[『ソフィーの世界』で哲学史の体系を理解する] ソクラテス、プラトン、ニーチェ、サルトルなど哲学者20人の思想

ヨースタイン・ゴルデルの『ソフィーの世界』(1995年)を読みました。

『ソフィーの世界』と、副読本として『読破できない難解な本』を併読しながら読み進めました。

これまでなかなか理解できなかった哲学思想を体系的に学ぶ良い機会になりました。

以下に本著の哲学史の体系をまとめました。

0. 哲学史の読本

0.1. 『ソフィーの世界  哲学者からの不思議な手紙』

『ソフィーの世界  哲学者からの不思議な手紙』は、「一番やさしい哲学の本」として記録的なロングセラー小説です。

以下はAmazonの書籍紹介からの引用です。

世界の人々を魅了した、ノルウェー発の不思議な哲学ファンタジーである。「一番やさしい哲学の本」として記録的なロングセラー小説となり、映画化もされた。主人公はごく普通の14歳の少女ソフィー。「あなたはだれ?」とたった1行だけ書かれた差出人不明の手紙を受け取った日から、彼女の周囲ではミステリアスな出来事が起こっていく。「世界はどこから来た?」「私は一体何者?」これまで当たり前と思っていたことが、次々と問いとして突きつけられる。そしてソフィーはこれらの謎と懸命に向き合っていくのだ。
著者のゴルデルは1952年生まれ。ノルウェーのベルゲンという美しい港町の高校で11年間哲学の教師をした後、首都オスロで作家生活に入り、『鏡の中、神秘の国へ』『カエルの城』など、児童・青少年向けの作品を発表し続けている。また翻訳は気鋭のドイツ文学者の池田香代子が担当、哲学者の須田朗が監修するという本格的なつくりも、本書が好評を博した1つの理由であろう。

本書のもう1つの特色は、「哲学史の宝石箱」であること。ソクラテスやアリストテレス、デカルトやカント、ヘーゲルなど、古代ギリシャから近代哲学にいたる西洋の主要な哲学者の大半が登場する。読者をファンタジックな世界へ誘いながら、ソフィーと一緒に彼らの概念をやさしく生き生きと読み解いていく手法は秀逸である。哲学というこの世界じゅうの物事の根源、存在の意味の解明をおもしろく描き、おとぎ話と融合させた作者の功績はとてつもなく大きい。

(引用おわり)

上下巻を本は、667ページもあり、なかなか手軽に読めないので、途中からAmazonのAudibleの最初の3か月間99円のキャンペーンに登録してオーディオブックで聴きました。

0.2. 『読破できない難解な本』

『ソフィーの世界』で扱うさまざまな哲学は難解なので、理解の助けに副読本として『読破できない難解な本』を併読しました。


以下はAmazonの書籍紹介からの引用です。

アリストテレス/プラトン/ブッダ/孔子/スピノザ/カント/デカルト/ニーチェ/マルクス/ウィトゲンシュタイン/フロイト/ユング/アドラー/フーコー/ソシュール/ベンヤミン/マクルーハン/リオタール/ボードリヤール/ドゥルーズ/ガタリ/ピケティ……など

ソクラテスの弁明/聖書/論語/般若心境/武士道/君主論/プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神/死に至る病/リヴァイアサン/論理哲学論考/グーテンベルクの銀河系/科学革命の構造/複製技術時代の芸術/アンチ・オイディプス/消費社会の神話と構造……など

(引用おわり)


