバン事象からほかのビッグバン事象へ移動することができない
グローバルな視点
境界は光速より速く拡大している
永久インフレーションが人類の超長期的な将来に貢献することはない
光速を超える速度をアインシュタインが禁止したことと矛盾しないのは、その禁止は(光や重力波のような放射を含めて)物体相互の相対的な運動にだけ適用されるものだから
一方、島宇宙の境界は幾何学的なのものであり、境界それ自体は質量もエネルギーも持っていない
ビッグバンが始まった時点を原点として時刻を選択する
ひとつの特定の島宇宙の住民の視点から宇宙の歴史を記述すると、「ローカルな」視点となる
ローカルな視点
内部からの視点ではひとつの島宇宙が無限大になる!
グローバルな視点では、新しいビッグバン群が島宇宙の境界で進行しているので、島宇宙は時間とともに成長し、十分に長く待てば島宇宙はどこまでも大きくなる。
しかし、ローカルな視点では、ビッグバン群は同時に起こり、島宇宙は最初から無限に大きい
ひとつの視点からは時間的な無限に見えるものが、もう一方の視点からは空間的な無限に見える
ブラックホールに落下する物体が、外部からは無限の時間をかけて落下するように見えるが、落下する物体自身からは、空間的な無限に落下していくように感じるというのと同じことですね。
1.11 伝説のキングは生きている!
ひとつの島宇宙(無限大にみえる)を観測可能な領域と同じ大きさを持つ無限個の領域(O領域)に分割する
直径が800億光年の巨大な球が詰まった無限大の空間
時間をさかのぼると、非常に小さかった
O領域の初期での物質が取り得る構成の数は、無限ではなく、有限である
違いがあまりにもわずかな場合、量子力学的な不確定性により、原則として区別することができない
なんと!あまりに小さい量子力学の世界では、無限ではなく、有限になるということか!
O領域にある物質が取り得る区別可能な状態の数は、10の10⁹⁰乗という非常に大きいが、有限の数である
歴史の数も同様に有限
量子物理学と古典物理学では考え方が大きく異なる
「きめの粗い、可能であった歴史の集まり」という観点に立った量子力学の定式化
ひとつのO領域で起こり得る可能な歴史の数を推計したところ、10の10¹⁵⁰乗という数字になった
それぞれの島宇宙はO領域を無限にたくさん含んでいる
ということは、二つの命題を組み合わせると、いかなる歴史も無限回繰り返されるはずという結論になる
コペンハーゲン解釈
多世界と並行宇宙:私たちの複製が住んでいる地球は、1ゴーグルプレックス光年の遠い距離にある
無限の空間の中で同じ銀河が際限なく繰り返されている
多世界解釈(もうひとつの解釈)
起こりうる可能性のいっさいが実際に起こるのであり、ただしそれらのいっさいは、別々の「並行宇宙」の中で起こる
量子力学が全宇宙に適用される量子宇宙論は例外である
「正統的」なコペンハーゲン解釈は、系を測定する外部の観測者を必要とするが、宇宙の外部の観測者はいない
並行宇宙(多世界解釈)なのか?ただひとつの宇宙だけが実在する(コペンハーゲン解釈)のか??
3. 平凡の原理
1.12 宇宙定数の問題
真空の箱の内部の電場と磁場のゆらぎの大きさは、測定装置のサイズで決まる
よりいっそう小さなスケールの変動を含めれば含めるほど、エネルギー密度は際限なく大きくなっていき、真空のエネルギー密度は無限大であるというばかげた結論が出てくる
ゆらぎのスケールを小さくできる限界がある
プランク長さと呼ばれる決定的な距離を下回ると、時空は混沌とした泡のような構造を取る
図12.1 時空の泡
たくさんの「ハンドル」や「トンネル」が作り出されては瞬時に消滅する
宇宙定数問題:理論的な予測値(真空のエネルギー密度は、1立方センチメートルあたり10⁸⁸トンといういう途方もないもので、大統一理論の真空エネルギー密度よりもずっと大きな値になってしまう)と観察された値(宇宙の膨張の観測結果)の大きな隔たり
ボーズ場の聖の真空エネルギーがフェルミ場の負のエネルギーによって相殺される
ゲージ対称性:高エネルギー粒子の衝突は、非常にたくさんの新しい粒子を生み出すが、どんな衝突であっても、衝突によって生み出された正の電荷と負の電荷は正確に等しく電荷の合計はつねに保存されている
真空エネルギーの場合にも、このような対称性が起こっている可能性があるが、未解決
観測された真空の質量密度は、物質の平均密度の2倍をほんの少し上回る程度
物質密度と真空の質量密度は宇宙の膨張においてまったく違った風に振る舞うにも関わらず、なぜこれほどまでに近い値なのか?
