『モーガン・フリーマン
時空を超えて』という科学ドキュメンタリー番組の総まとめ記事第4弾です。
原題は Through The Wormhole - Eテレでは『モーガン・フリーマン
時空を超えて』という邦題で、ディスカバリーチャンネルでは『モーガン・フリーマンが語る宇宙』という邦題で放送されていました。
当時録画したものを、最近また観直しています。
宇宙の仕組みや謎について、毎回さまざまなテーマを取り上げて放送していました。司会（案内人）は俳優のモーガン・フリーマン。
以下順次アップしていきます。
0. 『モーガン・フリーマン 時空を超えて』
『モーガン・フリーマン
時空を超えて』は、ディスカバリーチャンネルのドキュメンタリー番組をベースに、テーマを抜粋してNHKのEテレ（教育チャンネル）で放送されていたシリーズです。
2016年から２018年まで2年間にわたって合計62のエピソードが放送されましたが、残念ながら現在は番組は終了、NHKの公式サイトによると再放送予定はないとのことです（NHKオンデマンドにも未登録）。
そして、国内版はDVDなどのパッケージビデオで販売されていないのも大変残念です。
非常に良く出来たドキュメンタリー番組なので、是非とも再放送してほしいものです。
これまでに放送されたエピソードは、「Eテレ「モーガン・フリーマン 時空を超えて」 タイトル一覧」というサイトに詳しくまとめられています。
私は、自宅のレコーダーに録画したものをディスクに保存して、コツコツと観てきました。
録画・保存しているのは放送されたものの一部で、以下の27のエピソード（録画順、カッコ内の数字は放映シーズンと順番）です。
[DISC-1] (NHK)
- パラレルワールドは存在するのか？（2-6. Are There Parallel Universes?）
- 宇宙は生きているのか？（3-3. Is The Universe Alive?）
- “無”とは何か？（3-5. What is Nothing?）
- 悪は根絶できるのか？（3-7. Can We Eliminate Evil?）
- 潜在意識が秘める力（3-8. Mysteries of the Subconscious）
[DISC-2] (NHK)
- 他人の脳をハッキングできるか？（4-6. Can Our Minds Be Hacked?）
- “運”は実在するのか？（5-2. Is Luck Real?）
- 神が”進化”を創造したのか？（4-10. Did God Create Evolution?）
- 運命か？ 自由意志か？（4-9. Do We Have Free Will?）
- 人間は神になれるのか？（5-8. Will We Become God?)
- 影の宇宙は存在するのか？（5-9. Is There a Shadow Universe?）
- 宇宙は永遠に続くのか？（3-9. Will Eternity End?）
- この世界は仮想現実なのか？（6-4. Do We Live in the Matrix?）
- 人はなぜウソをつくのか？（6-6. Why Do We Lie?）
[DISC-3] (NHK)
- 宇宙を支配する法則は何か？（2-7. How Does the Universe Work?）
- “運”は実在するのか？（5-2. Is Luck Real?）
- 私たちが存在する理由は何か？（6-3. Are We Here for a Reason?）
- “無”とは何か？（3-5. What is Nothing?）
- 時間を遡ることはできるのか？（6-2. Can Time Go Backwards?）
[DISC-4] (Discovery)
- 進化とロボット（4-7. Are Robots the Future of Human Evolution?）
- 命の始まり（4-2. When Does Life Begin?）
- 脳のハッキング（4-6. Can Our Minds Be Hacked?）
- 現実とは何か（4-8. Is Reality Real?）
- 自由意志（6-2. Do We Have Free Will?）
- ヒッグス粒子（4-1. Is There a God Particle?）
- 生物の進化と神（4-10. Did God Create Evolution?）
- 男女の未来（4-5. Will Sex Become Extinct?）
- 時間の起源（5-10. When Did Time Begin?）
- 重力の正体（5-7. Is Gravity An Illusion?）
[DISC-5] (BS11)
- 海は思考するのか？（5-5. Does the Ocean Think?）