冒頭の「ひと目でわかる名著の関連図」が体系的に理解するのに役立ちました


以下に『ソフィーの世界』の内容を簡単に紹介します(以下太字は本文より引用)。

1. ソクラテス

ソクラテス(紀元前470 - 399)は、自分で1冊の本も書かなかった

対話によって人間の生活を論じ、世界で最初に人の生き方を説いた哲学者ですね

「わたしは、自分が知らないということを知っている」 - ソクラテスは、自分は人生や世界について知らない、とはっきり自覚していた


人間の営みには永遠の起きて、つまり規範といったものがある、と考えた

「若者を堕落させ、神々を認めない」という罪で毒人参の盃を飲み干す死罪になった

何も書いたものを残さず、死罪になったところは、イエスと共通しています

ソクラテスと聞くと今でもこのサントリーのCMを連想してしまうのは、昭和生まれの宿命(サガ)ですかね 笑

ソクラテスかプラトンか(野坂昭如)

2. プラトン

プラトン(紀元前427 - 347)は、ソクラテスと同じ古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの弟子

「対話篇」(『国家』『法律』『饗宴』など)と呼ばれるものをたくさん書いた

アテナイに哲学の学校(アカデメイア)を開設したこともあり、(ソクラテスと違い)多くの著作が残された

ソクラテスと同様、自然界の何が永遠で不変か、またモラルや社会の何が永遠で不変か、を明らかにしようとした

プラトンが永遠不滅と考えたものは、物質である元素ではなく、精神的なひな形(フォーム、イデア)である

知覚や感覚と違い、イデア界 - 理性(数学とか)- は永遠で不変なもの

魂はかつてイデア界に住んでいたが、人間の体に宿って完全なイデアを忘れてしまった

完全なイデアを忘れた魂のイデアへのあこがれを「エロス」と呼んだ

自然界のすべての現象は永遠の型、つまりイデアのただの影である

生きているすべてのものは、イデア界にある永遠の型の不完全なコピーである

体と国家の関係

人間の体と国家の関係

理想国家 = 全体主義国家

育児は個人に任せるには重要すぎるので、国の責任でなければならない → 公共の幼稚園や全日制の学校という構想につながった

3. アリストテレス

アリストテレス(紀元前384 - 322)は、20年間プラトンのアカデメイアで学んだ

プラトンと違い、自然科学に関心をよせ、さまざまな学問の基礎をつくった

プラトンのイデア説を批判:人間は生まれながらにイデアなど持っていない

形而上学』:自然学を超えた学問のこと、目に見えない世界の原理やそこに存在するものについて考察する学問のこと

アリストテレスは「存在」の最も一般的な形式を10個に分類した(カテゴリア)
  • 実体(何であるか)
  • 量(どれほどあるか)
  • 質(どのようであるか)
  • 関係(何に対して)
  • 場所(どこにあるか)
  • 時(いつ)
  • 体位(どのような体位であるか)
  • 所持(何を持っているか)
  • 能動(何をしているか)
  • 受動(何をされているか)
形相』(設計図)と『質料』(材料)


すべては形相と質料によって生成消滅していく。よって、もはやいかなる質料ももたない純粋な形相が存在する。これは他のすべてを動かし、自分は動かない存在であり、「不動の動者」であり「神」である

論理学(すべてを整理整頓)、倫理学(人間はいかに生きるべきか?)、政治学(社会なくては人間ではない)

国家の3つの形態(君主国家、貴族制国家、民主国家) 民主制は衆愚政治になりやすい欠点もある

4. ヘレニズム時代の哲学者

ヘレニズムというのはギリシャ風の文化のこと(ギリシャ文化とギリシャ語が共通)

アレクサンダー大王の制服の結果、ギリシャとエジプトとインドの3国にまたがるヘレニズム王国ができた(紀元前300年~紀元後50年くらいまで)

アリストテレスはアレクサンダー大王の家庭教師だった

ヘレニズム王国の後は、ローマ帝国がヘレニズム王国を含め、スペインからアジア諸国までの広範囲を征服(ローマ文化とラテン語が共通)

4.1. キュニコス学派

本当の幸せは、物質的なぜいたくや政治権力や健康などの外面的なものとは関係ない、と主張した(ディオゲネス、アンティステネス)

4.2. ストア派

すべての人間は世界じゅうに広がっている同じ理性、あるいは同じロゴスを持っている、と主張した(創始者ゼノン)

