テレビドラマ『デューン/砂の惑星 #1~3』(2000年)を観ました。
原作は、フランク・ハーバートの壮大なSF小説『デューン』。
これまでも何度か映画化されてきた作品です。
最も有名なものは、デヴィッド・リンチ監督の『デューン/砂の惑星』(1984年)。
そして、2020年にはドゥニ・ヴィルヌーブ監督、ティモシー・シャラメ主演の『DUNE/デューン
砂の惑星』が大ヒットしました。
他にも『ホドロフスキーのDUNE』という、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の、制作が中止された映画『DUNE』のエピソードを紹介している映画なんてのもあります。
今回観たのは、2000年に放送されたアメリカ・カナダ・ドイツ製作のテレビドラマ(ミニシリーズ)です。
『エレファント・マン』の名優ウィリアムハートがレト・アトレイディス伯爵役で出演している以外は、俳優陣のほとんどはさほど有名ではない。
前述2作の膨大な製作費とは比較にならない小規模予算のテレビ向けシリーズです。
字幕なしであればYouTubeで全編ノーカットが観れます。
Dune Miniseries (2000) - Episode 1
先入観なしで観たのですが。。。このテレビシリーズはなかなか良く出来ています!
フランク・ハーバートの原作にもっとも忠実な作品といって間違いないでしょう。
デヴィッド・リンチ監督の『デューン/砂の惑星』ではほとんど省略されていたイルーラン姫が重要な役割を果たしているのが良い。
WOWOWプラスでは、2022年08月19日(金)に3作を一挙放送する予定なので、衛星放送で観るチャンスです。
1. 『デューン/砂の惑星』
(以下Wikiより引用)
『デューン』(Dune)は、アメリカの作家フランク・ハーバートによるSF小説のシリーズ。第1作『砂の惑星』が1965年に公開されると、その人気を受けて『砂漠の救世主』『砂丘の子供たち』『砂漠の神皇帝』『砂漠の異端者』『砂丘の大聖堂』と次々に続編が著された。
出版直後から幾度も映像化が構想されたが、その壮大なドラマの製作は困難を極め、『エル・トポ』で知られるアレハンドロ・ホドロフスキーを始め多くの人が挫折。ようやく1984年に初めて映画化を成功させたのはディノ・デ・ラウレンティスであったが、監督したデイヴィッド・リンチ自身が認めているように、作品世界全体を描くには充分な内容に仕上がっていたとは言い難い。
2000年代初頭にはアメリカのSF専門ケーブルテレビ局Sci
Fiチャンネルでテレビドラマシリーズ化され、『デューン/砂丘の子供たち』までが映像化された。その後2008年にパラマウント・ピクチャーズがピーター・バーグ(後にピエール・モレル)を監督にして映画化すると発表したが2011年に製作中止となった。
2013年、頓挫したホドロフスキー版の顛末が『ホドロフスキーのDUNE』としてドキュメンタリー映画化された。
(引用おわり)
ちなみにハーバートの原作は
第1作『デューン 砂の惑星』 Dune (1965)
第2作『デューン 砂漠の救世主』 Dune Messiah (1969)
第3作『デューン 砂丘の子供たち』 Children of Dune (1976)
第4作『デューン 砂漠の神皇帝』 God Emperor of Dune (1981)
第5作『デューン 砂漠の異端者』 Heretics of Dune (1984)
第6作『デューン 砂丘の大聖堂』 Chapterhouse:Dune (1985)
第7作 Hunters of Dune (未訳) (2006)
第8作 Sandworms of Dune (未訳) (2007)
と、壮大な8部作になっています(ハーバート本人による執筆は第6作まで)。
ヒューゴー賞及びネビュラ賞、そして星雲賞長編部門を受賞、SF小説の不朽の金字塔といえる作品です。
未来の大銀河宇宙を舞台にしたハルコネン家とアトレイディス家の確執
砂の惑星「デューン」に棲息するサンドウォームという巨大なイモムシは、「風の谷のナウシカ」の王蟲のモデルにもなりました。
(出典: ciatr)
