『モーガン・フリーマン
時空を超えて』という科学ドキュメンタリー番組の総まとめ記事です。
原題は Through The Wormhole
Eテレでは『モーガン・フリーマン
時空を超えて』、ディスカバリーチャンネルでは『モーガン・フリーマンが語る宇宙』、BS-11では『モーガン・フリーマン
時空の彼方』という邦題で放送されていました。
当時録画したものを、最近また観直しています。
宇宙の仕組みや謎について、毎回さまざまなテーマを取り上げて放送していました。司会(案内人)は俳優のモーガン・フリーマン。
以下順次アップしていきます。
0. 『モーガン・フリーマン 時空を超えて』
『モーガン・フリーマン
時空を超えて』は、ディスカバリーチャンネルのドキュメンタリー番組をベースに、テーマを抜粋してNHKのEテレ(教育チャンネル)で放送されていたシリーズです。
2016年から2018年まで2年間にわたって合計62のエピソードが放送されましたが、残念ながら現在は番組は終了、NHKの公式サイトによると再放送予定はないとのことです(NHKオンデマンドにも未登録)。
そして、国内版はDVDなどのパッケージビデオで販売されていないのも大変残念です。
「時間、空間、そして生命。。。時空を超えて未知の世界を探求します」(NHK)
「時間、空間、そして生命。。。宇宙の謎を解く鍵はワームホールにあるのです」(Discovery)
非常に良く出来たドキュメンタリー番組なので、是非とも再放送してほしいものです。
これまでに放送されたエピソードは、「Eテレ「モーガン・フリーマン 時空を超えて」 タイトル一覧」というサイトに詳しくまとめられています。
私は、自宅のレコーダーに録画したものをディスクに保存して、コツコツと観てきました。
録画・保存しているのは放送されたものの一部で、以下の31のエピソード(録画順、カッコ内の数字は放映シーズンと順番)です。
[DISC-1] (NHK)
- パラレルワールドは存在するのか?(2-6. Are There Parallel Universes?)
- 宇宙は生きているのか?(3-3. Is The Universe Alive?)
- “無”とは何か?(3-5. What is Nothing?)
- 悪は根絶できるのか?(3-7. Can We Eliminate Evil?)
- 潜在意識が秘める力(3-8. Mysteries of the Subconscious)
[DISC-2] (NHK)
- 他人の脳をハッキングできるか?(4-6. Can Our Minds Be Hacked?)
- “運”は実在するのか?(5-2. Is Luck Real?)
- 神が”進化”を創造したのか?(4-10. Did God Create Evolution?)
- 運命か? 自由意志か?(4-9. Do We Have Free Will?)
- 人間は神になれるのか?(5-8. Will We Become God?)
- 影の宇宙は存在するのか?(5-9. Is There a Shadow Universe?)
- 宇宙は永遠に続くのか?(3-9. Will Eternity End?)
- この世界は仮想現実なのか?(6-4. Do We Live in the Matrix?)
- 人はなぜウソをつくのか?(6-6. Why Do We Lie?)
[DISC-3] (NHK)
- 宇宙を支配する法則は何か?(2-7. How Does the Universe Work?)
- “運”は実在するのか?(5-2. Is Luck Real?)
- 私たちが存在する理由は何か?(6-3. Are We Here for a Reason?)
- “無”とは何か?(3-5. What is Nothing?)
- 時間を遡ることはできるのか?(6-2. Can Time Go Backwards?)
[DISC-4] (Discovery)
- 進化とロボット(4-7. Are Robots the Future of Human Evolution?)
- 命の始まり(4-2. When Does Life Begin?)
- 脳のハッキング(4-6. Can Our Minds Be Hacked?)
- 現実とは何か(4-8. Is Reality Real?)
- 自由意志(6-2. Do We Have Free Will?)
- ヒッグス粒子(4-1. Is There a God Particle?)
- 生物の進化と神(4-10. Did God Create Evolution?)
- 男女の未来(4-5. Will Sex Become Extinct?)
- 時間の起源(5-10. When Did Time Begin?)
- 重力の正体(5-7. Is Gravity An Illusion?)
[DISC-5] (BS11)
- 海は思考するのか?(5-5. Does the Ocean Think?)
- 人類は神になるのか?(5-8. Will We Become God?)
- 影の宇宙(5-9. Is There a Shadow Universe?)
[DISC-6] (BS11)
- 地球外生命体の宗教(5-1. Is God an Alien Concept?)
- 私たちの中のエイリアン(6-5. Are Aliens Inside Us?)
- 「マトリックス」的世界(6-4. Do We Live in the Matrix?)
[DISC-7] (BS11)
- なぜ人は嘘をつくのか?(6-6. Why Do We Lie?)
- 時間は逆行するのか?(6-2. Can Time Go Backwards?)
- 生きることの意味(6-3. Are We Here for a Reason?)
[DISC-8] (BS11)
- 天才の種(7-4. Can We All Become Geniuses?)
- 宇宙のフォース(8-1. Is the Force With Us?)