一元論(ソクラテスと同じ考え)、プラトンの二元論とは対立

すべては自然の不変の法則なので、ジタバタしても仕方ない(ストイックの語源になった)

人生はすべて運命で、自由意志は関係ないというスタンスですね

4.3. エピクロス学派

できるだけたくさんの感覚的な楽しみを手に入れることが人生の目的だ、と主張した(アリスティッポス、エピクロス)

はかない快楽を、もっと大きな、長続きする、確かな快楽と、長い目で見て比べなければならない(自制、中庸、心の平安)

ストア派とは対照的に、エピクロス学派は政治や社会にはあまり関心を示さなかった

「隠れて生きよ!」(エピクロス)

4.4. 新プラトン学派

  • キュニコス学派、ストア派、エピクロス学派 → ソクラテスの教えに基づいている
  • 新プラトン学派 → プラトンの教えに基づいている
イデア界と感覚界:人間の魂と肉体もすぱっと切り離されている

世界は二つの極(神と闇)のあいだに張り渡されている、と主張した(プロティノス)

5. アウグスティヌス

アウグスティヌス(354 - 430)は、新プラトン学派の「すべての存在は神に由来する」という考え方(キリスト教に通じる)を主張した

悪は独立して存在するものではなく、人間の不従順から発生するもの(神の創造物はすべて善である)

神はある人々を選んで永遠の罰から救うことにした(救済される人はあらかじめ決まっている)

人間はみな、救われるグループに入っていると確信できるような生き方をすべきである

人間には自由意志がある

アウグスティヌスの立ち位置は、運命か、自由意志か、という点では曖昧ですね。。。

6. トマス・アクィナス

トマス・アクィナス(1225 - 1274)は、アリストテレスの哲学とキリスト教を合体させ、哲学や理性とキリストの啓示や信仰の間には矛盾はないと主張した

トマス・アクィナスののちに、ルネサンスと宗教改革が起き、あらゆるものが神が中心だったのが、人間中心に変化した

コペルニクスの地動説(1543年)が、神がすべての天体を支配して地球が不動という天動説を覆した

ちょうど今、NetFlixで「チ。-地球の運動について-」を観ています 笑

7. ホッブス

トマス・ホッブス(1588 - 1679)は、すべての現象は、人間も動物も、物質でできた部品の寄せ集めだ(唯物論)と主張した

ホッブスの社会契約論


自然状態の「万人の万人に対する闘争」を克服するために、自然権を放棄して国家(リヴァイアサン)と社会契約をするというのが社会契約論。

8. デカルト

ルネ・デカルト(1596 - 1650)は、ルネサンス時代に考えられたことを一貫した『哲学体系』にまとめて、近代哲学の基礎を固めた

古い権威への対抗

デカルト→スピノザ→ライプニッツ→ロック→バークリ→ヒューム→カント という流れ

精神と物体は独立に存在する(物心二元論)

現実は二つの全く別々の実体、思惟(しい)と延長(ひろがり)ででてきている

(以下ChatGptより)

コギト・エルゴ・スム(cogito, ergo sum)は、デカルトが提唱した「我思う、ゆえに我あり」を意味するラテン語の命題です。デカルトは、この命題を哲学の第一原理としており、数学や自然学の妥当性を演繹的に導き出そうとしました。

デカルトは、絶対的原理を見つけるために徹底した懐疑(方法的懐疑)を行った結果、疑わしいと考えている当のものが存在することは疑いえないと結論づけました。その当のものとは、考える私であると考えたのです。

「コギト」はラテン語の「cogitare」の一人称単数形で、「考える」「意識する」という意味です。しかし、今日では「自己意識」を含意し、精神や自我の本質を自己意識に見ようとする立場と結びつけて語られるようになりました。