- 人類は神になるのか？（5-8. Will We Become God?）
- 影の宇宙（5-9. Is There a Shadow Universe?）
[DISC-6] (BS11)
- 地球外生命体の宗教（5-1. Is God an Alien Concept?）
- 私たちの中のエイリアン（6-5. Are Aliens Inside Us?）
- 「マトリックス」的世界（6-4. Do We Live in the Matrix?）
[DISC-7] (BS11)
- なぜ人は嘘をつくのか？（6-6. Why Do We Lie?）
- 時間は逆行するのか？（6-2. Can Time Go Backwards?）
- 生きることの意味（6-3. Are We Here for a Reason?）
今回は、[DISC-4]に収められた10のトピックについてまとめました（日付は再視聴した日）。
1. 進化とロボット（4-7. Are Robots the Future of Human Evolution?）(2024/04/09)
ロボットは人間を超えて進化して食物連鎖の頂点に立つのでしょうか？
ロボットの進化
人間の進化は「自律的に」動くこと
人間は600もの筋肉を動かしてボールを打つ
ベイズ推定
実際の映像と、過去のデータを照合する
歩き方を自ら学ぶロボット
４つ足の歩行
いろいろなパターンを試して
一番効率的な歩行を見つけ出す
ロボットには感情が必要
感情で動作を決める
視覚、聴覚、触覚を持ったロボット
ロボットの調教
緑には悪い（叩かれる）という連想
青は良い（撫でられる）
すべては数式プログラム
2点支持の2重振り子の動作
原理を解明するより
プログラムで最も近い数式を探す
ユリーカが見つけた最もデータに近い数式
連携が重要
ロボカップ
相手の考えを読み取る
連携はクラウドを介して瞬時に繋がる
会話が重要
言葉をゼロから作る
ロボット同士が独自の言語で会話する
ロボットと人間の融合
山海嘉之（さんかいよしゆき）：筑波大学大学院教授、システム情報工学研究科、工学博士。
サイバニクスの第一人者
脳の指令で動かす筋肉を自動的に検知
ロボットスーツHAL
リハビリで実用化
スーツ着用で車も持ち上げられる
タイガーウッズやフェデラーの動きをデータ化
データのアーカイブ化
ロボットと人間の共生の世界
果たしてどのように進化するのか？
個人的な評点: ★★★☆☆
2. 命の始まり（4-2. When Does Life Begin?）(2024/04/10)
生命はどう定義できるのでしょうか？
精子と卵子が結合した瞬間が生命の誕生という考え方
DNAは組み立て説明書
生命とは自動組み立ての説明書付きテントのようなもの
受精後１週間でヒト胚が子宮壁に着床
そこからパーツが出来上がる
各器官が発達
母親だけでなく、祖先や兄弟から受け継ぐ
胎児と母体は実は隔離されていない
胎児の血液に母親の血液が混じっている
子宮に小さな穴があり、血液が行き来している
胎児はいつから意識を持つか？
生後間もない赤ん坊
魚には痛覚があるか
視床皮質連絡がないため、痛みを感じない（異論もある）
視床皮質連絡が大脳に信号を送る
生後3日の胎児に電極を取り付ける
ミルクの匂いや酸の匂いをかがせると
匂いの種類によって血液循環が活性化したり不活性化する
乳児が意識を持っている証拠
未熟児では25週間ほどで意識を持つので、妊娠25週目が生命の誕生と定義
恥ずかしいという気持ちを持つのが生命
幼児の頭にピンクの紙を貼ると
4歳児は取ってしまうが
6歳児は、周囲に合わせてそのままにする
コップを重ねて席を立つ
こっそり釣り糸で崩すと、自分がやったと思われたくないので、自発的に直す
生命を持つロボットとは
自分で歩行を考える
立ち上がる
風車も生命の定義（活動する、設計図を持つ、複製できる）？
風車は自発的に繁殖しないが、油を界面活性剤に垂らすと活性化する
栄養を求めて自発的に動くし、複製もする、これは生命か？
ネットワーク社会
情報ネットワークは新しい生命の形態なのか
人がネットワークを介して情報を繁殖させる
ネットワークが生命と呼べる日が来るかもしれない
個人的な評点: ★★★★★
3. 脳のハッキング（4-6. Can Our Minds Be Hacked?）(2024/04/21)
4. 現実とは何か（4-8. Is Reality Real?）(2024/04/22)
私たちが見ているものは果たして現実に存在するものなのでしょうか？
マジックは人の脳をだます
アモーダル補完（物体の遮蔽された部分を補う視覚の補完機能）、「バ」と発音する声に唇の動きを変えた映像を重ねると「ヴァ」に聴こえる