「デューン」にしか存在しない謎の香料「スパイス」と、それを利用して宇宙空間を瞬時にワープするギルド航海士たち。。。
小説『デューン/砂の惑星』には、イマジネーションを掻き立てるSFの要素がぎっしりと詰まっています。
映画あらすじ(Wikiより引用):
遠い未来、レト・アトレイデス公爵は、宇宙で最も価値のある物質である『メランジ』の唯一の供給源であるデューンとしても知られる危険な砂漠の惑星アラキスの管理権を受け入れる。
メランジは人間の寿命を延ばし、超人的なレベルの思考を提供し、超光速の旅行を実用的にするスパイスである。
公爵はその機会が宇宙皇帝らによって仕組まれた複雑な罠であることを知っていたが、彼は公爵の愛妾のレディ・ジェシカ、息子で後継者のポール、そしてアラキスの最も信頼できるアドバイザー達を連れて行く。
公爵は巨大な砂虫(サンドワーム)の存在によって危険にさらされているスパイス採掘作業を管理しているが、敵の襲撃によってポールとジェシカはアラキスの原住民であるフレーメンに導かれるのだった。。。。
(引用おわり)
個人的には、リンチ監督の『デューン/砂の惑星』を猛烈に高く評価していますが、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督のリメイク版も素晴らしい出来栄えでした。
2. テレビドラマ『デューン/砂の惑星 #1~3』
(以下Wikiより引用)
『デューン/砂の惑星』(デューン すなのわくせい、Frank Herbert's
Dune)は、2000年に放送されたアメリカ・カナダ・ドイツ製作のテレビドラマ(ミニシリーズ)。
概要
フランク・ハーバートのSF小説『デューン砂の惑星』を原作として製作され、1984年公開の映画『デューン/砂の惑星』では描き切れなかった世界を映像化したシリーズである。2001年にはクリエイティブアート・エミー賞の撮影賞と視覚効果賞を受賞した。
続編として『デューン/砂の惑星II』がある。
キャスト
レト・アトレイデス公爵:ウィリアム・ハート(吹替:楠見尚己)
ポール・アトレイデス:アレック・ニューマン(吹替:青木誠)
レディ・ジェシカ:サスキア・リーヴス:(吹替:渡辺美佐)
ウラディミール・ハルコネン男爵:イアン・マクニース(吹替:宝亀克寿)
フェイド・ラウサ:マット・キースラー(吹替:清水敏孝)
イルーラン姫:ジュリー・コックス(吹替:皆川純子)
皇帝シャダム4世:ジャンカルロ・ジャンニーニ(吹替:金子由之)
スティルガー:ウーベ・オクセンネヒト(吹替:岩崎ひろし)
チャニ:バーバラ・コデトヴァ(吹替:斎藤恵理)
(引用おわり)
Amazon Primeから観れるシネフィルWOWOWプラスでは、
- VOL.1 大いなる砂漠の星(1時間35分)
- VOL.2 呪われし砂漠の民(1時間38分)
- VOL.3 神獣・砂漠の守り神(1時間37分)
と、3部作で合計4時間50分にも及ぶ超大作です。
リンチ監督の『デューン/砂の惑星』が、映画興行的に大失敗だったのは、上映時間の限られている映画に、原作の要素を詰め込むことができず、消化不良になってしまったのが原因のひとつでした。
ヴィルヌーブ監督のリメイク『DUNE/デューン 砂の惑星』では、その反省を踏まえて、2020年に公開されたのは前半分だけ。
2023年には続編の公開が控えています。
その点、このテレビドラマは、3つのシリーズ4時間50分で原作の世界観をじっくりと味わうことができる貴重な作品となっています。
3. テレビドラマ編の特徴
テレビドラマ編のレビューでは、特撮がチープだとか、セットがショボイとか、そういう外面的な不満が散見されますが、そんなものは初めから求めていない。
CGバリバリの大迫力を求めるのであれば、2020年の『DUNE/デューン 砂の惑星』をiMAXシアターで観れば良い。
登場人物のキャラ設定は、デヴィッド・リンチの『デューン/砂の惑星』に出てくるあまりに強烈なキャラクター陣と比較すると、拍子抜けするほどごくフツーの風貌 笑
ハルコネン男爵も、フェイドも、どこにでもいそうな悪役。
だが、室内装飾のデザインと衣装はかなりハデで凝った造りになっているし、セットのディテールも丁寧に造作されています。