「考える私」のもつ観念のなかに、「神の観念」がある

「神の観念」は、永遠・無限・絶対・普遍などの内容を持つ

この神という完全者の観念があるからこそ私たち人間の不完全さが認識できる

これは自我が生み出したものではなく外側から植え付けられたものなので、神は実在することが論理的に証明される(神の存在証明)

9. スピノザ

バルフ・スピノザ(1632 - 1677)は、デカルトの哲学で別の実体だった心(精神)と身体(物体)を一つにして「自然(神)」の一部と考えた。


デカルト二元論に対してスピノザは一元論

また、「機械論的世界観」と呼ばれる、世界の出来事や未来もすべてが決定しているという決定論を展開しており、人生に自由がないことを通して「世界に自由がないということを知ることが自由」と主張した。

これはストア派と同じ「人間には自由意志はない」という考え方ですね。

神すなわち自然だけが自由に、自然に振り回されずに自分を実現するが、人間は決して自由意志をものにすることはできない

10. ロック

ジョン・ロック(1632 - 1704)は、感覚が語ることから世界についてのすべての知を導き出すと主張した

『人間知性論』:人間はどこから観念を手に入れるのか、そして感覚が語るものを信頼していいかを問うた

感覚の性質を「第一性質」(重さ、形など)と「第二性質」(味覚、色など)に分けて、「第二性質」は信頼できないものとした

国家の権力分立(立法、行政)を初めて唱えた(立法、司法、行政の三権分立はモンテスキュー)

ロック、バークリー、ヒュームの3人はイギリス経験主義の哲学者(vs. デカルト、スピノザ、ライプニッツの大陸合理主義に対して)

11. バークリ

ジョージ・バークリ(1685 - 1753)は、人間の意識の外にある物質世界の存在を否定し、五感による知覚は神のよって引き起こされるという経験哲学を主張した

(ロックの「第一性質」に対して)外の現実にも物質的な「実体」はない、存在するものはわれわれが知覚するものだけである

プラトンの「イデア」(生得観念)を否定して、「アイデア」(心は外から情報を得なければ何も知ることはできない)を主張したことが、現在のアイデアという語源になっているわけですね。

われわれが見たり感じたりするものはすべて、神の力の結果である、なぜなら神は「わたしたちの意識に親しく存在し、わたしたちが常に周りから受け入れているさまざまな観念や知覚を、わたしたちの意識へ呼び込んでいる」からだ


世界はすべてバーチャル空間であるという考え方は、『時空を超えて』の「現実とは何か(4-8. Is Reality Real?)」でも詳しく取り上げられていました。


バーチャル空間を操作する存在が神ということなのでしょうか。。。?

12. ヒューム

デイヴィッド・ヒューム(1711 - 1776)は、人間は現実と一致しない観念を複合によってでっちあげることがあるという経験哲学を主張した

印象(外の現実から直接感じとったこと)と観念(そういう印象の記憶)

何かが何かの結果起こるというのは予断であって、対象そのものには関係ない、心の出来事である(赤ん坊は予断を持たずに生まれてくる)

不変の自然法則があることは否定しなかったが、自然法則そのものは経験できないので間違った推論をしかねない

(無限に聡明、無限に善という存在)という複合観念

不可知論者(神は存在するかわからない)の立場

人間は変わらない基本的な人格なんて持っていない

ブッダの「諸行無常」に通じる考え方

13. カント

エマニュエル・カント(1724 - 1803)は、合理主義者(理性にウェイトを置きすぎる)も経験主義者(感覚にウェイトを置きすぎている)も一理あると、両者の中間の「実践的要請」という概念を主張した

時間と空間は人間の側(生得的性質 - アプリオリ)にある

因果律も人間の側にある

カントは、人間の認識の仕組みを「純粋理論批判」で説明したが、神や霊魂など人間が経験できない領域は人間が推理できないということがわかり、「実践理論批判」を打ち立てた。

「実践理論批判」では、自然の世界と同様に、道徳の世界にも普遍的な法則があると考え、それは、私たちの意志を規定する命令であって「~すべし」という命令の形を取る(道徳法則)。