- 地球ハック(8-3. Can We Hack the Planet?)
- ファーストコンタクト(3-1. Will We Survive First Contact?)
今回は、[DISC-1]に収められた5つのトピックについてまとめました(日付は再視聴した日)。
1. パラレルワールドは存在するのか?(2-6. Are There Parallel Universes?)(2023/12/25)
私たちには別の分身がこの世に存在するのでしょうか?
パラレルワールドは存在するが、宇宙の彼方の途方もなく遠い世界にあるので訪れることはできない
物質は同時に複数の場所に存在でき、複数の物質は同じ場所に存在できる
身近な量子力学のミクロの世界にもパラレルワールドは存在する
人間に観察されるまでは中身が何かは決まらない
量子力学だけでなくマクロの世界にもパラレルワールドは存在する
量子力学の法則を実験
50万ドルの実験設備
金属片を通り過ぎる粒子
金属片に取り込まれつつ、通り過ぎるものもある
宇宙には物質だけでなく、反物質が存在する
反物質とは
SLAC国立加速研究所
粒子同士を衝突させて反物質を生成、消失までの特性を測定
反物質のほうが物質よりも早く消える
衛星で反物質を検出する試み
パラレルワールドは存在するのか
ブレーンワールド
二つのブレーンが併存
ブレーン同士が接触するとビッグバンに
ビッグバンは全ての始まりではなく宇宙の生成
2つのブレーンを繋ぐ場所
そこはブラックホール
事象の地平面を超えると
物質はブラックホールに吸収され
特異点に収束される
重力の歪曲だけでなく
ねじれも微小ながら発生
ブラックホールではねじれ効果が大きい
ブラックホールに吸収された物体はホワイトホールを介して別の世界に繋がっている
ガンマ線バーストはパラレルワールドからのメッセージかもしれない
個人的な評点: ★★★★☆
2. 宇宙は生きているのか?(3-3. Is The Universe Alive?)(2023/12/27)
宇宙は生命の定義に当てはまるか?
複数の体を持つひとつの生命
超個体が集まって生命を形成する
スワームボットはお互いに情報を交換し合う
自動車が設計プロセスによって作られる過程は、人間がDNA情報に基づいて生成されるのと同じ
ビッグバンは宇宙の呼吸の一部
ビッグバウンス、宇宙は膨張と収縮を繰り返す
特異点は無限大ではない
インフレーションによって呼吸している
ニュートリノ(反発し合う)が重要な役割を果たす
ニュートリノの特性:同じ場所に閉じ込めておけない
超流動体
ブラックホールが新しい宇宙を生む
微調整
生命にとって適切な物理定数が選ばれる - 自然選択説
生命にとって都合の良い定数は、宇宙にとっても都合の良い定数
量子力学理論
ブラックホールが子孫を生む
宇宙は頭脳を持っているか - 量子コンピュータ
原子でものを考える
キュビットという装置
宇宙を形成するプログラムは単純
マトリクスの世界
単純な基本プログラムから
複雑な結果が
生まれる
どんどん進化して
絵にもなる
基本プログラムを発見できるのは人間ではなく人工知能
現実はすべて人間の想像に過ぎない
宇宙はコンピュータシミュレーションの架空の世界
生命中心主義
木が倒れるのも、人間が認識するから
巨大コンピュータが人間を生成した
個人的な評点: ★★★☆☆
3. “無”とは何か?(3-5. What is Nothing?)(2024/01/03)
完全な"無"というのは存在するのでしょうか?
"無"を考えること自体が何か目的を持つことになるので矛盾してしまう
液体の入ったバケツを回してもしばらく液体は回らない
空間に何かがあって邪魔をしている?