だが何と言っても、テレビドラマ編の一番の特徴は、皇帝シャダム4世の愛娘イルーラン姫を重要人物として頻繁に出演させたことだと思います。
ネタバレですが、イルーラン姫は、物語の終盤でポール・アトレイデスと結婚することになる重要な人物です。
原作でも、イルーラン姫が登場する場面は少なくないのですが、デヴィッド・リンチの『デューン/砂の惑星』では、端役も端役、ほとんど出てこない。
出てくるのは、冒頭のストーリーを話すシーンと、終盤に皇帝シャダム4世の脇にいて、「お父さま」「おまえは下がっていろ」という会話くらい 笑
リンチの『デューン/砂の惑星』でイルーラン姫を演じているのはVirginia Madsenというアメリカ人の女優。相当な美人だ。
美女を映画に出演させるのが大好きなデヴィッド・リンチ監督の趣味に尽きますが、なぜかこのVirginia Madsenは、ほとんど出番をもらえなかった(彼女自身、女優としてのキャリはほとんど築いていない)。
もし、リンチの『デューン/砂の惑星』でVirginia Madsen演じるイルーラン姫が、もっと重要な役割を果たしていたら、あれほどの大コケはしなかったのではないか。。。??
一方、テレビドラマ編のイルーラン姫を演じているのは、ジュリー・コックスというイギリスの俳優。
ジュリー・コックス
テレビドラマが中心で活躍しているようだが、ハデな容姿が端麗で演技も上手い。
VOL.1「大いなる砂漠の星」とVOL.2「呪われし砂漠の民」は、原作に忠実な描写が丁寧だが、初めてDUNEを観る観客にとっては冗長過ぎて退屈に感じるかもしれません。
しかし、我慢してVOL.3「神獣・砂漠の守り神」まで観続けると、映画は一気に面白くなってきます。
フレメンの逆襲にハルコネン男爵が焦り出し、政治的な思惑が乱れ交うシーンは、まるで現代の国際政治の世界を象徴しているよう。
主人公のポール・アトレイデスを演じたアレック・ニューマンも、VOL.3になると立派なリーダー風格を備えるように見えるから面白い。
アレック・ニューマン
簡単に言ってしまえば、帝国を統治する途方もない権力組織に、フレメンの民を率いて反乱を企てるポール・アトレイデスのヒーロー映画です。
そこに、姻戚関係が複雑に絡んでいるのが面白い。
ポールの母親のレディ・ジェシカは、実はハルコネン男爵の実の娘なわけで、終盤で決闘相手のフェイドは、ポールからすればいとこなんですよね。
つまり、いとこ殺しが公衆の面前で堂々と行われるという野蛮な話でもある。
フレメンの女性チャニはポールの子供を産むが、正妻にはなれないので側室の立場を自ら選択、これって現代の社会で受け容れられるものなのか 笑
婚姻関係で太平の世の中を実現するという、日本の戦国時代のような話でもあります。
4. エピソード2
驚いたことに、テレビドラマはここで完結せずエピソード2があります。
- VOL.4 示されし黄金の道(1時間27分)
- VOL.5 選ばれし砂漠の子供達(1時間27分)
- VOL.6 秘められし砂漠の力(1時間27分)
以下Amazon Primeからの引用です。
1965年に発売されたフランク・ハーバートのSF小説「デューン/砂の惑星」を、全6話で忠実にドラマ化。シーズン2では他には映像化されていない、「デューン/砂の惑星」以降の原作の内容が描かれる。出演はジェームズ・マカヴォイほか。ポールが統治する砂の惑星デューン=アラキス。コリノ家のウェンシアが復権を狙い陰謀をめぐらせるなか、ハルコネン男爵も亡霊となり、ポールの妹アリアを操り暗殺をくわだてる。(C) 2002 Blixa Film Produktion GmbH & Co. KG and TTP Film Distirbutions II, LLC. All rights reserved.
(引用おわり)
4時間50分の大作を観終わったあとに、まだ4時間21分もエピソード2が控えているという 笑
まあ、それでも全8作の原作の半分にも達していませんが。
エピソード2については、観終わったらまたブログ記事にしようと思います。
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