人間には不死の魂があり、神は存在し、人間には自由意志があると考えた

因果律を肯定しつつ、人間には自由意志があるという主張は矛盾しているようですが。。。

感覚は因果律に縛られているが、感覚から独立した実践理性にしたがって道徳上正しい選択ができたときだけ、自由意志を持つことになる

以下は、『格差の起源』(2022、ガロー)からの引用です。


「啓蒙とは何か」(エマヌエル・カント)

技術の変化がさらに速まると、昔ながらの知恵に対する敬意は徐々に衰えていった。

啓蒙とは、人間が自らに課した未成年の状態から抜け出ることである。

自らを信頼し、時代遅れの文化の伝統を拒絶する強固な意志をもて。

(引用おわり)

冒頭で紹介した「ひと目でわかる名著の関連図」を拡大してみます


イギリス経験論(ロック、バークリ、ヒューム)

vs.

大陸合理論(デカルト、スピノザ、ライプニッツ)

and

両者の中間「実践理論批判」(カント)

という構図がわかりやすいですね

14. ヘーゲル

ゲオルグ・フリードリヒ・ヘーゲル(1770 - 1831)は、歴史は、世界精神が法則に従ってだんだんと自分に目覚めていくひとつの物語だと主張した


「弁証法」的発展
  1. 新しい思考が立ち上がる(テーゼ)
  2. もうひとつ別の新しい思考に反論を受ける(アンチテーゼ)
  3. 二つの対立する思考が張り合うことで、第三の思考ができあがる(ジンテーゼ)
歴史では
  1. 絶対王政
  2. 革命
  3. 民主国家
哲学では
  1. 合理主義(デカルト)
  2. 経験主義(ヒューム)
  3. 実践的要請(カント)

15. キルケゴール

ゼーレン・キルケゴール(1813 - 1855)は、普遍的な大真理の探究よりも、個人が生きる上で意味のある、個人の数だけの真理を探究することのほうが大切だと主張した

ヘーゲルに象徴されるヨーロッパのロマン主義を批判

「死に至る病」:絶望の種類分け


意外なことに『ソフィーの世界』のキルケゴールに関する記述では、「絶望」という言葉は一切出てきません。

16. マルクス

カール・マルクス(1818 - 1883)は、資本主義は、社会労働者が事実上ほかの社会階級の奴隷となるように組織されていると主張した

資本家は儲けの一部を新たな資本として投資することができる


マルクスの『資本論』はあまりに有名ですね

資本主義の限界が指摘されてから久しいですが、現在の資本主義は崩壊して別な社会になるのでしょうか?

17. ダーウィン

チャールズ・ダーウィン(1809 - 1882)は、全ての生物種が共通の祖先から長い時間をかけて、自然選択を通して進化したことを明らかにした。

こちらもダーウィンの『進化論』はあまりに有名ですね

進化論に対して、インテリジェントデザイン説という、何らかの存在が地球上に生命を創造し、以来ずっと進化を導いてきたとする説があります。


『時空を超えて』の「神が”進化”を創造したのか?(4-10. Did God Create Evolution?)」でも紹介されているとおり、科学界では真剣に研究されているようです。

18. フロイト

ジグムント・フロイト(1856 - 1939)は、精神分析学の創始者として知られ、心理性的発達理論、リビドー論、幼児性欲などを提唱した。


マルクス、ダーウィン、フロイトの3名に共通するのは、自然主義(自然や感覚世界のほかのもの - 合理主義の思弁や神の啓示 - を一切受け容れない)