真空エネルギーの威力
量子真空のおかげで真空のなかの電荷はエネルギーの外壁に防御されている
粒子加速器で外壁を吹き飛ばして観測
真空のエネルギーを計算すると
宇宙のダークエネルギーの計算量よりも桁違いに大きくなってしまう
素粒子には必ずペアが存在して、互いに打ち消し合っている(超対称性)
真空もいつ爆発するかわからない
ビッグバンは100億年以内に再び起きるかもしれない
トホーフト博士
情報をこの世から完全に消去することはできない
ブラックホールが吸い込んで完全に消滅するという
ホーキング博士の考えは間違いだった
情報はブラックホールの表面に保存される
体積は空っぽでも
表面積だけでOK
中身は空っぽ
互いに見知らぬ2つの世界
斥力が働いているので物質はお互いに影響し合う
斥力がなければすり抜けてしまう
ダークマターは電荷がゼロ(重量はある)
もしかしたらダークマターは物質と全く影響し合わないのかもしれない
ビッグバン以前も"無"ではなく、アイラトン場があった
やがてビッグバンが起きた
ビッグバン以前に何があったか、重力波の微小な歪みを検出すれば判明できるかも
個人的な評点: ★★★☆☆
4. 『悪は根絶できるのか?(3-5. What is Nothing?)(2024/01/04)
以下のブログでまとめたので、そちらを再掲します。
サイエンス番組らしく、登場する心理学者や神経科学者たちは、あの手この手の手法で、人間の心に潜む「悪魔」の正体を突き止めて、邪悪な衝動を消し去り、人間性を善なる方向に導く手段を探しています。
サイコパス(この番組では他人に感情移入できない人の意味で使われています)も、弱者に共感できるか?がテーマです。
無差別殺人者やヒトラーのような狂人の行動は、長い間、外部要因の「悪魔」の仕業だとされてきました。
しかし、今では悪魔とは単なる象徴にすぎず、悪魔とは私たちの心が生み出すものだと証明してきました。
実験の結果、自分の身体の痛みを感じるのと、(映像で観る)他人の痛みを感じるのは、情動的共感といい、脳の同じ部位が働いていることがわかっています。
個人差はあるものの、人の痛みを感じる能力は、すべての人に生まれつき備わっているものなのです。
人間の脳にある「扁桃体」は、脳の側頭葉の内側、海馬のやや内前方に左右対称に位置している、長さでは15~20mm程度のアーモンド型の器官です。
「扁桃体」は感情の中枢であり、原始的な欲求の源です。
セルフ・コントロールの要である「前頭葉」と「側頭葉」によって感情や衝動を抑制しています。
しかし、何らかの原因で、扁桃体に異常が起きると、セルフ・コントロールは失われてしまいます。
扁桃体
1966年、チャールズ・ホイットマンという若者がテキサス大学オースティン校のタワーに登って銃を乱射 計48人を死傷(15名死亡)させるという事件が起きました。
チャールズ・ホイットマンの死後解剖の結果、くるみ大の腫瘍が脳の扁桃核を圧迫しているのが発見されました。
この腫瘍が、扁桃核の働きを阻害し、暴力衝動を誘発していたと考えられています。
サイコパスは、良心の呵責を感じることなく他者に危害を加えることができます。極めて邪悪な存在と言っていいでしょう。
驚くことに、そのような人物は想像以上に多く、人口の3%にのぼると言われています。
長年脳の構造を研究している神経科学者のジェームス・ファロンは、サイコパスの殺人者は、独特な脳の構造をしていることを発見しました。
サイコパス的な脳の構造形成には、少なくとも40の遺伝子が関係しており、凶暴性や自己陶酔性
殺人を犯す傾向などに影響する遺伝子です。
しかし、神経科学者のジェームス・ファロン当人が、その独特な脳の構造を持っていることがわかり、本人は当惑してしまいました。
これだけ危険遺伝子があったにも関わらず、ジェームス・ファロンが犯罪者にならずに済んだのは、後天的環境に恵まれたこと、すなわち両親や友人が私を幸せに育ててくれたおかげだと結論づけています。
では、悪を排除すること=邪悪な行動をコントロールすることはできるのでしょうか?
番組では、薬物療法などさまざまな試みを紹介していますが、まだ検証段階のようでした。
人間は、生まれながらにして、自分と似たものを好み、異質なものを嫌うという性質があります(1歳の赤ん坊でも同じ)。
それが、人種差別や、集団主義、排他主義といった悪に繋がるわけです。
番組では、「学校の教育」と「メディアと交通機関の発達による距離の短縮」によって、人類を一つの集団として見ることができれば、道徳的な進歩が期待できると締めくくっています。
理想的には正しい考えかもしれませんが、教育にせよ、物理的な距離にせよ、これだけ世の中が格差社会になっている現在では、その効果には限界がありますね。。。
こちらのブログ「悪は根絶できるのか」にも詳しく紹介されています。
個人的な評点: ★★★★☆
5. 潜在意識が秘める力(3-8. Mysteries of the Subconscious)(2024/01/05)
潜在意識の能力を発揮させるためには、またそれを常に活用するためには?
潜在意識は脳が働いていないときにも動いている
脳内のアンサンブル
自分の身体の意識
無意識に
脳の潜在意識が反応してしまう
危険を察知して身を守る
潜在意識が危険を察知する
矢印の向きが変わることを察知するために活性化する
正直シグナル
言葉を超えたコミュニケーションが取れる
ソシオメトリックバッジをつけて実験
全員で話し合うときの脳の反応を調べる
同じような電気刺激を脳に与えると
閃きでパズルを解けるように
癒しの力
治療費を劇的に下げられる可能性
固定概念を打破するためには
では、一時的ではなく恒久的に潜在意識を高めるためには
tDCS装置で脳に刺激を与える
個人的な評点: ★★★☆☆
以上、DISC 1の5つのエピソードでした。
DICS 2に続きます。
(2024年11月23日 追記)
NHKのフロンティア「あなたの中に眠る天才脳」という番組でtDCSが出てきました。
脳の構造
普段は左脳が右脳を抑制している
獲得性サヴァン症候群(後天的な天才)
脳の左半球を損傷して、才能が開花した例がいくつもある
tDCSは市販されているのですね
こちらは医療用tDCS
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