赤く見える肖像も赤外線や紫外線では別のものに見える
ハドロン加速器による実験
脳によって知覚できる世界は狭い
視覚と聴覚を遮ると脳が他の感覚を敏感にさせて幻覚を生む
背景はセットで現実ではない
人間は集団生活のなかで脳のバーチャル化を発達させた
貨幣はバーチャルの典型
バイクでの交通事故死確率は車の37倍だが
「楽観的な偏見」自分だけは大丈夫と思い込む
「楽観的な偏見」が人類を進化させてもいる
自分が平均以上に社交的だと思う人が大多数
あらゆる災難に出会う確率を予測してもらう
予測が思った以上に低い（ラッキー）と
脳の前頭葉が活性化するが
予測が思った以上に高い（危険）だと不活性
喫煙で毎年600万人が死亡するが
自分だけは関係ないと思い込む
実験物理学者による量子力学の実験
ハドロン加速器で
光速に近いスピードで衝突させる
ヒッグス粒子の発見
極めて弱い重力が、他の次元では大きな力となり、ボールは床を突き抜ける
人間には検知できない多次元宇宙か
その反対の低次元宇宙という考え方も
粒子でもあり波でもある、場所と速度は同時に測れない
ホログラフィック原理（空間のある領域の物理的な情報が、その領域の境界に符号化されているという考え方）
この世は3次元ではなく2次元かもしれない
情報は3次元ではなく2次元（表面積）にだけ蓄積される（ブラックホール物理学）
夢か現実化
寝ている時間（8時間）の20%がREM睡眠、起きている時間（16時間）の10%もある
この世はシミュレーション世界の可能性は否定できない
プラトンの囚人
「宇宙とは変化である。人生とはその人の考えである」（マルクスアウレリウス）
個人的な評点: ★★☆☆☆
5. 自由意志（6-2. Do We Have Free Will?）(2024/04/21)
人間に自由意志はあるのでしょうか、それとも全ての運命は予め定められているのでしょうか？
古代ではすべての物事は神によって定められていると考えられていた
現在では、自由意志はなくすべてが予め決まっているという考え方
ボールを投げる動作は無意識に行われる
フリスビーをキャッチする実験
被験者は人間と犬
どの被験者もキャッチするパターンは同じ、つまり自由意志ではなく予め遺伝子にプログラムされている
自由意志はなく、脳の働きが先行する
数字を選んでもらう
自由意志のように思えるが
数字を選ぶ10秒も前に脳の前頭葉が活性化していた
部分的には自由意志が働く
脳の仕組みはコンピュータと同じ
脳にもある程度の自由意志で動く場所がある
水をいくら調査しても波のメカニズムを解明できないのと同じ
自由意志だけでは社会秩序を守れない
10種競技の選手の実験物理学者
過去の歴史をデータベース化するとパターンが見えてくる
紛争や経済変動など
すべては方程式で説明ができる
紛争での死亡率は予め決まっている
紛争地域に参加するかどうかは自由意志で決められるが、生きて帰れるかどうかは決められない
紛争に自由意志はない
量子の不確定性原理よりも微小な世界
プランク定数の世界では不確定要素は消える
閉塞宇宙では、すべての運命が定められている
あまりに小さいので人間は気付かない
ゼロか1の二択
チェスの盤目と同じ
未来の出来事が現在や過去に影響を与える
フィルムの巻き戻しでも物理法則は維持される
アインシュタインの考え
過去、現在、未来が同時並行に存在する逆因果関係の世界
量子の不確定性原理
起点と終点は定められているが
その途中経過には自由意志が存在する
自由意志のメリット
被験者が自由意志は存在しないと教えられると
報酬のコインを多く持って行く（モラル低下）
自由意志を信じることがモラルを保つ
太洋を航行するように
人間には自由意志があるほうが望ましい
個人的な評点: ★★★★☆
6. ヒッグス粒子（4-1. Is There a God Particle?）(2024/05/20)
神の粒子と言われるヒッグス粒子は宇宙の問題を解決するのでしょうか？
ヒッグス粒子はエネルギーを物質に変換する
神の粒子と呼ばれる
LHCで発見されるまでに40年もかかった
LHCの発展
陽子の衝突エネルギーが格段に増えた
フェルミ粒子は質量を持ち物質を運ぶ、ボーズ粒子は質量がなく力を運ぶ
ヒッグス粒子を発生させるために必要なドライバーに例える
ヒッグス粒子は126GeVの質量を持つ
ビッグバンがトリガーでヒッグス場が働き出したのか、神が創造したのか
実験でヒッグス場にエネルギーの乱れを発生させる
ヒッグス粒子を構成するものがある？
ヒッグス粒子を生成させるためには陽子を正面衝突させる必要がある
2012年7月8日に発表された
1000兆回の実験
実は5つのヒッグス粒子がある？
標準モデルでは階層性問題を解決できない
ダークマターは未知のヒッグス粒子なのか？
超対称性理論
