[フロンティア - 重力波で見えてくるものとは?] 重力波研究の最前線に迫る科学ドキュメンタリー


NHKの『フロンティア その先に見える世界』という科学ドキュメンタリー番組を観ました。

今回のテーマは「重力波で見えてくるものとは?」です。



(以下番組のホームページから抜粋)

「アインシュタインの最後の宿題」と言われ100年もの間、検出されてこなかった「重力波」。宇宙の始まりの解明も期待される重力波研究の最前線に迫る。

激しい天体現象で放出される時空のゆがみ、重力波。予言したアインシュタインですら検出は無理だと考えていた。

ところが2015年の初検出以降、続々と観測され、いま重力波は宇宙の謎を解明する新たな「目」として注目されている。

人類はどうやってこの難題に立ち向かい克服したのか、米国や岐阜県の重力波観測施設の現場の様子や研究者の証言からひもとく。

(抜粋おわり)

米国のカリフォルニア工科大学LIGO研究所に勤務している友人が、2015年の重力波検出に直接関わったこともあり、個人的にも大変興味を持っていました。

1. 『フロンティア その先に見える世界』

『フロンティア その先に見える世界』は、『コズミックフロント』や 『コズミックフロント☆NEXT』の後継番組です。


(以下番組のホームページから抜粋)

科学、宇宙、文化、歴史、芸術、ファッションなど 様々な分野でフロンティアを切り拓く“開拓者(フロントランナー)”たち 。

未踏の知の最前線、そこではどんな景色が見えるのか?

4Kスーパーハイビジョンによるダイナミックな映像で、あなたの世界観をガラリと変える 「至高の視聴体験」をお届けする。

(抜粋おわり)

これまで放送された過去のエピソードを見ると、宇宙だけに限らず科学、宇宙、アートなど幅広い分野を扱っています。


今回のエピソード「重力波で見えてくるものとは?」は、2024年8月16日に放送されたものです。

スマホにダウンロードしてベトナム旅行中に鑑賞。

内容を以下にまとめました。

2. フロンティア「重力波で見えてくるものとは?」


宇宙で起きていることを”見る”ための新しいツール



宇宙の彼方から地球に届いている



重力波はものすごく小さい



アインシュタインは重力波の存在を予言していた



予言から100年後



重力波の検出に成功



大きな信号がいきなり入って来た



河邊径太さん(カリフォルニア工科大学)


138億年前の宇宙の始まりの謎に迫る


高橋慶太郎さん(熊本大学)

2.1 Chatper 1 初めて捉えた重力波


重力波観測施設LIGO


日本人研究員の河邊径太さん


重力波でブラックホールを見つけることができる


重力波はあまりに小さい


バリー・ハリッシュ物理学教授


重力波は方程式では存在するが測定できるとは考えなかった


L字型に伸びる腕のなかをレーザー光が走る


腕の長さは4km、到達するレーザー光のズレを観測する


観測間違いなどを排除するためルイジアナ州にも同じ施設を建設


2015年9月に観測開始


2日後に大きな信号を検出


東部と西部で観測された波形


太陽質量のそれぞれ36倍と30倍のブラックホールが衝突


合体して66倍になるはずが、なぜか63倍に



差分の3倍のエネルギーが重力波として放出された


ブラックホール同士の合体が初めて立証された


2024年までに観測された重力はは90以上(2017年の3度目発見のニュース記事


どこから重力波が来ているのか?


現在はアメリカ2か所とイタリア1か所の計3か所


4番目の観測地点となるのが


日本のKAGRA

2.2 Chatper 1 世界第4の観測地


岐阜県飛騨市神岡町の山地、神岡鉱山跡


他の観測所より離れた地点というのが特徴


握りこぶしの範囲から、3分の1まで絞り込める


KAGRAは地下深いので、地上の揺れの影響が少ない


KAGRAの腕の先端の真空槽にはサファイアの鏡が


本格稼働に向けて準備中


2024年3月の同時観測に参加できず


原因は2024年1月の能登半島地震

2.3 Chatper 3 重力波が解き明かす銀河の成り立ち


熊本大学の高橋慶太郎さん


宇宙の歴史は銀河同士の合体の繰り返し


超巨大ブラックホールの重力波が振動する時間はゆっくりで低周波の重力波になる


LIGOでは捉えることができない低周波の重力波が、2023年に検出される


電波望遠鏡を使った検出


安定して回転して周期的にパルスを発生するパルサーを利用


到達時間のズレを観測


数100光年先のパルサー


パルサー数十個を利用した銀河規模の天文台


2023年に論文発表


町ぐるみの協力によってできたグリーンバンク天文台


携帯やパソコンは持ち込み禁止の宿舎(市街半径16km以内は電波利用制限)

2.4 Chatper 4 "宇宙誕生"に迫る原子重力波


インフレーション理論の提唱者は佐藤勝彦さん


ビッグバンの直前に起きたインフレーションが最初の重力波


その最初の重力波を検出する試み


2032年度打ち上げを目指すJAXAのライトバード計画


渦巻きのパターンが見えるはず


インフレーション理論が証明されるかもしれない


ひとつの知りたいものの極限


恋心を持ち続けて研究をやっている


誰も知らないようなことが世の中にはまだたくさんある


その疑問に答えられる可能性を持っている


なぜ私たちがここにいるのか解明することはすばらしいことだと思いませんか?


3.重力波研究の進展

重力波の研究に関しては、モーガン・フリーマンの科学ドキュメンタリー『時空の彼方』のSeason5 (2014)のエピソード「重力の正体(5-7. Is Gravity An Illusion?)」でも取り上げられました。
放送当時はまだ重力波の検出前でしたが、当時のLIGOでの取り組みなども紹介されていました。

また、本番組『フロンティア』の前身である『コズミックフロント』のエピソード「驚異! ブラックホール 頭脳がみつけた奇妙な天体」の内容をブログ投稿した直後(2017年6月28日)に、「重力波検出に成功、30億年前のブラックホール衝突」というニュースが飛び込んできたのも、当時のブログに追記したとおりです。

宇宙物理学の分野でこれほどの大発見をリアルタイムで居合わせることができたのは、本当に幸運な時代に生まれたものだと思います。

また、このような世紀の大発見は、直接携わっておられる関係者の方々のたゆまない努力のおかげだと心からの尊敬と感謝を感じずにはいられません。

KAGRA、グリーンバンク、ライトバード計画。。。これからもまだまだ重力波研究の発展には注目したいと思います。

[モーガン・フリーマン 時空を超えて - DVD] 面白すぎる科学ドキュメンタリー [隠れた余剰次元とブレーン宇宙モデルの謎を解く]『ワープする宇宙』( リサ・ランドール ) 「多世界宇宙の探検」永久インフレーション理論による無からの宇宙創成 [宇宙のランドスケープ] 現代物理学をわかりやすく解説した超力作 - 宇宙定数と人間原理の関係を解き明かす

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