真空の質量密度は普遍 vs. 物質密度は体積が増えるにつれて減少する
なぜ宇宙定数のような自然の基本定数が、私たち人間がたまたま存在する特別な時期の物質密度と関連するのか?
1.13 人間原理の論争
宇宙には25個の調整可能な(観測で決まる)定数が存在する +
26個目の宇宙定数が必要
中性子の質量を
0.2パーセント小さくすると。。。陽子は不安定になり中性子と陽電子へ崩壊し、原子核は電子を失い原子はバラバラになってしまう
0.2パーセント大きくすると。。。中性子は原子核の内部でも崩壊を始め陽子へ変わり、原子核は陽子間の電気的な反発力によってばらばらになり、水素原子を形成、水素以外の化学元素は存在できなくなってしまう
弱い相互作用の値がほんの少し変わると。。。超新星爆発が発生しなくなり、多くの元素が宇宙に拡散されなくなってしまう
3種類のマルチバース
・すべて同じひとつの宇宙に属する多数の領域からなる
・ばらばらの分離された宇宙
・ふたつを組み合わせたもの(複数の宇宙で構成され、そのひとつひとつがさまざまな異なる領域を持っている)
インフラトン:独自のエネルギー・ランドスケープを持つ別のスカラー場の存在
スカラー場が宇宙の場所ごとに違うならば、宇宙「定数」もまた変化する
1.14 原理までのぼりつめた「平凡であること」
「平凡の原理」:自然定数の統計分布、釣鐘曲線の95%の信頼度
人類の存続する期間がどれほど長いかを予測する
「最後の審判の日の主張」:人類がこれまでに存在した期間よりも長く、人類が今後存続することはないだろう
定数のうちいくつかは、生命の物理学と化学に直接影響しない(例:宇宙定数、ニュートリノの質量、原初の密度のゆらぎのパラメータQ)
ワインバーグは、宇宙定数には人間原理的な上限値があるを発見
タイプIa超新星爆発(正確に同じ強さの出力を放つ天体)によって、ゼロでない宇宙定数の証拠が最初に発表された
チャンドラセカール限界:白色矮星の質量の限界
宇宙の膨張が減速しているのではなく、過去50億年ほどの間スピードを増しているという証拠(1998年)
真空のエネルギー密度の観測値 = 物質の平均密度の約3倍
1.15 万物の理論
三種類のメッセンジャー粒子
・電磁気力:光子
・弱い相互作用:W粒子とZ粒子
・強い相互作用:8種類のグルーオン
重力だけが標準模型で省かれている理由:
距離が非常に接近すると、時空の幾何は泡状の構造(図12.1)になるので、滑らかな時空を移動し、互いに重力子をやりとりする粒子という抽像は明らかにこの混沌とした時空には適用できない
ではなぜ似たような静電気力は適用できるのか??
ひものハーモニー
直線のひもの異なる振動パターン
ひもが取り得る状態の中に、必ず重力子、つまり重力の相互作用を媒介する粒子が含まれている
ひも理論では、ひもの小さなループのサイズは有限な大きさを持ち、そのサイズはプランク長さから決まる(プランク長さ以下の長さに由来するゆらぎの問題から免れている)
質量のないボゾン
ひも理論には適当に調整できるパラメータがひとつもない
6次元:次元の巻き上げ(コンパクト化):ストローの1次元に2次元の円筒が巻き上げられているのと同じ
1次元のひも、2次元の膜、高次元の膜相当のもの → すべてまとめてブレーンと呼ぶ
おおざっぱな推測によると、ランドスケープは約10⁵⁰⁰個の異なる真空を含む、これらの真空のなかには、私たちの真空に似ているものもある
インフレーション宇宙論 + ひも理論のランドスケープ = あらゆる種類の可能な真空に対応した領域が、永久インフレーションの進行する間に、生み出される世界
「ひも理論の人間原理的ランドスケープ」(2003年:レオナルド・サスキンド)
ランドスケープにはどのような種類の真空があり、それぞれの種類に対して何個の真空があるのでしょうか?
ランドスケープにはどのような種類の真空があり、それぞれの種類に対して何個の真空があるのでしょうか?