マルクス:人間の意識は社会の物質的下部構造の産物だ
ダーウィン:人間は長い生物学的な進化の結果だ
フロイト:人間は本性のなかの動物的な衝動あるいは本能で行動する

フロイトは、ユング、アドラーと並び、「心理学の三大巨頭」と称されていますね。

19. ニーチェ

フリードリヒ・ニーチェ(1844 - 1900)は、神なき時代に、超人は世界に新たな価値を与える存在となると主張した。


ニーチェと言えば、「神は死んだ」という「ツァラトゥストラはこう言った」が有名ですね。リヒャルト・シュトラウスの同名の管弦楽曲は『2001年宇宙の旅』にも使われて非常に有名です(オルガンの低音から始まる派手な冒頭以降は難解すぎて、正直音楽としてはアレですが)。

2001: A Space Odyssey • Theme/Also Sprach Zarathustra • Richard Strauss

著名な心理学者のスティーブン・ピンカーによれば、ニーチェの思想はヒューマニズムに真っ向から対立するとされます。

ヒューマニズムの対極に立つ思想家を一人だけ挙げろといわれたら、ドイツの古典文献学者、フリードリヒ・ニーチェをおいてほかにない

ニーチェは次のように論じた

人生で重要なのは、善悪を超越し、意志を力に変え、英雄的栄光を手にする「超人」になることだ

そのようなヒロイズムによってのみ、種の可能性を引き出し、人類を存在の高みへと押し上げることができる

偉業とは、病気を治療する、飢えた人々に食事を与える、平和をもたらすといったことではなく、むしろ芸術上の傑作や軍事上の制服によって達成されるものでなければならない

二―チェの思想が、ヒューマニズムを脅かす「ロマン主義的ヒロイズム」の源泉となっているとスティーブン・ピンカーは強く主張しています。

20. サルトル

ジャン=ポール・サルトル(1905 - 1980)は、無神論的実存主義のヒューマニズムは、人間自身から出発すると主張した。


人間とは何か、人間の本質とは何か、といったこれまでの問いに答えるのはナンセンスで、人間にはそういう本質はなく、人間は自分をゼロから作らなければならない(「実存は本質に先立つ」)。

人間は自由の刑に処せられている

「本質存在」(~である)は、「現実存在」(~がある)に先行するという「最初に本質ありき」という考え方を否定


以上、『ソフィーの世界』に登場する哲学者20人の思想を、歴史的背景に沿ってまとめました。

サントリーのCM「ソ・ソ・ソクラテスかプラトンか ニ・ニ・ニーチェかサルトルか みーんな悩んで大きくなったー」の4人がこれですべて出揃いました 笑

20人に含まれていないメジャーな哲学者は、マルティン・ハイデガー(1889 - 1976)くらいでしょうか(『ソフィーの世界』では解説なし)。

ハイデガーといえば、映画『リトル・ロマンス』(1979)で主人公の天才少女ローレン(ダイアン・レイン)が傾倒していたことが記憶に残っています。


ふう。。。こうして体系的にまとめてみたものの、哲学の思想はあまりに難解すぎて、正直良く理解できません 涙

まあ、それでも、今後の人生で哲学についての言及があったら、ここに立ち返ってみたいと思います。

(2024年11月26日 追記)
「ソフィーの世界」哲学ガイドを読みました。


『ソフィーの世界』では解説のなかったハイデガーと実存主義について解説があったので参考になりました。

21. マルティン・ハイデガー

マルティン・ハイデガー(1889 - 1976)は、ドイツ観念論や実存主義に強い影響を受け、古代ギリシア哲学の解釈などを通じて独自の存在論哲学(人間の実存は時間的な存在)を展開した。

ハイデガーは、20世紀大陸哲学の潮流における最も重要な哲学者の一人とされています。


実存主義は、キルケゴール(有神論)から始まり、ハイデガーを経てサルトル(無神論)に至る

実存主義は、宇宙や歴史といった一般的なもの、普遍的なものよりも、個々の存在者を重視する

人間は時間的な存在で、常に将来を考えながら今を生きている。将来の「死」を考えて初めて現在を生きる(実存する)ことができる

うーむ、わかったようなわからないような。。。哲学はやはり難しいですね

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