ボーズ粒子のW粒子とＺ粒子だけが極端に重い
音楽と物理学の対称性
ヒッグス粒子も５つあるのでは？
残りの4つを発見できるか？
標準モデルに異論を唱える
ＱとＺという異なるヒッグス粒子
それぞれのヒッグス粒子の種類によって反応するヒッグス場が異なる
複数のヒッグス場から構成されている可能性
ヒッグス粒子の中身
テクニカラー理論
ヒッグス粒子はテクニクオークから構成されている？
グルーオンの基盤に並べるといろいろな素粒子になる
ヒッグス粒子もテクニクオークのひとつ
並べ方を変えるとダークマターになるのでは？
非粒子物理学
計算すると
マイナス2と1/2という中途半端な数字が出てきた
この世はフラクタル次元で構成されている？
個人的な評点: ★★★★★
7. 生物の進化と神（4-10. Did God Create Evolution?）
（DISC 2-3と同じ）
8. 男女の未来（4-5. Will Sex Become Extinct?）(2024/05/23)
男女のSexはやがて絶滅するのでしょうか？
カンガルーと人には共通した遺伝子が20000個ある
人間の23種の染色体（遺伝子を束にしたもの）のうち
XXだと女、XYだと男になる
XXは強く、組み合わせを自由にできるので強い
ところが、Ｙ染色体は
数も少なく組み合わせも変えられない
4~500万年後には男子は絶滅するかもしれない
シーエレガンス（線虫）での実験
雌雄同体だとウィルスにやられるが、異体のほうが耐性が強い
男性のカップルからの出産
2007年に皮膚の細胞から胚に戻すことに成功
胚からは216種類の細胞を作れる、精子と卵子も含めて
XY染色体からは、精子と卵子を作れる
男性のカップルでも赤ん坊を授かることができる
女性同士はまだ不可能
サメのための人工子宮
AUという人工子宮器
絶滅危惧種のシロワニのため
ある時期から子宮内に海水を取り入れる
テンンジクザメで実験
見事に成功
早産の赤ん坊を人工子宮で分娩前に戻すことができるようになる
倫理的な問題
チンパンジーと人間は98.5%が共通の遺伝子
チンパンジーの育児はすべて母親
暴力的なチンパンジーと対照的なボノボ（やはり98.5%が共通の遺伝子）
メスが強くて集団で行動、問題解決のために同性同士も異性でもSexをする
豊かな環境がチンパンジーとの差を生んだ、オキシトシンの働き
環境が人間社会のSexを変えるのか？
男女の育児
親が3人ということになるかも
現在でも可能だが禁止されている
ミトコンドリア
細胞核の遺伝子物質を移植（人胚細胞の核をドナー細胞の核に移植）
土を入れ替えるがごとく
両親からの23000個の細胞核＋第3者のミトコンドリア13個の細胞核
クモの遺伝子を
ヤギに移植
1日の搾乳から56kmの糸が生成
人間にあらゆる生物の遺伝子を組み込む日がやってくる？
個人的な評点: ★★★★★
9. 時間の起源（5-10. When Did Time Begin?)
10. 重力の正体（5-7. Is Gravity An Illusion?）(2024/06/04)
重力は宇宙のどこにでも存在するのでしょうか？
重力とは時空の歪み（アインシュタイン）
宇宙のあらゆる場所で歪みが発生
LIGOで重力波の検出
未だに検出されていない（2015年9月14日に検出された）
ネルギス・マバルバラと同僚のマイケル・アドリー
４つの力
電磁気力
弱い力（WボソンとZボソン）
放射性元素の核を崩壊させる
強い力（グルーオン）、核を構成する
重力波は途方もない計算が必要、存在だけは証明できる
ユニタリー性の方法で重力を計算
重力子とは、２つのグルーオンが結合したもの？
重力が働くにも関わらず銀河はお互いに遠ざかっている
反物質
ダークエネルギーの正体か
量子真空では物質と反物質が生成・消滅を繰り返している
ウズベキスタンのダンス
反物質（男性）同士が中央に集まる
銀河間の空間にある反物質のせいで
斥力が働いて銀河同士が遠ざかる
ペンローズのツイスター空間
ホログラフィック原理
重力は火である？
エントロピーは自然に増える
気球は分子のエントロピー増大で浮力を生む
宇宙空間にも0と1のデジタルビットのエントロピーが存在
ブラックホールの事象の地平線
無限に落ちてゆき、変化は感じない？
事象の地平線で劇的に変化するという説（ツイスターホログラフィ）
重力の働きも大きく変わっている？
巨大望遠鏡でブラックホールを直接観測
ブラックホールでの重力の振る舞いを観測する
放水の源を調べるために、コップを複数設置
重力は幻に過ぎないのか
個人的な評点: ★★★★☆
以上、DISC4の10のエピソードでした。
DICS 5に続きます。
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