10⁵⁰⁰個の真空すべての特徴を細かく知ることは、現実には期待できないので、何らかの統計的把握が必要になる
さらに、ひとつの真空の泡が別の真空の泡の中に出現する確率を推計する必要がある
この宇宙モデルができれば、平凡の原理を使って、私たちがどこかの真空のひとつで暮らす確率を決定することができる
4. 無からの宇宙の創造
1.16 宇宙には始まりがあったのか
インフレーションがが未来に向かって永久に続くのだとすれば、過去にも始まりがなかったかもしれない
サイクリック宇宙 vs. 定常宇宙
ド・ジッター空間
収縮は、偽の真空が持つ反発力としての重力によって減速し、ついには収縮が一瞬止んで、次に膨張へと転じる
観客の時計で計って無限の過去にまで近づいても、宇宙旅行者の時計で計った経過時間は以前として有限である
1.17 無からの宇宙の創造
インフレーションはいかにして始まったのか?
フリードマン・モデル:宇宙は無限大の曲率と無限大の物質密度をもつ初期特異点から始まって膨張した
なぜ宇宙は最初に膨張していたか?
宇宙は極端に小さな状態から始まったとすると、もっとも起こりそうなことは特異点にまで崩壊してしまうこと
しかし、崩壊してしまう代わりに、宇宙が大きな半径へのエネルギーの壁をトンネルして、インフレーションを始める可能性がわずかながらある
最初の半径の大きさをゼロに近づけても、トンネル効果が起こる確率は残るということがわかった!
無から出現する宇宙
バドミントンの羽(シャトル)のように見える
タフツ宇宙論研究所のロゴ
「無からの宇宙の創造」
「無からのトンネル効果」vs. 「無境界提案」 ホーキング
ふたつのアプローチは今も議論が続いている
1.18 世界の終わり
臨界密度を下回るケース:膨張を反転させることができず、宇宙は永遠に膨張する
最後には、星の残骸を形成している勝っ核子が崩壊し、陽電子、ニュートリノといったもっと軽い粒子に崩壊し、電子と陽電子は対消滅して光子となり、死んだ星はゆっくりと分解していく。1グーゴル年以内に、宇宙の中はすべて消え去る。ひたすら薄くなるニュートリノと放射の混ざったものだけが残る
ビッグクランチと果てしない坊っ長はどちらも同じくらいありそうなことでしたが、いまやインフレーション理論は非常にはっきりとした予言をしている
真空のエネルギーは私たちの領域では最終的に負に転じます。するとこの領域は収縮を始め、ビッグクランチへと崩壊します」と書いています。正確にいつそれが起こるかを予測するのは困難だ
。。。一体著書はビッグクランチとビッグリップとどちらで宇宙は終わると結論しているのか、これではまったくわかりません。。。
ChatGPTにきいてみました。
Q:
インフレーション理論では、宇宙の最後はビッグクランチとビッグリップとどちらで終わると結論づけていますか?
A: インフレーション理論は、宇宙の初期の急激な膨張に関する理論であり、宇宙の終末に関する具体的な予測を直接提供するものではありません。宇宙の終末に関しては、他の理論や観測に基づいて議論されています。主要なシナリオとしては、ビッグクランチとビッグリップ、そしてビッグフリーズがあります。
ビッグクランチ:宇宙が再び収縮し、最終的にすべての物質とエネルギーが一点に集まるシナリオ。
ビッグリップ:宇宙の膨張が加速し続け、最終的に銀河、星、原子などすべての構造が引き裂かれるシナリオ。
ビッグフリーズ:宇宙が永遠に膨張し続け、最終的にすべての星が燃え尽き、宇宙が冷たく、暗くなっていくシナリオ。
現在の観測結果(特に宇宙の膨張速度の加速を示すダークエネルギーの存在)に基づくと、ビッグリップやビッグフリーズのシナリオがより有力とされています。ビッグクランチは、宇宙の膨張が将来的に逆転する場合にのみ起こり得るものであり、その可能性は現時点では低いと考えられています。
したがって、インフレーション理論自体は宇宙の終末についての結論を出すものではありませんが、現在の観測結果を考慮すると、ビッグリップやビッグフリーズの可能性が高いとされています。
うーーーーーむぅ 笑
1.19 方程式のなかに宿る火
数学的な美しさとは何であるかを定義するのは、芸術作品の美しさを定義するのと同じくらい難しい
オイラーの公式
オイラーの公式を導入することにより、極形式の複素数は、より簡素な表記に変換することができる。すなわち、複素数の極形式
z = r(cos θ + i sin θ) は z = reiθ に等しい。また、特に、θ = π のとき
以上です(2024年7月18日 追記完了)
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